左旋回がし難い(MPR55) / 後車軸のオイル漏れ(NSD8)
ミツビシ田植機MPR55で、左旋回がスムーズに出来ない症状です。
古い機械ですが直します。
実際に運転してみると、左のブレーキ・プダルを踏み込んでも左のサイド・クラッチが切れません。
サイド・クラッチ・ロッドの遊びが異常に大きくなっていた(異常を感じ)ので、後車軸ケースを分解します。
最初にブレーキ蓋を外して、ブレーキ・ドラムを外す必要があります。
ブレーキ・シューはまだ使えそうです。
左写真で分かるように赤錆まるけですが、掃除すれば大丈夫です。
後車軸ケースを分解してみると、クラッチ・アーム軸にあるベアリングの外輪がありません。
これでは、サイド・クラッチが作動しないはずです。
また、サイド・クラッチ・ロッドの遊びも大きいはずです。
旋回できない原因はこのベアリングの破損ですが、折角なのでサイド・クラッチのディスク・プレートのフェーシングが剥離していないか確認します。
サイド・クラッチを分解するには、ケースから見えている穴用スナップ・リングを外す必要があります。
強力な皿バネでワッシャを外側に押しているので、穴用スナップ・リングは簡単に外れません。
したがって、ワッシャを内側に押し込んでおいて穴用スナップ・リングを外します。
ワッシャだけを押し込むため、鉄パイプで適当に専用工具を自作します。
左写真のように自作の専用工具で挟んだサイド・クラッチを油圧ジャッキの上に載せて、トラクタの前部をジャッキ・アップします。
ジャッキ・アップすると言っても、トラクタの前部を持ち上げる訳ではありません。
この方法でワッシャだけを押し込むのです。
ワッシャと穴用スナップ・リングとの間に遊びが出来たら、穴用スナップ・リングを外します。
穴用スナップ・リングを外したら皿バネが外れます。
このサイド・クラッチは左写真で分かるように、ボスが外側に動いた時にクラッチが切れるようになっています。
ディスク・プレートとセパレータ・プレートをごっそり外します。
ディスク・プレートを1枚1枚順番に確認します。
結果、フェーシングの状態は問題ありませんでした。
クボタ田植機NSD8で、後車軸からのオイル漏れです。
左右両方の後車軸のオイル・シールを交換するので、ジャッキ・アップして後輪を外し、ドレン・ボルトを外し排油します。
この状態では車体のバランスが悪く危ないので、車体フレームに馬ジャッキを入れておきます。
オイル・シールを外すと、車軸のオイル・シール摺動面に摺り傷が入っています。
軸付きオイル・シールではないので仕方のない症状です。
オイル・シールだけを交換すると、またオイル漏れするといけないので車軸も交換します。
固定ボルトを全て外し、後車軸ケースを分離します。
スクレーパを合わせ面に打ち込む事で隙間が生まれるので、その後は、隙間にマイナス・ドライバの先端を入れて、テコの原理で後車軸ケース・カバーを手前に起こしていくだけです。
外した後車軸ケース・カバです。
今回は左写真のような状態、ざっくり言うとスパー・ギヤ(大、小)とサイド・クラッチ仕組みが付いた状態で外れていますが、サイド・クラッチ仕組みだけが後車軸ケース側に残る場合もあります。
後車軸ケース・カバーから車軸、スパー・ギヤ、サイド・クラッチ仕組みを外します。
樹脂ハンマなどでケースを軽く叩けば、これらの部品は簡単に外れます。
後車軸ケース・カバーをきれいに洗い、後車軸ケースとの接合面はカップ・ブラシ・グラインダできれいに磨いておきます。
車軸を交換するので、車軸からベアリングとスパー・ギヤを外します。
ベアリングとスパー・ギヤ、そしてサイド・クラッチ仕組み回りに付着している油分は、コンプレッサでエア吹きして、垂れてこない程度に落としておきます。
後車軸ケース側の接合面も、カップ・ブラシ・グラインダできれいに磨きます。
後車軸ケースの内側に付着している油分と埃はパーツ・クリーナで落とし、コンプレッサでエア吹き掃除しておきます。
後車軸ケース側にサイド・クラッチ仕組みを先に入れておきます。
スパー・ギヤ(大)とベアリングを新しい車軸に取り付けたら、スパー・ギヤ(小)と新しい車軸を後車軸ケース・カバー側に組み付けておきます。
後車軸ケースのケース・カバーとの合わせ面に液体ガスケットを塗付し、後車軸ケース・カバーを取り付けます。
しっかり固定ボルトを締め付けておきます。
オイル・シールを取り付けます。
リップ部にリチウム・グリースを塗付してから打ち込みます。
反対側も同じように行います。