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第39回:高圧洗浄機のオイル漏れ修理について - 1013GB



今回は農業機械とあまり関係ありませんが、フルテック防音型高圧洗浄機1013GBのオイル漏れ修理についてです。

オイル漏れしている箇所は、ポンプ側のクランクシャフト回りです。

クランクシャフト回りからオイルが漏れるという事は、単純に、このクランクシャフトのオイル・シールを交換すればオイル漏れは直ります。

という事で、ポンプ側クランクシャフトのオイル・シールを交換する手順を説明します。


必要工具と道具:  5㎜6角レンチ、10㎜ボックス・レンチ、ボックス延長ソケット、12㎜メガネ・レンチ、17㎜メガネ・レンチ、モンキ・レンチ、ラジオ・ペンチ、マイナス・ドライバ、コンプレッサ、潤滑剤、万能グリース(リチウム・グリース)、パーツ・クリーナ、耐水ペーパ(#800~1000)、ウエス数枚
エンジン・オイル(1ℓ弱)


1013GB オイル漏れ所有者が言うに、たまにしか使用していない機械なので外観はとてもきれいです。

しかし、防音室の床面がオイル漏れでベタベタになっています。

使用頻度が少なくても、何故だかごく稀にこういう事は起こります。
どんな機械にも言える事です。

オイル漏れ箇所を探していると、エンジンのベアリング・ケースにオイルが伝っている事が分かります。

この時点で、エンジン側かポンプ側のどちらかのクランクシャフト回りからのオイル漏れになりますが、エンジン側クランクケース内のオイル量(油面の高さ)からして、エンジン側ではなくポンプ側ではないかと推測できます。



1013GB カバー 固定ボルト 取り外し防音型なので、最初にカバー類を外す必要があります。

カバー類を固定している頭部10㎜のボルトを全て外します。

1013GB カバー 圧力計側 取り外しエンジン・スイッチ、チョーク・ワイヤ、圧力計が付いたカバーは、左写真のように、まずエンジン・スイッチの2本の線を外しておきます。

1013GB カバー 全体 取り外し全体を覆っているいるカバーを外します。

全体を覆っているカバーには燃料タンクとリコイル・スタータの取っ手が付いてくるので、リコイル・スタータの紐を一時的に引いた状態にしておいて、燃料コックを止めてからキャブレータ側の燃料ホースを外し燃料コックを外します。

1013GB カバー 全体 取り外し後リコイル・スタータ、圧力計、チョーク・ワイヤを外し、カバーを全て外します。

1013GB エンジン ベース 固定ボルト 取り外しエンジンとポンプ本体を固定している頭部12㎜のナット4本を外します。

固定ナットを全て外したら、エンジンとポンプ本体を外します。

1013GB エンジン ポンプ 連結ボルト 取り外しエンジンとポンプ本体とを連結している固定ボルト(頭部12㎜)4本を外します。

1013GB エンジン ポンプ 連結ボルト 取り外し後固定ボルト4本を外したら、後はエンジンとポンプ本体を引き離すだけです。

手で簡単に行えます。

1013GB エンジン ポンプ 分離後エンジンとポンプ本体を引き離すと、左写真のようになります。

1013GB ポンプ クランクシャフト回り オイル漏れポンプ側のクランクシャフトからのオイル漏れをはっきりと確認出来ますね。



1013GB ポンプ エンジン取付フランジ 固定ボルト 取り外し6角穴付きボルトを4本外して、エンジン取付フランジを外します。

1013GB ポンプ エンジン取付フランジ 取り外し後エンジン取付フランジを外すと、樹脂のオイル・シール押さえが見えます。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ 取り外しオイル・シール押さえを外します。

左写真のように、ラジオ・ペンチで掴んで引き抜くだけです。

1013GB ポンプ クランクケース 取り外し後 オイル・シール押さえオイル・シール押さえの内側にはめ込んであるのがオイル・シールです。

このオイル・シールを交換します。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ オイル・シール 取り外しオイル・シール押さえからオイル・シールを外します。

左写真のように、オイル・シールに向かってマイナス・ドライバの先端を斜めに差し込み、じわりと押し込んでいけば、オイル・シールは簡単に外せます。

オイル・シール押さえは再利用するので、オイル・シールを外す時に傷付けないように注意します。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ オイル・シール 取り外し後オイル・シール押さえは、ウエスできれいに拭いておきます。

そして、コンプレッサでエア吹きして、付着している埃などの汚れを飛ばしておきます。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ 取り外し後 オイル・シール外したオイル・シールです。

一見すると、どこが傷んでいるのか分かりずらいですが、案外そういうものです。



1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ 取り外し後左写真で分かると思いますが、クランクケース側のベアリング外輪の前にOリングがあります。

