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トラクター修理

フロント・アクスル・ケースのオイル漏れ(GL25)



GL25 フロント・アクスル・ケース 油漏れクボタ・トラクタGL25で、フロント・アクスル・ケース中央部からのオイル漏れです。

左写真は洗車後ですが、ケース全体にオイルが付着した、漏れ出た跡があります。

普通に考えれば、フロント・アクスル・ケースのプロペラ・シャフトが取り付く軸部からのオイル漏れですが、このトラクタの場合は、まずミッション・ケース側のプロペラ・シァフトが取り付く軸部からのオイル漏れを疑います。

ミッション・オイルがプロペラ・シャフト・カバーの中を伝って、フロント・アクスル・ケース外側に漏れ出ている可能性があるという事です。

GL25 プロペラ・シャフト・カバー パイプ・ジョイント ホース・クランプ 緩め オイル漏れ前後のプロペラ・シャフト・カバーを連結しているパイプ・ジョイントのホース・クランプのネジを緩めます。

ホース・クランプの締め付け固定が取れると、やはりオイルが漏れて出てきます。

GL25 プロペラ・シャフト・カバー 引き抜き オイル漏れプロペラ・シャフト・カバーを引き抜くと、更にオイルが漏れて出てきます。

フロント・アクスル・ケース側も同様にプロペラ・シャフト・カバーを引き抜きます。

GL25 プロペラ・シャフト・カバー 引き抜き オイル漏れ カップリング 取り外し前カップリングのロール・ピンを外し、プロペラ・シャフトを外します。

カップリングは前後2つを外さないといけません。

GL25 取り外し後 プロペラ・シャフト・カバー プロペラ・シャフト カップリング スプリング・ピン左写真は、取り外したプロペラ・シャフトです。

プロペラ・シャフトとカップリングに向きはありません。



GL25 推進軸 スリーブ 抜け推進軸のスリーブが抜け出てきています。

これがオイル漏れの直接的な原因です。

スリーブを外す前に、ミッション・ケース内のミッション・オイルを抜いておきます。

GL25 推進軸 スリーブ 取り外しスリーブを外します。

スリーブ内面ゴムと推進軸との密着性が失われているため、マイナス・ドライバで簡単に外せます。

GL25 推進軸 スリーブ 取り外し後オイル・シールを外しますが、この状態で外すのを止めます。

GL25 推進軸 引き抜き オイル・シール 取り外し推進軸のスリーブ接合面を傷付ける可能性をなるべく排除しておきたいので、推進軸を引き抜いて位置をずらしてオイル・シールを外します。

最初に外したスリーブと同じスリーブが更に奥に付いているのですが、推進軸を割と簡単に引き抜く事が出来たので、これも同じく密着性が失われているようです。

仮にスリーブ接合面を傷付けてしまったとしても、組み付ける時に向きを変えれば問題ありませんが…。

GL25 推進軸 取り外し フロント・アクスル・ケース 横ずらし推進軸を引き抜いて外します。

エンジン・フレーム前方でジャッキを効かせた後、フロント・アクスル・ケースの前後のホルダ固定ボルトを外してからジャッキ・アップし、フロント・アクスル・ケースを横ずらしないと推進軸は長いため外せません。

タイロッドは外さなくても出来ます。



GL25 推進軸 ベアリング 取り外しカラー、ベアリングの順に外しますが、ベアリングが途中までしか抜けてきません。

推進軸を外す時に、推進軸に残った奥のスリーブを使いベアリングを一緒に外そうとしたのですが失敗です。

GL25 推進軸 ベアリング 取り外し 工具 自作ベアリングを外す工具を適当に自作します。

GL25 推進軸 ベアリング 取り外し 自作工具 使用自作の工具でベアリングを外します。

左写真のように工具を入れ、柄の部分をハンマで叩きます。

GL25 推進軸 スリーブ カップリング フレシキブル・マグネット 回収ミッド・ケース内に落ちているスリーブと推進軸のカップリングは、左写真のようにフレシキブル・マグネットを使って回収します。

そして、オイル・シール接合面回りの赤錆は、潤滑材を吹き付けた#1000の耐水ペーパで磨いてきれいにしてからウエスで拭き取り、コンプレッサでエア吹き掃除しておきます。

