丸山製の動力噴霧機MS303で圧力がかからない、または吸水しない場合の修理について記載します。
この噴霧機はピストン式ですが、吸水しない原因はピストン・パッキンの磨耗、損傷による圧力低下が多く、ピストン・パッキンを交換します。
…吸水管ホースの接続(接続金具の緩み、Oリング確認)、ストレーナの詰まりなどの初歩的な原因を確認済み
主に必要な工具、道具:13㎜メガネ・レンチまたはボックス・レンチ、マイナス・ドライバ(先端の細いもの)、ラジオ・ペンチ、エンジン・オイル、シリコン・グリース、歯ブラシ(洗浄用)、コンプレッサ(エア吹き掃除)、灯油少量(洗浄用)、ウエス数枚、
交換した部品:ピストン・パッキン(3個)、OリングP21㎜(9個)、OリングP22㎜(3個)、Oリング23㎜×1.5㎜(3個)、割りピン1.6㎜×10㎜(3本)
丸山のMS303です。
ピストン・パッキンの交換なので、空気室(丸い筒状のもの)や調圧弁など関係のないものは外しません。
左右の頭部13㎜の正ネジナットをそれぞれ外します。
シリンダ先ケースを外します。
圧力計、空気室、調圧弁などはこのケースに付いたままです。
シリンダ先ケースは手で簡単に外れます。
シリンダ先ケースを外したら、シリンダ・パイプ、パイプ受け金具、吐出し弁を全て外します。
吐出し弁は先端の細いマイナス・ドライバなどを使い、少しづつ起こして外します。
吐出し弁は吸水と噴射を確実に実行させる働きがあり、錆などでバネの破損、弁の膠着がないか確認します。
シリンダ・パイプを3つ外した後の写真です。
シリンダ・パイプはそのまま引き抜けば簡単に外れます。
先端の割りピンを外してから、頭部10㎜の正ネジナットを外します。
順次、外していきます。
パイプ受け金具は、シリンダ元ケースを外してからでも良いです。
上からパイプ受け金具、吸水弁ベンザ、吸水弁カラー、ピストン・パッキン、吸水弁ストッパ、バネ座金、頭部10㎜正ネジナットです。
破損したピストン・パッキンです。
3本あるうちの一つがこの状態でした。
シリンダ・パイプの内側に縦傷がないか、3本とも確認します。
これはまだ大丈夫でした。
シリンダ元ケースの後側です。
後側はシール・パッキンが付いてます。
極端に劣化すると吸水不良になったり、ここから水漏れします。
本来ならここも交換しておくのがベストですが、今回は予算の絡みもありそのまま使用します。
ピストン・パッキンより単価が高いから驚きです。1個2千円を超えます。
シリンダ元ケースの前側です。
前側はパイプ受け金具が付いています。
3個とも外してOリングを換えます。
Oリングは先端の細いマイナス・ドライバで簡単に外せます。
Oリング:P21㎜(6個)
当然ですが、Oリングなどを組み付ける前には、灯油などで汚れをきれいに落としておきます。
歯ブラシなどで磨いたあとに、コンプレッサを使いエア吹きするのが良いかと思います。
真ん中位置に取り付いている、パイプ受け金具です。
何故かは分かりませんが、真ん中だけファイバ・パッキンが付いています。
ファイバ・パッキンはシリンダ元ケース側に入れます。
シリンダ元ケースを外したあとは、このフェルト・パッキンが付いています。
これはピストン棒を円滑に往復運動させるためのもので、エンジン・オイルが浸み込んでいます。
また、ゴミ取りの役目も果たしています。
※吸水とは関係ないので外さなくてもよいものです。
ふり切りパッキンも吸水には関係ないので、外す必要はありません。
一応、写真を載せておきます。
シリンダ先ケースには、吐出し弁とパイプ受け金具が付きます。
パイプ受け金具のOリングは交換しておきます
吐出し弁は灯油や軽油を使い歯ブラシで磨くなどして錆や汚れを落とし、弁を押しているバネが破損していないか確認します。
弁を指で押して閉じれば良しとします。
Oリング:P21㎜(3個)、P22㎜(3個)、P23㎜×1.5㎜(3個)
新品のピストン・パッキンです。
組み付けの際は向きを間違えないようにします。
シリンダ元ケースをクランク・ケース本体に取り付け、パイプ受け金具を取り付けます。
吸水弁ベンザ、吸水弁カラー、ピストン・パッキン、吸水弁ストッパ、バネ座金の順に入れ、頭部10㎜正ネジナットで締め込みます。
最後に割りピンを入れ両先端をしっかり曲げて、抜け止めしておきます。
Oリングとピストン・パッキンには、エンジン・オイル、またはシリコン・グリースを塗付してからシリンダ・パイプを差し込みます。
グリースを塗る場合は表面に薄く塗ります。
◎オイル交換、注油について
クランク・ケースのオイルは、検油窓(オイル・ゲージ)中心の赤い点のところまで油面が見えればOKです。
オイルはガソリン、ディーゼルどちら用でも良いので、エンジン・オイル#30を入れます。
0.4~5ℓで適量です。
交換は100時間毎です。
また、水分が混入するとオイルは白くなるので、本来ならオイル・シール、ふり切りパッキンなどの交換になりますが、オイル漏れしていない限り、個人的には通常のオイル交換で構わないと思います。
ドレン・ボルトは検油窓の下にある頭部19㎜の正ネジボルトです。
ここから抜きます。
※今回の修理で、オイルは抜く必要がありません。
オイル注入口は、クランク・ケース上面にある赤いキャップがあるところです。
このキャップは正ネジになっています。
また、赤いキャップと調圧弁の間に3つ穴が開いていますが、そこにはエンジン・オイルを注油します。
オイルはフェルト・パッキンに浸み込んで、その後ピストン棒表面に油膜を張り、余り油はオイル・パンに貯まります。