トラクターのエンジンまわり10

農業機械の簡単メンテナンスTOPへ戻る





ヤンマー・トラクタF20Dで、エンジンをかけるとラジエータのサブ・タンクから冷却水が溢れ出してきます。

典型的なシリンダヘッド・ガスケットが切れた時に出る症状なので、シリンダヘッド・ガスケットを交換します。

シリンダ・ヘッドを外す必要があるので、邪魔になるものは全て取り外します。

どれから外しても問題ありませんが、冷却水を抜いている間にマフラとエア・クリーナ・ケースを取り外します。

ファン・ベルト、ラジエータ・ホース、インジェクション・パイプも外します。

シリンダヘッド・カバーを外します。

トラクタやコンバインではお馴染みのOHV型バルブ開閉機構のエンジンですね。

ロッカ・アーム・サポート(ロッカ・アーム一式)の固定ボルトを少しづつ均等に緩めて外し、ロッカ・アーム一式を取り外します。

そして、バルブ・ステム・エンド・キャップとバルブ・プッシュ・ロッドを全て外します。

シリンダ・ヘッドの固定ボルト(頭部14㎜)を全て外します。

ウォータ・ポンプも外します。

ウォータ・ポンプは、シリンダ・ブロックとシリンダ・ヘッド両方の冷却経路に繋がっているので、必ず外さなければいけません。

シリンダ・ヘッドには、燃料タンク側に大きいインシュレータが連結されているので、これに取り付けてあるるレギュレータとヒューズ・ボックスも外します。

これで、シリンダ・ブロックとシリンダ・ヘッドは分離出来る状態になります。





シリンダ・ヘッドを外すと、やはりヘッド・ガスケットの一部が切れています。

真ん中シリンダとウォータ・ジャケットの間が切れています。

これが今回の症状を引き起こしている原因です。

つまり、真ん中シリンダの燃焼ガスの圧力がウォータ・ジャケット側に伝わって、冷却経路に異常な圧力が加わり、ラジエータ・キャップのスプリングを押し上げてサブ・タンクに冷却水が流れ出てくるのです。

ヘッド・ガスケットを剥がします。

ヘッド・ガスケットの残りカスをきれいに落とします。

掃除機で吸い取りながら、スクレーパで擦ってヘッド面をきれいにします。

ウォータ・ポンプとの接合面も同様に行います。

カップ・ブラシ・グラインダで磨いたら、全てのウォータ・ジャケットをきれいにエア吹き掃除します。

取り外したシリンダ・ヘッドです。

こちらも同様に、ヘッド・ガスケットの残りカスをきれいに取り除きます。

全てのウォータ・ジャケットを掃除します。

排気口には、カーボンが少々こべり付いています。

折角なので、マイナス・ドライバで擦って落とします。

適当に落としたらエア吹き掃除します。

きれいに掃除したシリンダ・ヘッドです。

フライホイール・ハウジングの右側にあるタイミング窓カバーを外します。

後でバルブ・クリアランス調整が必要になるので、シリンダ・ヘッドを組み付ける前に、念のためフライホイールを回し、刻印とピストンの位置を確認しておきます。

クランクプーリの固定ナット(頭部19㎜)をメガネ・レンチなどで回せば、フライホイールは楽に回せます。

このエンジンは、「1l」の刻印でフライホイール側のピストンが上死点にくるようです。

つまり、フライホイール側が第1ピストンという事です。

全てのピストンを上死点にいないようにし、全てのシリンダ・ボアに潤滑剤を吹き付けておきます。

ヘッド・ガスケットを置きます。

シリンダ・ヘッドを載せ、固定ボルトを全て締め付けます。

一度に偏った締め方をせず、均等に締め付けていきます。





バルブ・ステム・エンド・キャップを付け、プッシュ・ロッドを入れます。

この時、バルブ・ステム・エンド・キャップの内側とプッシュ・ロッドの両端に、少量のエンジン・オイルを塗付しておきます。

ロッカ・アーム一式を取り付けますが、いきなり固定ボルトを締め付けません。

全てのプッシュ・ロッドに遊びがあるか確認します。

プッシュ・ロッドに遊びがない箇所は、左写真のように押し込まない(遊びがある)状態にしてからロッカ・アームを固定します。

ロック・ナットを緩め、アジャスタ・ボルトを緩めるという事です。

第1ピストンから、バルブ・クリアランスの調整を行います。

シックネス・ゲージを使い、吸気側を「0.20」にします。

シックネス・ゲージを引き抜くのに、少々抵抗があるくらいが丁度いいです。

排気側を「0.25」にします。

排気側のクリアランスは、熱膨張が大きいため吸気側より大きい調整になります。

フライホイールを1周させるとオーバ・ラップの位置になりますが、間違えてオーバ・ラップの位置で調整していない事を必ず確認します。

正しい位置(圧縮上死点)でクリアランス調整すると、オーバ・ラップ位置(排気上死点)では吸排気の両方のバルブが少し開いた状態、つまりクリアランスが無い状態になります。

次に、フライホイールの刻印を「2l」に合わせます。

同様に吸気側と排気側の両方を調整します。

当たり前ですが、バルブ・クリアランスは全て同じです。

吸気側が「0.20㎜」、排気側が「0.25㎜」です。

この間隙量は適当に決めたのですが、調整はきっちり行います。

フライホイールを「3l」にし、第3ピストンを調整します。

再度、フライホイールを回し全てのバルブ・クリアランスを確認したら、シリンダヘッド・カバーを取り付けます。

後は、主な部品としてウォータ・ポンプとラジエータ、インジェクション・パイプ、そしてエア・クリーナやマフラなどを取り付け、元に戻していくだけです。

最後に、冷却経路と燃料経路のエア抜きなどして終わりですが、これは他ページでも記載している方法と同じですね。

ちなみに、エンジン・オイルは交換しなくても出来る修理でしたが、折角なので交換しておきます。





過去の記載 / その他の記載