バッテリ

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バッテリは、電気を充電、放電できる蓄電池であり、トラクタやコンバインなどのエンジンの始動と運転に必要なものである。

農業機械用として使われるバッテリは、以下の役割と特徴がある。

バッテリの型式と種類
保守、取り扱い
バッテリの規格表

関連記載

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◎バッテリの型式と種類



型式



バッテリ バッテリは6槽(6セル)に分かれた電槽があり、1セルは約2.1Vで、6セル合わせて(直列接続)12V(12.6V)になる。

つまり、直流電圧12Vを取り出す事が出来る蓄電池である。


バッテリ端子は、テーパ式と小型バッテリ(Aタイプ)のボルトナット式がある。

テーパ式は、+と-を逆接続できないように+端子と-端子の寸法が違っている。



LRの見分け例: 55 B 24 R

  55=性能ランク

  B=幅と高さの区分(A~H)

  24=長さの概数(cm)

  R=端子の位置


端子の位置は、左図のように+端子側を縦面からみて右にあるものが「R」で、左にあるものが「L」である。

種類



開放型バッテリ
電解液の補水が必要である。

充電時に内部で発生したガスは、液口栓の上面にある排気口から抜けるようになっている。

良いところは、急速充電が可能で価格も安い事である。
半密閉型メンテナンス・フリー・バッテリ
密封性の高い構造なので、基本的に電解液の補水はしなくてよい。

充電時に内部で発生したガスは、還元され水に戻るようになっているのだが、僅かに排気口から抜ける。
半密閉型の多くは、液口栓を無くし充電状態が分かるインジゲータを設けている。

アンチモン(Sb)の添加量を少なくして電解液の減少を抑制したものをLM(ロー・メンテナンス・フリー)バッテリといい、Sbの代わりにカルシウム(Ca)を添加したものをMF(メンテナンス・フリー)バッテリと呼ぶ。

LMバッテリに比べ、MFバッテリはガスの発生が少なく自己放電量も少ないので優れてるが、深い放電の繰り返しや高温環境のもとでは寿命が早くなる欠点がある。

農業機械向けのMFバッテリは、電極(陽極板、陰極板)に従来のアンチモン合金(鉛とアンチモン)ではなく、カルシウム合金(鉛とカルシウム)が使われている。

そして、セパレータにはガラスマット等を使った特殊構造を用いる事によって、耐振動性、高温耐久性が増し、自己放電が少なく長期保存が可能になっている。
完全密閉バッテリ(完全メンテナンス・フリー)
小型電源用に多く使われ、完全密閉なのでガスは発生せず電解液の補水も必要ない。
電極板やセパレータに電解液を浸み込ませたり、電解液をゲル化しているので外部には何も漏れない。

適正な充電電圧で使わないと性能が維持できなくなる。

どの型のバッテリも、電解液が注入された状態で出荷され直ぐに使用出来るものが主だが、使用されるまでの保管期間が長い場合は、自己放電し容量が減っている事がある。

この場合は、新品の状態から補充電が必要になる。


他、小型バッテリでは、使用直前に電解液を注入して使用するものもある。

これは、液注入口には外気が入らないように密閉シールが貼られていて、使用直前に密閉シールを剥がし電解液を注入して使用する。

電解液注入後、20~30分くらい放置し、基本的には補充電不要ですぐに使用出来る。

より快適に使用するには、バッテリ容量の1/10の電流で1~2時間の補充電をする。

このバッテリは、保存中は内部に空気を入れると即用効果が無くなるので、密閉シールを剥がしてはいけない。



◎容量と電解液



容量



バッテリの容量は、完全充電状態から取り出せる電気量で表される。

バッテリは端子電圧が0Vになるまで放電すると、寿命自体が無くなってしまうので、一般には、放電されてから一定の電圧になるまでの放電時間と、平均放電電流の積で表される。

例えば、10Aの放電電流で5時間放電できるのなら、容量は10A×5hで50Ahとなる。


しかし、バッテリ容量は放電条件によって大きく影響されるので、表示されてる容量と違うことがある。

同じバッテリにおいては温度が低い程、放電電流が大きい程容量は小さくなる。

このため、この容量を表すためには時間率(放電率)と放電電流条件を示す必要がある。

時間率は現在5時間率で表示することになっている。

電解液



電解液比重表電解液は純度の高い無色で無臭の希硫酸が使われ、液量は最高液面線と最低液面線の間にあれば正常である。

電解液の比重は、バッテリが完全充電状態において、温度20℃を基準として熱帯地で1.240、温帯地で1.260、寒冷地で1.280の3種類を用い、日本では、1.280もしくは1.260を標準としている。

