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第36回:管理機の耕運軸オイル漏れ修理について - KG70



今回は、アグリップ管理機KG70の耕運軸からオイルが漏れる症状の修理です。

この管理機は、内側の爪軸が逆回転し、外側の爪軸が正回転するタイプです。


必要工具と道具:  12㎜ボックス・レンチ、4㎜6角レンチ、マイナス・ドライバ、ラジオ・ペンチ(若しくは鏨)、ハンマ、耐水ペーパ(#1000)、パーツ・クリーナ、潤滑剤、リチウム・グリース、緩み止め剤(取り外し可能タイプ)、ノギス、ウエス、コンプレッサ、ジャッキ、鉄パイプ(各種)、叩き棒、角材、廃油箱(低い物)、オイル・ジョッキ
ミッション・オイル(#80)


KG70(HX2) ロータリ軸 オイル漏れ右側の耕運軸からオイルが漏れています。

KG70 ロータリ 洗浄後高圧洗浄機できれいに洗います。

オイル・シールを打ち込む時に、上から砂塵が落ちてきたら修理になりません。



KG70 爪軸(外側) 取り外し後外側の爪軸を外します。

Rピンを外し頭付きピンを抜いたら、爪軸を引き抜くだけです。

取付時に位置が分かるように、白ペンなどで印を付けておきます。

KG70 爪軸(内側) 6角穴付きボルト 取り外し前内側の爪軸は、4㎜の6角穴付きボルトで固定されています。

KG70 爪軸(内側) 6角穴付きボルト 取り外し後6角穴付きボルトを外します。

KG70 爪軸(内側) 取り外し内側の爪軸を外します。

オイルが浸み込んでいたので、簡単に引き抜けました。

KG70 爪軸(内側) オイル付着取り外した内側の爪軸です。

内側のロータリ軸からオイルが漏れていることが分かります。

KG70 左爪軸(内側) 取り外しちなみに、爪軸が引き抜けない場合は、叩き棒などを爪ホルダ根元にあてがい、その上をハンマで叩いて衝撃で外します。

KG70 爪軸 取り外し後外側の爪軸と内側の爪軸の回転(ロータリ)軸には、それぞれオイル・シールが取り付いています。

内側のオイル・シールだけ交換すれば直りますが、折角なので外側のオイル・シールも交換します。

KG70 ロータリ軸(内側) フェザ・キーフェザ・キーを外します。

KG70 ロータリ軸(内側) フェザ・キー 取り外し ラジオ・ペンチラジオ・ペンチで掴んで外しました。

油漏れの恩恵で簡単に外れました。

KG70 ロータリ軸(内側) フェザ・キー 取り外し 鏨ラジオ・ペンチで簡単に外せましたが、通常なら左写真のようにフェザ・キーに鏨をあてがって、その上をハンマで叩いて少しづつ起こして外します。

KG70 ロータリ軸(内側) フェザ・キー 取り外し後フェザ・キーを外した次はオイル・シールを外します。

最初に内側ロータリ軸のオイル・シールを外します。

見えているオイル・シールは、通常とは反対向きに取り付いています。



KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 打ち込みオイル・シールの嵌め合い部(外周面)に向かって、ハンマで叩いてマイナス・ドライバの刃先を打ち込みます。

ケース側の接合面を傷付けないように行います。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 起こし左写真のようにマイナス・ドライバの刃先を斜めに差し込み、その刃先を起こしてオイル・シールを外します。

仮にケース側の接合面に深い傷を付けてしまった場合は、オイル・シール取付時に液体ガスケットを塗付すれば大丈夫です。

その場合は、油分を拭き取って行います。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) 取り外し後奥にメインのオイル・シールがいます。

この狭い隙間にあるオイル・シールは、通常の向きで取り付いています。

これを外します。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 打ち込みマイナス・ドライバの刃先を、オイル・シールの大気側面(ゴム部分)に向かって真っ直ぐ打ち込みます。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 打ち込み後左写真のように破壊!?します。

当たり前ですが、ケース側の接合面とロータリ軸の摺動面に傷を付けないように行います。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 起こしマイナス・ドライバの刃先を入れて、じわりと起こして外していきます。

重いと思ったら無理に起こさず、何箇所か破壊してから行います。

オイルが出てくるので、廃油箱を下に置いておきます。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り外しハンマを使って何度かマイナス・ドライバの刃先を打ち込んだ結果、原形を留めておらず比較的簡単に取り外せました。



KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 打ち込み外側爪軸のオイル・シールを外します。

取り外し手順は、内側オイル・シールと同じです。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り外し殆ど力を使わずして外せます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り外し後こちらも奥にメインのオイル・シールがいます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 打ち込みオイル・シールの大気側面にマイナス・ドライバの刃先を打ち込みます。

内側オイル・シールの取り外しと同じで、ロータリ軸の接合面と摺動面に傷を付けないように行います。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り外し マイナス・ドライバ 刃先 起こしマイナス・ドライバの刃先を起こして、オイル・シールを外します。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り外し小さいオイル・シールなので、とても簡単に外せます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り外し後これで、右側の爪軸にあるオイル・シールは全て外れました。

左写真で分かるように内側ロータリ軸のオイル・シールは、決まった位置で固定される構造になっていません。

ベアリング外輪で受けるようにもなっていません。

KG70 ロータリ軸 外したオイル・シール右側の爪軸から外した全てのオイル・シールです。



KG70 タイヤ 取り外し ジャッキ・アップまだギヤ・オイルを抜いていなかったので、廃油箱を置くスペースを確保するためにジャッキ・アップして右タイヤを外します。

ギヤ・オイルの排油口は、右車軸の下にあります。

KG70 タイヤ 固定ピンタイヤは、頭付きピンとRピンで固定されています。

Rピンと頭付きピンを外します。

KG70 タイヤ 取り外し後 転倒防止右タイヤを外したら、廃油箱を置く場所を作るため、車軸に適当な鉄パイプを差し込み、その下に転倒防止のために角材を入れます。

KG70 ミッション・オイル 排油ドレン・ボルト(頭部12㎜)を外してミッション・オイルを抜きます。

通常、排油は最初に行うものですが、このように途中で行ってもいいのです。

KG70 ミッション・ケース ドレン・ボルトドレン・ボルトにはOリングが付いているので、無くさないようにします。

というより、Oリングはなるべく新品に交換しておきましょう。

KG70 ロータリ軸(外側) 研磨ロータリ軸を#1000の耐水ペーパを使って磨きます。

必ずロータリ軸に潤滑剤(灯油やオイルでもOK)を吹き付けてから行います。

KG70 ロータリ軸(内側) 研磨内側のロータリ軸も同様に磨きます。

KG70 ロータリ軸 研磨後磨き終わったら潤滑剤(灯油もOK)で全体の汚れを落とし、最後はコンプレッサでエア吹き洗浄しておきます。

ミッション・オイルを抜き、ロータリ軸の下処理も終わったら、ドレン・ボルトを取り付け、タイヤもはめておきます。

KG70 ロータリ軸 オイル・シール 打ち込み パイプオイル・シールの取り付けに使う4本の鉄パイプです。

オイル・シールの外径になるべく近いものを用意しました。

パイプはきれにしておきます。



KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC)外側ロータリ軸のメインのオイルシール(TC)です。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) グリース 塗付リチウム・グリースを塗付します。

塗付という表現から程遠くなっていますが、嵌め合い部に限ってはエンジン・オイルでもいいですね。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り付け手でオイル・シール(TC)を入れます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り付け 打ち込み パイプ 使用オイル・シールにパイプを真っ直ぐあてがい、その上をハンマでやさしく叩いて打ち込んでいきます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り付け 打ち込み奥までオイル・シールを打ち込みます。

奥まで入ったかどうかは、打撃音が変わるので分かります。

パイプの叩く位置を少しづつ変えては叩き、全体がきっちり奥まで入ったか確認します。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(TC) 取り付け後奥まで打ち込んだ後の写真です。

写真上、見やすくするためグリースを拭き取ってあります。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り付け 向き次にオイル・シール(VC)を取り付けます。

先のオイル・シール(TC)とは向きが違います。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り付け手で押さえて取り付けます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り付け 打ち込み パイプ 使用仕上げにパイプを使って、オイル・シールを奥まで打ち込みます。

ハンマでパイプをやさしく叩き、メインのオイル・シール(VC)に当たるところで打ち込みを止めます。

KG70 ロータリ軸(外側) オイル・シール(VC) 取り付け後片寄っていないことを確認出来たら、右の外側ロータリ軸のオイル・シール交換は終了です。



KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC、VC) 厚み 測定内側のオイル・シールを取り付ける前に、2つのオイル・シール(TC、VC)を合わせて厚みを測っておきます。

