エンジンがハンチング(SPJ400K)
クボタ田植機SPJ400Kで、エンジンは始動するがハンチングして不安定な状態です。
キャブレータ掃除になるので、ボンネットを開けます。
リヤ・カバーを外します。
この田植機は、4点(グロメット)を嵌め込んであるだけなので簡単に外せます。
エア・クリーナ・ケース・カバーを外します。
エア・クリーナ・エレメントは、ボロボロなので交換になります。
エア・クリーナ・ケース・カバーは、後で良いので、次に外すケースと一緒にきれいに掃除しておきます。
頭部10㎜の固定ボルト2本を外し、エア・クリーナ・ケースを外します。
プラス・ネジを緩め、キャブレータからチョーク・ロッドを外します。
頭部8㎜の固定ボルトを緩め、燃料コックから開閉ロッドを外します。
燃料コックは閉じておきます。
頭部10㎜の固定ボルト2本を外し、エルボ(パイプ)とキャブレータを外します。
エルボに嵌め込んであるブリーザ・ホースも外します。
ガバナ・ロッドとロッド・スプリングが付いた状態で、キャブレータが外れます。
ラジオ・ペンチを使いとロッド・スプリングを外したら、キャブレータを傾けてガバナ・ロッドを外します。
キャブレータを取り外したエンジン側は、このままで構いません。
フロート・チャンバ・ケースが少し濡れています。
ガソリンが少し漏れているという事です。
頭部12㎜の固定ボルトを外します。
ボルトのパッキンは破れていないようです。
フロート・チャンバ・ケースを外します。
先程ボックス・レンチを使用しましたが、これでフロート・チャンバ・ケースを軽く叩き、慎重に膠着を取ります。
フロート・チャンバ・ケースをゆっくり少しずつ外します。
一気に外すと、パッキン(ガスケット)が切れる恐れがあります。
パッキンがくっ付いてきたので、マイナス・ドライバで少しずつ剥がします。
パッキンは切らかしていませんが、ゴムが硬化しています。
硬化して弾性がなくなった事で、合わせ面から少しガソリンが漏れているのだと思います。
目で見えない程度のヒビが入っているのかもしれまんが、そうでなくても漏れる事は、珍しいですが確かにあります。
ケースとボルトの両パッキン、そして燃料コック取り付け部のOリングを交換しておけば間違いないですが、どれも持ち合わせていなかったので、とりあえずこのままいきます。
キャブレータは大して汚れていませんでしたが、折角なのでニードル・バルブやメイン・ジェットなどの主要部品を外して掃除します。
フロート・ピンは片方を潰してあるので、潰してある方をラジオ・ペンチで掴んで引き抜きます。
エア・クリーナ・エレメントのスポンジのカスでしょうか、メイン・エア・ジェットとスロー・エア・ジェットを少し塞いでいるように見えます。
これが、今回の症状であるハンチングの原因です。
この2つのエア・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付けますが、その前に、これらの穴がどこに繋がっているのか説明します。
プラス・ネジで栓をしてあった箇所で、奥に見えるのがスロー・ジェットです。
精密ドライバで外す事が出来るジェットですが、今回は外しません。
このスロー・ジェットは、ネジで栓をする事でパイロット・ジェットとして作用します。
この穴とスロー・エア・ジェットが繋がっています。
左写真で分かると思いますが、メイン・ジェットが付いていた穴の奥に見える小さな穴もスロー・ジェットです。
このスロー・ジェットは、もう片方のスロー・ジェット、スロー・エア・ジェット、そしてスロー・ポート、アイドル・ポートに繋がっています。
スロー・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付けます。
もう片方のスロー・ジェットからきれいなクリーナ液が出てきたので、とりあえずOKとします。
メイン・エア・ジェットとスロー・エア・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付けます。
左写真は、メイン・エア・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付けていますが、メイン・エア・ジェットは、メイン・ノズルが付いていた穴奥の側面にある小さな穴に繋がっていて目視が難しいので、クリーナ液の通り具合で確認します。
スロー・ジェット(栓をする側)がある穴を指で蓋をした状態で、スロー・エア・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付けます。
ベンチュリにあるスロー・ポートとアイドル・ポートからクリーナ液が出てこればOKです。
キャブレータが比較的きれいだった事と、アイドル・ポートがあまり詰まる箇所でない事から、この穴に取り付けてあるアイドル・アジャスト・スクリュは外していません。
エア・ベントにもキャブレータ・クリーナを吹き付けて、穴の通り具合を確認しておきます。
この穴が詰まるとオーバ・フローします。
外した部品等に詰まりはありませんが、キャブレータ・クリーナを吹き付けておいて少し放置します。
頭部10㎜のスパナでストレーナ・カップを外します。
少しゴミが溜まっています。
キャブレータ・クリーナを吹き付け汚れを溶かし、潤滑剤で洗い流します。
きれいになったら元に戻します。
頭部ピンを指で押して離すと、バネが効いて元に戻ります。
スムーズな動きを確認出来たのでOKです。
潤滑剤で洗ってから、フロートと共にキャブレータに組み付けます。
コンプレッサがない現場なので、代わりに潤滑剤を使ってます。
ちなみにパーツ・クリーナは冷えて結露する恐れがあるので、キャブレータ掃除には使わないほうが良いです。
こちらも潤滑剤で洗い流し、メイン・ノズル、メイン・ジェットの順に取り付けていきます。
左写真で分かるように、ベンチュリ回りもきれいにしてあります。
スロー・ジェットがある穴にプラス・ネジを締めて栓をします(元に戻します)。
プラス・ネジを締め忘れると、パイロット・ジェットとして働かなくなりハンチングします。
フロート・チャンバ・ケースを取り付けますが、燃料排出レバー(ワンタッチ・ドレン)の位置を考えないといけないので、この時点では、固定ボルトを手で軽く締めておきます。
キャブレータを取り付けるので、エルボとキャブレータに通しボルト(固定ボルト)を入れます。
フロート・チャンバ・ケースの燃料排出レバーの位置が悪いので、固定ボルトを緩めて修正します。
いつもなら外す前に位置が分かるように印を付けておくのですが、今回は後からの修正です。
エア・クリーナ・ケースを取り付けて干渉しない事を確認出来たので、新品のエア・クリーナ・エレメントを取り付けてカバーを嵌めます。
燃料排出レバーが元の位置と違いますが、リヤ・カバーを簡単に外せるので、良しとしてもらってます。
ここで、エンジンを始動しスロー調整をします。
ハンチング症状は直り、偶々ですが、フロート・チャンバ・ケースからの燃料漏れも止まったようです。
5分程様子を見て問題なかったので、リヤ・カバーを取り付けます。
ついでにエンジン・オイルの量を確認し、適正だったので良しとします。