希硫酸の比重は温度が高いと小さくなり、温度が低いと大きくなる。したがって、標準温度の20℃に換算する必要がある。

電解液比重は、温度1℃の変化に対し0.0007変化するので、当温度t℃における比重を20℃に換算すると次式になる。

S20=S+ 0.0007(t-20)

S20:20℃に換算した比重、S:t℃における実測比重、t:測定時の液温(℃)


比重計で電解液を吸わせて測定した値が、約1.200(20℃)以下になったら補充電が必要である。

また、完全充電状態なら-30℃以下にならないと氷結しないが、放電状態では比重低下に比例して氷結温度が上がるので、寒冷地などでは、なるべく完全充電状態を保つようにする。

一度電解液が氷結すると陽極板の作用物質が崩壊し、再使用ができなくなる。

電解液である希硫酸は、硫酸なので皮膚や衣服についたときは直ぐに多量の水で洗い、目などに入った場合は医師の治療を受けるようにする。



◎保守、取り扱い



補充電と補水



補充電は定電流充電法(普通充電)と、急速充電法の2種類ある。

補充電は比重が約1.200(20℃)以下となったら行う。

またメンテナンス・フリー・バッテリでインジゲータ付のものは、バッテリ上部のインジケータで充電状態の良否を判断する。

緑色は良好、黒色は要充電、白色は液不足(要バッテリ交換)である。


電解液は最高液面線と最低液面線の間にあれば正常だが、少ない場合は蒸留水(精製水)を最高液面線まで補水し、その後すぐに使用しない場合はなるべく補充電する。


バッテリを長持ちさせるには、常に充電状態を良好に保つ必要がある。


バッテリはエンジン運転に応じて充放電を繰り返されるもので、使用頻度の高い自動車の場合は問題ないが、使用頻度の低い農業機械の場合、使用しない保管期間中に自己(自然)放電が進み寿命を縮めてしまう。

それを防ぐためには、-端子ケーブルを外しておき、月に1回程度で良いので補充電する必要がある。

保管時にしっかり補充電をしていれば、4~5年は使えるのでメンテナンスはとても大事である。

バッテリは一度でも完全放電してしまうと、十分な充電が出来なくなるので注意する。

定電流充電法(普通充電)の注意、留意する事

急速充電法の注意、留意する事

端子の手入れと取り外し、取り付け



鉛バッテリは放電時間が長くなると、特に+端子が腐食したり白い粉が付着する(サルフェーション)。

白い粉はぬるま湯で洗う、もしくはワイヤー・ブラシ、サンド・ペーパーで磨いて落とし、腐食防止目的で端子にグリースを塗布してから、端子(ターミナル)ケーブルをはめ込みしっかりナットを締め固定する。

端子ケーブルは、ナットの腐食などでしっかり固定できない場合は交換する。


バッテリ端子ケーブルの取り外しは、必ず「-」端子から外し、取り付けは必ず「+」端子から取り付ける。


これは、逆に+から外したり+を最後に取り付けた場合、工具がボディに接触してスパークする可能性があり危険なためである。

サルフェーション
電気を発生する段階において、希硫酸の電解液が鉛アンチモン合金からなる極板と科学反応し、そのときに発生するガスが、少しづつ外部に漏れて端子回りに白い粉が付着する。

サルフェーションが酷くなると、極板上にも大量の硫酸鉛である白い粉が固着するので、バッテリ性能はこの度合いに比例して悪くなる。

放電時間の長いバッテリは、このような症状になり充電しても元の状態に戻らなくなるので注意する。

パルス電流を流す装置を使いサルフェーションをある程度分解する事は可能だが、基本的にはバッテリ交換するほうが良い。

ブースタ・ケーブルを使う場合の接続

  1. ブースタ・ケーブルの+側(赤色)を、トラブル車の+端子にクリップ
  2. ブースタ・ケーブルの+側(赤色)を、正常車の+端子にクリップ
  3. ブースタ・ケーブルの-側(黒色)を、正常車の-端子にクリップ
  4. ブースタ・ケーブルの-側(黒色)を、トラブル車のエンジン・ブロック(バッテリから離れたところ)に接続。



作成日:2007/5