このOリングも念のため交換します。

1013GB ポンプ クランクケース 底面 オイル・ドレイン・プラグここまでオイルを抜かずに行ってきたのですが、ここでオイルを抜いておきます。

オイル・ドレイン・プラグは底面にあります。

左写真で分かると思いますが、6角穴付きボルトを2本外して土台ベースを外さないと、オイル・ドレイン・プラグにメガネ・レンチなどの工具をかける事が出来ません。

スパナで緩めば問題ありませんが…。

1013GB ポンプ クランクケース Oリング 取り外しクランクケースからOリングを外します。

Oリングは指で簡単に外せますが、左写真のように、ベアリングとOリングの間にマイナス・ドライバの先端を差し込んで外しても良しです。

1013GB ポンプ クランクシャフト オイル・シール 摺動面 磨きクランクシャフトのオイル・シールのリップ部が摺動する面をきれいにします。

潤滑剤を吹き付けた耐水ペーパ(#1000)を使って摺動面を磨きます。

1013GB ポンプ クランクシャフト オイル・シール 摺動面 磨き後数分磨いただけです。

摺動面に傷や凹凸はなかったので、これで十分です。

ウエスで摺動面を拭き上げた後、コンプレッサを使いエア吹き洗浄しておきます。

1013GB ポンプ クランクケース クランクシャフト ベアリング Oリング 取り付け後新しいOリングを入れます。

Oリングの回りには薄くリチウム・グリースを塗付しておきます。



1013GB ポンプ クランクシャフト オイル・シール新品のオイル・シールです。

新品だけあって、リップの先端がしっかり立っています。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ オイル・シール 取り付けオイル・シール押さえにオイル・シールを取り付けます。

オイル・シール外周面(嵌め合い部)に薄くリチウム・グリースを塗付し、オイル・シール押さえにオイル・シールを指で押さえて嵌め込みます。

指でオイル・シール全体を均等に押さえます。

リード型バイスでプレスして嵌めるのも良いと思います。

今回は、オイル・シールを取り付けるのにハンマを使っていませんが、理由は樹脂であるオイル・シール押さえが破損する恐れがあるからです。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ オイル・シール 取り付け後オイル・シールの向きが間違っていないか、全体がしっかり奥まで嵌っているか、取り付けた後ですが再度確認します。

大丈夫ですね。

オイル・シールのリップ部にリチウム・グリースを塗付しておきます。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ 取り付けクランクケースにオイル・シール押さえを取り付けます。

指でオイル・シール押さえを押し込むだけですが、オイル・シールのリップ部が捲れ上がらないように気をつけて取り付けます。

1013GB ポンプ クランクケース オイル・シール押さえ 取り付け後オイル・シール押さえをしっかり奥まで入れます。

オイル・シール押さえの外面をウエス等できれいに拭き上げ、油分を取り除きます。

1013GB ポンプ エンジン取付フランジ 洗浄後エンジン取付フランジをパーツ・クリーナできれいに洗浄します。

また、ウエスで拭き上げておきます。

1013GB ポンプ エンジン取付フランジ 液体ガスケット 塗付エンジン取付フランジのクランクケース(ポンプ側)との接合面には、念のため液体ガスケット(1215)を塗付しておきます。

Oリングが付いているので必要のない事ですが、オイル・シール押さえの外周面からオイルが漏れないための保険ですね。

1013GB ポンプ エンジン取付フランジ 取り付け 固定ボルト 締め付けエンジン取付フランジを取り付けます。

6角レンチでボルトを4本締め付けるのですが、L形である6角レンチの短棒側を掴んで回す事になりトルクをかけ難いので、左写真のようにポンプ・プライヤ等を使って6角レンチを回します。

こうする事で、十分なトルクで締め付けが出来ます。

1013GB ポンプ エンジン取付フランジ 取り付け後エンジン取付フランジを取り付けた事で、オイル・シール押さえもしっかり固定されます。

1013GB エンジン 出力軸(クランクシャフト) 錆び落とし左写真のように、エンジン側のクランクシャフトが錆びていたので、潤滑材を塗付した耐水ペーパ(#1000)で磨いておきます。

1013GB エンジン 出力軸(クランクシャフト) 錆び落とし後 さっと錆びを落とす程度なので、適当に磨くだけで十分です。

スペル・キー回りに軽くリチウム・グリースを塗付します。

1013GB エンジン ポンプ 取り付け後エンジンにポンプ本体を取り付けます。

固定ボルト4本をしっかり締め付けます。

後は外した順番と逆の順番で、リコイル・スタータやカバーなどを取り付けていくだけです。

1013GB ポンプ クランクケース 検油窓給油栓(ゲージ付き)を外し、ポンプ本体(クランクケース)にエンジン・オイル(#30)を入れます。

ポンプ側の検油窓に、オイルが半分見える程度まで入れます。

カバーを取り付ける前でも良かったですね。



作成日:2016/11/9