厚みは大体13㎜ですね。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール 嵌め合い部 取付面(ケース側) 奥行き 測定値ケース側のオイル・シールが取り付く面の奥行き(有効幅)は、大体17㎜でした。

オイル・シールの出面が取り外し前は面一だったので、単純に2つ重なって取り付いていたとして、17-13=4で奥から4㎜手前にいたことになります。

つまり、打ち込む時は気を付けないと、必要以上に入り過ぎてしまいます。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC)内側ロータリ軸のメインのオイルシール(TC)です。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) グリース 塗付リチウム・グリースを塗付します。

嵌め合い部にエンジン・オイルを塗付するのもいいと思います。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り付け手でオイル・シールを入れます。

前項で説明してきましたが、このオイル・シールは打ち込み過ぎないように気を付けなければいけません。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り付け 打ち込み パイプ 使用パイプを使います。

ちょうどいいサイズのパイプは、この短いものしか持ってませんでした。

後項で延長に使っているパイプは長さもあっていいのですが、パイプ径が少し小さく、当て物として使うには少し不十分なので、短いですがオイル・シールの外径により近いサイズである、このパイプを当て物として使いました。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り付け 打ち込み 延長パイプ 使用さらにパイプを延長させて、その上をハンマで叩いてオイル・シールを打ち込んでいきます。

簡単に入っていくので、片寄らないように気を付けて慎重に打ち込んでいきます。

片寄っている(斜めに取り付いている)とオイル漏れする可能性があります。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(TC) 取り付け後ノギスで測定して片寄っていないか確認しながら行います。

元の位置より1㎜くらい奥に打ち込みました。

仮に打ち込み続けると、ベアリングの保持器に接触するまで入っていき、そこで止まるはずです。

そうなったとしても問題はない(仕方がない)のですが、やはり元の位置と同等か少しだけ奥で収めたいものです。

作業時ロータリ軸は、オイル・シールのリップ部と回転摺動し続けています。

軸付きオイル・シールではないので、どうしても摺動摩擦でロータリ軸に摺動傷が入ります。

この摺動傷に、新しいオイル・シールのリップ部が重ならないように取り付けたいのです。

そうならないように、元の位置より少しだけ奥に取り付けるのです。

また、いきなり一番奥まで打ち込んでしまうと、それだけロータリ軸に泥が付く(錆びる)面積が増えるので、万が一またオイル・シールを交換しなければいけない時、きれいな摺動面が使えなくなってしまいます。

様々な農機具がありますが、オイル・シール交換でノギスを使うことは滅多にないので、この管理機のオイル・シール交換は難しいと言えるかもしれません。



KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) グリース 塗付オイル・シール(VC)です。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) 取り付け手でオイル・シール(VC)を入れます。

指で押し込んでオイル・シールを取り付けます。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) 取り付け 打ち込み パイプ 使用パイプを真っ直ぐあてがい、丁寧に打ち込みます。

力強く叩くと、奥のメインのオイル・シールまで動いてしまうので、気を付けて打ち込みます。

KG70 ロータリ軸(内側) オイル・シール(VC) 取り付け後片寄っていないことを確認出来たら、右の内側ロータリ軸のオイル・シール交換は終了です。

ロータリ軸に古いオイル・シールの摺動傷が見えるので、元の位置より奥で取り付けた事が分かりますね。

KG70 ロータリ軸 爪軸 取り付け前爪軸(内側、外側)を取り付けるので、フェザ・キーを取り付けます。

多少の防錆効果も期待し、リチウム・グリースをロータリ軸全体に塗付しておきます。

KG70 爪軸(内側) 6角穴付きボルト 緩み止め剤 塗付内側の爪軸の固定ボルト(6角穴付き)に緩み止め剤を塗付します。

緩み止め剤は、取り外し可能タイプを使います。

KG70 ロータリ軸 爪軸 取り付け後内側と外側の爪軸をそれぞれ取り付けます。

内側の爪軸は、6角穴付きボルトをしっかり締め付けます。

外側の爪軸は、付けておいた印を合わせて取り付けます。

KG70 ミッション・ケース ミッション(ギヤ)・オイル 注入口オイル栓を外し、ミッション(ギヤ)・オイルを入れます。

#80を5.2ℓです。

KG70 ミッション・ケース オイル栓 取り付け後オイル栓をして終了です。



作成日:2014/9/5