GL25 取り外し後 推進軸 スリーブ オイル・シール カラー ベアリング カップリング左写真は、取り外した推進軸です。

推進軸、つまりこの後側のプロペラ・シャフトは、最初に外したプロペラ・シャフトと同じで向きはないので、前後入れ換えて取り付けても問題ありません。

もちろんカップリングも同じです。



GL25 推進軸 カップリング スリーブ ベアリング カラー 取り付け後推進軸を取り付け、スリーブ、ベアリングの順に打ち込みます。

推進軸は、先端にカップリングを取り付けて落ちないようしてミッド・ケース奥の出力軸に入れますが、これは手応えでも入ったかどうか分かります。

推進軸が確実に取り付いたかどうかを確認するには、ギヤが前後進どちらかと4駆に入った状態では推進軸を手で回せないが、2駆にすれば手で回せる事です。

ベアリングの奥に入れるスリーブは、打ち込み過ぎて規定位置より奥まで入れないために、ある程度打ち込んだらベアリングを入れ、ベアリングを打ち込んでベアリングの内輪でスリーブを押し込んでいきます。

GL25 推進軸 スリーブ オイル・シール 取り付けカラーを入れてから、スリーブとオイル・シールを少しずつ交互に打ち込みます。

スリーブとオイル・シールは、左写真のように密着(摺動)させて取り付けていくのがポイントです。

これは、スリーブを先に打ち込んでしまった後にオイル・シールを打ち込むと、シール・リップ部がスリーブに引っ掛かりバネが外れる恐れがあり、逆にオイル・シールを先に打ち込んでしまった後にスリーブを打ち込むと、スリーブでダスト・リップ部を押し込んでしまう恐れがあるからです。

GL25 推進軸 オイル・シール 打ち込み用パイプオイル・シールを打ち込む時にあてがうパイプです。

予めグラインダで削って、オイル・シールの外径とほぼ同径(僅かに小さい)にしてあります。

GL25 推進軸 オイル・シール 打ち込み パイプ あてがいオイル・シールにパイプをあてがって、その上をハンマで叩いてオイル・シールを打ち込みます。

同様にスリーブに合うパイプをあてがって、その上をハンマで叩いてスリーブを打ち込みます。

どちらかを一気に打ち込んでしまわず、少しずつこれを交互に繰り返すのです。

GL25 推進軸 オイル・シール スリーブ 取り付け後スリーブとオイル・シールを奥まで打ち込んだら、推進軸を軽く引いて遊びがないか確認します。

遊びが無ければOKですが、遊びがあった場合は最悪です。

奥のスリーブが入り過ぎているという事になるので、やり直しになります。



GL25 フロント・アクスル・ケース ホルダ 取り外し前プロペラ・シャフトを取り付ける前に、フロント・アクスル・ケース中央部の前側まで付着したオイル跡が気になるので、フロント・アクスル・ケース中央部のオイル・シールとプラグを確認する事にします。

GL25 フロント・アクスル・ケース ホルダ(後側) 取り外し後更にジャッキ・アップしてから、フロント・アクスル・ケースの前後のホルダ(前車軸ホルダ)を外します。

