今回は、ラビット管理機RC6800(ミツビシMMR6)で、耕運軸のオイル・シールの交換方法について説明します。
この管理機のオイル・シール交換は、第36回のものと違い、オイル・シールの交換修理としてはとても簡単な部類に入るので、個人で十分出来る修理だと思います。
必要工具と道具: 10㎜ボックス(メガネ)・レンチ×2、12㎜ボックス(メガネ)・レンチ×2、マイナス・ドライバ、ハンマ、プライヤ、カップ・ブラシ・グラインダ、耐水ペーパ(#1000)、パーツ・クリーナ、潤滑剤、万能グリース、角材×2、廃油箱(小さいもの)、オイル・ジョッキ(口が細いタイプ)
ミッション・オイル(#80)2.2ℓ
左写真で分かるように、左側の耕運軸からオイルが漏れています。
という事でオイル・シールの交換です。
ミッション・オイルを抜かないと出来ない作業なので、必然的にミッション・オイルも交換になります。
高圧洗浄機できれいに洗います。
オイル・シールは左右両方を交換するので、ロータリ全体をきれいにします。
頭付きピンを外し、左右両方の爪軸を引き抜きます。
耕運軸の回りに保護カバーが被せてある構造なので、先にロータリ・カバーとミッション・ケースとの連結板を固定しているボルトとナットを外す必要があります。
取っ手の蝶ナットを外し深さ棒を外し、Rピンと頭付きピンを外し抵抗棒を外したら、連結板とロータリ・カバーを固定している頭部10㎜のボルト(裏側にナット)を4本外します。
ここではボックス・レンチで緩みましたが、サビで裏側のナットが腐食したりして工具が滑る場合は、ディスク・グラインダでナット(ボルト)を削って外します。
その場合は、新しいボルトとナットを用意する必要があります。
ミッション・ケース側の頭部12㎜のボルトとナットの組みを、上下合わせて4組み外します。
これで保護カバーが外れます。
ミッション・オイルを抜きますが、廃油箱を入れるスペースを作るため、タイヤ下に角材を入れて車高を上げます。
角材をタイヤに接触させた状態で置いて、タイヤを手で回せば簡単に乗り上げさせる事が出来ます。
ミッション・ケース下部にある頭部12㎜のドレン・ボルトを外し、ミッション・オイルを抜きます。
パッキンを廃油箱に落とさないように気を付けます。
付着している土をパーツ・クリーナなどで落とし、残った汚れをウエスで拭き取ります。
オイル・シールを外す前に、カップ・ブラシ・グラインダで耕運軸の露出面を全てきれいに磨きます。
オイル・シールを外した後に行うと、丸見えになっているベアリングに多くの粉塵が付着してしまいます。
後で行っても、パーツ・クリーナやコンプレッサでエア吹き洗浄すれば問題ないですが、先に磨いておく事で、後でベアリングに付着する粉塵が少なくて済みます。
左写真のように、オイル・シールのツバとその接合面との間に、マイナス・ドライバの先端をハンマで打ち込んで入れます。
オイル・シール外し専用として私がいつも使用しているマイナス・ドライバは、長年に渡り酷使して、その間先端を何回も削ったりして修整しながら使い続けているものなので、先端がきれいなマイナス形状ではありません。
ツバ付きのオイル・シールなので、ツバの部分をマイナス・ドライバで外側に起こして外します。
右側も同じように外します。
写真では伝わり難いですが、このタイプのオイル・シールは簡単に外れます。
外したオイル・シールを見てみると、リップ部が内側に捲れて上がっています。
変形するような無理な外し方をした訳ではありませんが、弾性がほぼ無くなっている状態です。
左写真で分かるように、耕運軸に多少の傷が入っています。
オイル・シールのリップ部との摺動傷です。
#1000の耐水ペーパで軸表面を磨いて、傷を少しでもなだらかにします。
潤滑剤を吹き付けて磨きます。
右側も同じように摺動傷があるので、同じように磨いておきます。
左右両方をそれなりに磨いたら、パーツ・クリーナやコンプレッサでエア吹き洗浄します。
目視での変化は然程ありませんが、処理前と比べて多少はなだらかになっています。
摺動傷は深ければ深い程、オイル・シールの交換後にオイル漏れする確立が高くなりますが、これくらいしか出来ないので仕方ありません。
傷が深い場合は、ミッション・ケースを割って耕運軸も交換するという判断になりますが、そうなると格段に手間がかかるので、フジ精工のクイック・スリーブを使う手もあります。
軸受けが6005のベアリングなので、軸に適合するスリーブはある!?と思いますが、試した事がないので、機会があれば誰かチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
新しいオイル・シールにグリースを塗付します。
万能グリースでOKです。
オイル・シールを取り付けます。
指でオイル・シールを均等に押し込みます。
手だけでかなり入りますね。
オイル・シールのツバ部分をハンマで叩いて、オイル・シールをしっかり打ち込みます。
叩くポイントを対角線上にずらしながら、打撃音が甲高い音になるまでツバ全体を叩きます。
打ち込み終えたところです。
いつまでもツバ部分を叩いていると、金属面が破損してしまうので、叩き過ぎないように注意します。
右側のオイル・シールも同様の手順で取り付けます。
ミッション・ケースのドレン・ボルトを取り付けます。
バッキンの入れ忘れに注意します。
保護カバーを取り付けます。
外した順番とは逆の順番で元に戻していきます。
深さ棒を固定するブラケットは、ロータリ・カバーの深さ棒が通る穴位置と合わせて取り付けます。
ある程度合っていればOKです。
爪軸を取り付けたら、ミッション・ケースにオイルを入れます。
注入するミッション・オイルは2.2ℓです。
入れ過ぎると、注油口からオイルが溢れ出てきます。
注油口にゴム栓をして完了です。
ここまで耕運軸のオイル・シール交換について説明してきましたが、仮にタイヤが取り付いている車軸からオイルが漏れた場合でも、同じやり方でオイル・シールを交換できます。