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チェーン・ソー修理

アイドリングでチェーン刃が回る(ME333T)



ME333T 遠心クラッチ クラッチ・スプリング 破損マキタ・チェーンソーME333Tで、アイドリング状態でもチェーン刃が回ります。

原因は片方のクラッチ・スプリングが無いことです。

ME333T 破損したクラッチ・スプリング折れたクラッチ・スプリングです。

アイドリング状態でもクラッチ・シューには遠心力が働くので、スプリングが無いとクラッチ・シューは簡単に開いてしまいます。

つまり、クラッチ・ハウジングにクラッチ・シューが押し当てられ、回転動力が伝わってしまったということです。

ME333T スパーク・プラグ 取り外しクラッチ・スプリングの交換は、クラッチ(遠心クラッチ)を外さないと出来ません。

クラッチを外すには、クランクシャフトを回らないように固定しないと出来ません。

クランクシャフトを回らないようにするには、ピストンの往復運動に制限をかければ良いのです。

プラグ取付穴にピストン・ストッパを取り付け、ピストンの往復運動に制限をかけます。

ということで、ピストン・ストッパを取り付けるためスパーク・プラグを外します。

スパーク・プラグ専用の工具がありますが、ピストン・ストッパを自作してみます。

使わなくなったリーチ(ネジ長さ)のあるスパーク・プラグを使います。

このプラグをそのまま取り付けてもピストン・ストッパ代わりになりますが、燃焼室でプラグの碍子脚部が粉砕するのでやらないほうがいいです。

スパーク・プラグ 加工 ピストン・ストッパ先端(電極部)をディスク・グラインダで削り落とし、軸径8㎜のボルトを溶接しました。

ネジ山は目立て鑢でしっかり修整します。

ボルトの長さは適当なので、後で取り付けた時ピストンに当たるようならディスク・グラインダで削って短くします。
もちろん、金属粉はコンプレッサを使いエア吹きして飛ばしておきます。

ちなみに、もう少し簡単にピストン・ストッパを作る方法もあります。

ディスク・グラインダでリーチのあるスパーク・プラグの先端(電極部)を削り落として、ネジ山を修整するだけです。

この場合はネジ山をピストンで傷めないように、削った後の先端形状をテーパにします。



ME333T ピストン・ストッパ(自作) 取り付けピストンを下死点まで下げておきます。

自作ピストン・ストッパを手でゆっくり回して(少しでも重いと思ったら無理に回さない、ねじ山を修整し直す)取り付けていき、同時にクラッチを手で左右に小刻みに回してピストンに多少の上下運動が出来る遊びがあるか、その遊びを最後まで確認しながらピストン・ストッパを締め付けていきます。

完全に締め付けた状態で、少しでもピストンが上下する遊びがあればOKです。

要はピストン・ストッパがピストンを押し付けていないか確認するということです。

ME333T 遠心クラッチ クラッチ・スプリング 破損 左ネジ左写真で分かるように、クラッチは逆ネジで取り付いています。

矢印と「OFF」の刻印がありますが、まさにその矢印の方向に回して外すということです。

クラッチ中央のボスを回す必要があります。

ME333T 遠心クラッチ 取り外し スパナ 加工クラッチを外す道具を、これまた作ります。

使わなくなった17㎜のスパナを、左写真のようにディスク・グラインダで削ります。

ME333T 遠心クラッチ クラッチ・スプリング 破損 取り外し自作工具をクラッチ・ボスのところに入れます。

モンキ・レンチを使い自作工具を回します。

間違ってもクラッチ・シューを叩いて外そうとしてはいけません。
衝撃を与えて外すそうとすると、コンロッドなど折れる可能性があります。

ME333T 遠心クラッチ クラッチ・スプリング 破損 取り外し後クラッチが外れました。

後はラジオ・ペンチを使い、クラッチ・スプリングの交換です。

折れていない方のクラッチ・スプリングも交換しました。

ME333T 遠心クラッチ クラッチ・スプリング 交換後クラッチの取り付けは、逆ネジなので左回転ですね。