後側のホルダから外します。

手でホルダを掴んでグイグイと引き抜くだけです。

タイロッドは外さなくても出来ます。

GL25 フロント・アクスル・ケース 後側 ピニオン軸やはり、ピニオン軸回りからのオイル漏れは無さそうです。

GL25 フロント・アクスル・ケース 前側 プラグ 外れ オイル漏れ前側のホルダを外してみると、プラグが外れています。

何故こうなったか分かりませんが、これではフロント・アクスル・ケースのギヤ・オイルが漏れ出てしまいます。

つまり、推進軸とこのメクラ栓の2箇所からオイルが漏れていたという事です。

GL25 フロント・アクスル・ケース 前側 プラグ 取り外し後プラグを外します。

奥に見えるのは前輪デフのベベル・ギヤです。

フロント・アクスル・ケースのギヤ・オイルを抜かずに行ったので、この穴からギヤ・オイルが出てきています。

左右のベベル・ギヤ・ケース(前輪内側)にあるドレン・ボルトを外してギヤ・オイルを抜きます。

GL25 取り外し後 ホルダ(前側) スラスト・カラー プラグ左写真は、取り外した前側のホルダとプラグです。

丸い金属板は、フロント・アクスル・ケースの遊び量を調整するために使用するスラスト・カラーです。



GL25 フロント・アクスル・ケース 後側 ピニオン軸 オイル・シール 取り外し後折角なので、後側のピニオン軸のオイル・シールも交換します。

GL25 取り外し後 オイル・シール左写真は、取り外したオイル・シールです。

GL25 フロント・アクスル・ケース 後側 ピニオン軸 オイル・シール 取り付け前オイル・シールの接合面をきれいにします。

潤滑材を吹き付けた#1000の耐水ペーパで磨いて赤錆など汚れを落としたら、ウエスで拭き取りコンプレッサでエア吹き掃除しておきます。

GL25 フロント・アクスル・ケース 後側 ピニオン軸 オイル・シール 取り付け後オイル・シールを取り付けます。

摺動部に薄くリチウム・グリースを塗付してから、オイル・シール大気側面の縁をハンマで打ち込みます。

対角線上にずらしながら打ち込むのがポイントです。

GL25 フロント・アクスル・ケース 前側 プラグ 取り付け後プラグを取り付けます。

こちらは、プラグ接合面の油分をパーツ・クリーナ等で完全に取り除き、液体ガスケットを塗付して取り付けます。

指で簡単に押し込めてしまうため、心配なので液体ガスケットを塗っています。

GL25 フロント・アクスル・ケース ホルダ 掃除後前後のホルダ内のブッシュ回りをきれいにしたら、前側のホルダの調整ボルトを外しておきます。

液体ガスケットが乾くまで1日待ちます。



GL25 フロント・アクスル・ケース 前側 ケース支持部 リチウム・グリース 塗付 スラスト・カラー 押さえ付け前車軸ケース支持部の前面に、リチウム・グリースを塗付したスラスト・カラーを指で押さえ付けておきます。

GL25 フロント・アクスル・ケース 前側 ホルダ 取り付けホルダのブッシュ回りには前もってリチウム・グリースを塗付しておき、スラスト・カラーを落とさないようにしてホルダを取り付けます。

左写真のように予め調整ボルトを外しておかないと、エアが抜けずホルダが嵌らなくなります。

調整ボルトを外さずしてホルダを無理に押し込むと、最悪はエアでプラグが奥に押し出され斜めになってしまいます。

GL25 フロント・アクスル・ケース 揺動荷重 調整前後のホルダを取り付けて固定ボルト6本を締め付けたら、ジャッキ・アップし直して前輪を浮かし、前車軸の揺動荷重の調整を行います。

ホルダ固定ボルトの取り付けに関しては、シノなどを使いネジ穴を合わせれば比較的簡単に出来ます。

GL25 フロント・アクスル・ケース 揺動荷重 調整 ジャッキ・アップ下がっている方の前輪を手で軽く持ち上げ、再び緩やかに下がる感じに調整します。

正確には前輪を外した状態での前車軸の揺動荷重は5~12kgfですが、固着していなければOKで割りと適当です。

GL25 フロント・アクスル・ケース 揺動荷重 調整後ナットでしっかりロックしておきます。

ジャッキを下げます。

GL25 プロペラ・シャフト 取り付け カップリング(推進軸側) ロール・ピン 打ち込み後スプラインにリチウム・グリースを薄く塗付してから、プロペラ・シャフトを取り付けます。

カップリングを入れてロール・ピンを打ち込みます。

GL25 プロペラ・シャフト 取り付け カップリング(ピニオン軸側) ロール・ピン 打ち込み後前車軸側も確実にロール・ピンを打ち込みます。

GL25 プロペラ・シャフト・カバー 取り付け後Oリングにも薄くリチウム・グリースを塗付してから、プロペラ・シャフト・カバーを前後とも確実に入れます。

後は、ミッション・ケースとフロント・アクスル・ケースにそれぞれミッション・オイルを適量入れて完了です。