吹け上がらない(BCZ271STG)
ゼノア草刈機BCZ271STGで、吹け上がらない症状です。
購入してから2年しか経過しておらず、使用時間も多くないと聞いている草刈機です。
また、燃料も抜いてあり保管状態も良いとの事です。
マフラの排気口に詰まりが無い事を確認した後、新しい燃料を入れ何回か動作確認してみましたが、確かにもたついて高速回転になりません。
状況からしてキャブレータ調整だけで直ると思いましたが、その前に一応マフラを外してカーボンの付着具合を確認しておきます。
スパーク・プラグの焼け具合も正常で、やはりマフラと排気口のカーボン付着も全く無くきれいな状態です。
確実に直す事が大事なので、念のためキャブレータも外して確認する事にします。
キャブレータはきれいな状態だと思いますが、分解掃除しておきます。
2011年の排ガス規制に適合した層状掃気式の2サイクル・エンジンなので、ベンチュリが2つあるキャブレータが使われています。
ワイヤ受け金具とキャブレータからスロットル・ワイヤを外します。
ワイヤ受け金具は、アウタ・ケーブルが外れないように黒いジョイントで固定してあるので、それを外します。
また、キャブレータのスイベル(ワイヤ端子引掛け部)は、インナ・ワイヤ端子が外れないように白いキャップを被せてあるので、それを外します。
スイベルの溝にインナ・ワイヤ端子が嵌っているだけの構造なので、スロットル・シャフトを指で回せば簡単にインナ・ワイヤが外れて、スロットル・ワイヤを引き抜く事が出来ます。
これらは無くても、すぐにスロットル・ワイヤが外れてしまう訳ではありません。
層状掃気式のキャブレータと言っても、ベンチュリが2つある以外は従来のものと変わりありません。
ネジを4本外して分解してみると、やはりきれいな状態です。
プライヤで掴んで外します。
ダイヤフラム・メタリングを外してみてもきれいです。
ダイヤフラム・メタリングはガスケットを挟んで取り付いているので、カッタを使ってガスケットを切らないように丁寧に剥がしていきます。
ガスケットのカスがへばり付いていますが、この程度は全く問題なく、組み付ける時はこのままで問題ありません。
フィルタ側もきれいです。
キャブレータ・クリーナを吹き付けて簡単に掃除しておきます。
ダイヤフラム・ポンプを外します。
これもカッタを使い、ガスケッットを切らないように剥がします。
きれいな状態なので、燃料調整スクリュ(高速用)は外すまでもありません。
メイン・ノズルの掃除だけしておきますが、内部で燃料調整スクリュ回りにもキャブレータ・クリーナの液(泡)剤が少しは浸透するはずです。
メイン・ノズルにキャブレータ・クリーナを吹き付けると、左写真のように下側のベンチュリから液(泡)剤が出てきますが、やはり目立つ汚れはありません。
最後はコンプレッサでエア吹き掃除しておきます。
下側のベンチュリからは、従来通りに混合ガスが吸気孔を通じてクランクケースへ吸い込まれ、上側のベンチュリからは、空気だけがリード・バルブを通じて掃気通路に吸い込まれます。
パルス・ホースにキャブレータ・クリーナを吹き付け、コンプレッサで軽くエア吹き掃除しておきます。
パルス・ホースは、クランクケース内のピストン上下動によって変化する内圧(脈動圧)をキャブレータのダイヤフラム・ポンプに伝えるためのホースです。
このホースが詰まる事は殆どありませんが、仮に詰まったり破れたりすると、ダイヤフラム・ポンプが十分に作動しなくなり、エンジンが調子良く吹け上がらなくなります。
キャブレータを取り付けます。
スロットル・ワイヤを取り付けたら、ワイヤ受け金具とワイヤ・スリーブ(アウタ・ケーブル)をジョイントで固定し、スイベル(ワイヤ端子)にキャップを被せます。
この時点で試しにエンジンを始動してみましたが、最初と何ら変わりが無くもたつきます。
キャブレータは詰まりが無くきれいな状態だと確認できたので、次はキャブレータの調整に入ります。
燃料調整スクリュは低速用と高速用があり、調整するのは高速用のスクリュです。
低速用のスクリュはスロットル・シャフト中心部にありますが、これは触りません。
燃料調整スクリュの半透明の樹脂キャップを外します。
調整は精密ドライバ(マイナス)が必要です。
基準開度は大まかに言って、右に一杯回して締めてから、左に2回転弱回したあたりです。
エンジンを始動し、最も調子が良くなる位置に微調整をかけます。
もたつかず吹け上がり、エンジン回転が全回転域で安定する調整が出来ました。
比較的に新しいエンジンで何故キャブレータ調整が必要になるのかは説明できませんが、こういう事はメーカに関係なく時々起こります。
結局この調整だけで症状は改善されたという事になりますが、これは結果論なのです。