エンジンが始動しない(YK300)
ヤンマー管理機YK300で、エンジンが全くかかりません。
何回かリコイル・スタータを引いてクランキングしてみましたが、確かに「プスッ」とも言いません。
スパーク・プラグを外してみたら全く濡れてなかったので、燃料が燃焼室まで来ていないということになります。
スパーク・プラグをアースさせてクランキングしたら火花は出ていたので、とりあえずスパーク・プラグ取付穴から燃焼室にCRCを数回吹き付けてからスパーク・プラグを取り付けます。
すぐにリコイル・スタータを引いてクランキングしたら初爆があったので、単純にキャブレータまで燃料が来ていないか、または来ていてもメイン・ジェットが詰まっているかのどちらかです。
エア・クリーナ・ケースを外します。
いつもならフロート・チャンバ・ケースの燃料抜きドレンを緩めて、キャブレータまで燃料が来ているかを確認するのですが、今回は最初からキャブレータ掃除するつもりなので確認していません。
理由は、何ヶ月か前に使った時にエンジンの調子が悪かったと聞いたからです。
燃料コックのストレーナ・カップを外し、キャブレータ・クリーナを吹き付け汚れを落としておきます。
キャブレータを固定している頭部10㎜のボルト2本を外します。
ブリーザ・ホースも外します。
ガバナ・ロッドとロッド・スプリング、そして燃料ホースを外してキャブレータを取り外します。
フロート・チャンバ・ケースを固定しているボルトを外してみると、キャブレータから水が出てきました。
ボルトも錆びが発生しています。
水が出てきた事により燃料タンク内が気になったので確認しましたが、思ったより錆びが少なく問題ないレベルでした。
また、燃料タンク内にも多少の水が溜まっているかもしれないと思い、燃料コックを開いて少し燃料を出したところ大丈夫でした。
フロート・チャンバ・ケースを外します。
パッキンを切らないように、ゆっくり少しずつ外していきます。
パッキンがくっ付いてきたので、マイナス・ドライバでパッキンを上手に剥がします。
フロート・チャンバ・ケースを外すと、メイン・ノズル回りが見るからに黒く汚れています。
まずは、メイン・ジェットを外します。
やはり、メイン・ジェットは詰まって穴が塞がっています。
キャブレータ・クリーナを吹き付けます。
エンジンが「プスッ」とも言わないのは、これが原因です。
通常、メイン・ジェットが詰まっていなければ、調子はともかくエンジンはかかります。
キャブレータ・クリーナだけでは穴が通らないので、細い針金を使ってメイン・ジェットの詰まりを取ります。
左写真のように針金を通します。
次にパイロット・ジェットを外して掃除します。
これも黒く汚れて穴が塞がっているように見えます。
細い針金を下穴に通し掃除します。
このタイプのパイロット・ジェットはよく使われるタイプですが、下穴にキャブレータ・クリーナを吹き付けて両横穴から液剤が出てきたので、穴は通ったという事です。
フロートも外します。
外した部品全てにキャブレータ・クリーナを吹き付け、適当に浸け置きしておきます。
フロート・チャンバ・ケースの内側や固定ボルトは、耐水ペーパで磨いて錆び汚れを落としておきます。
キャブレータ本体の掃除を行います。
ベンチュリにエア・ジェットが2つ(メインとスロー)ありますが、このエア・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付けます。
右側のメイン・エア・ジェットから掃除します。
左写真のように、メイン・ノズル取付穴からキャブレータ・クリーナの液剤が出てきたので穴(メイン・エア・ブリーダ)は通っています。
ここではメイン・ノズルを外さず行っていますが、当然メイン・ノズルは外したほうが良いです。
メイン・ノズルはマイナス・ドライバで外せるので、キャブレータ・クリーナを吹き付けきれいにしておきます。
次にスロー・エア・ジェット(低速用)を掃除します。
パイロット・ジェット取付穴とベンチュリ奥のスロー・ポートとアイドリング・ポートから、キャブレータ・クリーナの液剤が出てきたので穴は通っています。
アイドル・アジャスト・スクリュは外していませんが、スロー・エア・ジェットとそのアイドル・アジャスト・スクリュの取付穴とベンチュリが細い穴(ホール)で繋がっているので、ベンチュリにキャブレータ・クリーナの液剤が出てこればOKという事です。
また、パイロット・ジェットの取付穴にキャブレータ・クリーナを吹き付け、スロー・ジェットからキャブレータ・クリーナの液剤が出てきたので穴は通っています。
左写真で、メイン・ノズルの少し上にあるのがスロー・ジェットです。
この穴からもキャブレータ・クリーナを吹き付けます。
同じような部品名称ばかりなので、記事を書いていると訳が分からなくなりそうです。
燃料の通り道もキャブレータ・クリーナを吹き付け掃除しておきます。
また、エア・ベントにもキャブレータ・クリーナを吹き付け掃除しておきます。
エア・ベントとはフロート・チャンバからキャブレータ・ボディの外に繋がっている空気の通り道で、管理機では滅多に詰まる事はありませんが、詰って穴が塞がるとオーバ・フローを起こします。
その後、キャブレータを組み付けエア・クリーナを取り付け、エンジンは調子よく始動したので修理完了です。