トラクターの足まわり5

農業機械の簡単メンテナンスTOPへ戻る




日立トラクタNTX33(クボタKL33)で、右前輪ギヤ・ケースからのオイル漏れです。

オイル漏れなので、オイル・シールの交換になります。

前輪の固定ボルトとナットを十字レンチで少し緩めてから、油圧ジャッキを使いジャッキ・アップします。

オイル・シールは左右両方を交換するので、両方の前輪を外します。

固定ボルトとナットはインパクト・レンチで外しますが、ジャッキ・アップする前に少し緩めておかないと外れない事が多いです。

この部分からのオイル漏れは、トラクタで起きるオイル漏れの中で最も多いです。

ギヤ・ケース・カバーを外します。

ギヤ・ケース・カバーを外すと同時に排油するので、ドレン・ボルトは外しません。

スクレーパを合わせ面に打ち込む事で、分離するきっかけが出来ます。

ある程度ギヤ・オイルが抜けたところで、ギヤ・ケース・カバーを外します。

車軸(ハブ軸)のハブを裏側から銅ハンマで手前方向に叩く事で、ギヤ・ケース・カバーは抜けてきます。

取り外したギヤ・ケース・カバーです。

車軸に大きなベベル・ギヤとベアリングが付いた状態で外れてきますが、33馬力のトラクタなのでそんなに重くはありません。

ピニオン軸を外すために、下部のプラグを外します。

マイナス・ドライバの先端をハンマで打ち込み、プラグのツバを起こす事で外れます。

ピニオン軸を外さなくても目的のオイル・シールを交換する事は出来ますが、ピニオン軸を外す事で、僅かですが下に溜まっている汚れたオイルを抜く事ができます。

また、新しいオイル・シールを取り付ける前の下処理が格段にやり易くなります。

下から覗くとこんな感じになってます。

穴用スナップ・リングを外します。

自然に、若しくはちょっと振動を与えるだけでピニオン軸は落ちるので、手で受け止めます。

ピニオン軸は、ベアリングが付いたピニオン・ギヤと一緒に外れてきます。

穴用スナップ・リングとベアリングの間にはシムが入っています。

ギヤ・ケースを落ちないように固定しているのが、軸用スナップ・リングです。

左写真で分かるように、ここにもシムが入っています。

軸用スナップ・リングを外します。

ギヤ・ケースがいきなり落ちる事は殆どありませんが、このスナップ・リングを外す前に、保護目的でギヤ・ケースの下に木の角材を置いておきます。

これらの部品は再利用するので、きれいに洗浄しておきます。

ギヤ・ケースを外します。

左写真のように銅ハンマをあてがって、その上を大きいハンマで叩きます。

馬ジャッキでフロント・アクスル・ケースを受ける事でギヤ・ケースにしっかり衝撃が伝わり、結果外れ易くなります。

ギヤ・ケースが外れたところです。

木の角材の上に落ちるので安心です。





オイル・シールが取り付いていた面は錆びています。

まあ、普通というかこんなものです。

ギヤ・ケース側にあるオイル・シールを交換します。

縁に付いている泥をマイナス・ドライバの先端で軽く落としておきます。

泥避けカバーを外します。

マイナス・ドライバの先端を差し込み起こします。

オイル・シールを外します。

ハンマを使ってマイナス・ドライバの先端をオイル・シールの嵌め合い部に打ち込み、少しずつ起こしていきます。

この時、ギヤ・ケースのオイル・シールが取り付く面を傷付けないように、そして深く打ち込み過ぎてベアリングを壊さないように気を付けます。

ベアリングは交換しません。

外したオイル・シールです。

ベアリングに泥が付いていますけど、ある程度は仕方ないです。

後でベアリングを洗浄するので大丈夫です。

一旦、コンプレッサで軽くエア吹き掃除します。

オイル・シールが取り付く面をきれいにします。

潤滑剤を吹き付け、#800~1000の耐水ペーパで磨き錆びを落とします。

ベアリングを洗浄するので、玉と保持器の間に潤滑剤を浸み込ませます。

ベアリングをコンプレッサでエア吹き掃除します。

左写真のように、内輪を高速回転させます。

何回かベアリングを洗浄したところです。

ゴミなどの不純物が取れると、気持ちいいくらい内輪が回ります。

下にあるベアリングも同様に洗浄します。

ギヤ・ケース底のプラグが取り付く面も同じようにきれいにします。

タイロッドを外していないので、左写真のようにフロント・アクスル・ケースにギヤ・ケースを載せておく事が出来ます。

オイル・シールの軸側が取り付く面もきれいにします。

手前側はカップ・ブラシ・グラインダで磨けますが、奥側はグラインダが入る隙間があまりないので、潤滑剤を吹き付け耐水ペーパで根気良く磨きます。

ウエスで汚れと油分を拭き取り、コンプレッサでエア吹き掃除しておきます。

ギヤ・ケースを角材の上に立てて置き、オイル・シールを取り付けます。

手である程度押し込みます。

オイル・シールを樹脂ハンマで叩き、少しずつ均等に入れていきます。

軽く叩くだけです。

厚めの金属板をあてがい、その上をハンマで対角線上にずらしながら、均等に打ち込んでいきます。

奥まで確実に打ち込みます。

オイル・シールを打ち込み終えたところです。

泥避けカバーを取り付けます。

両手で押さえて、カバー全体を均等に押し込みます。

この後は、ギヤ・ケースをベベル・ギヤ・ケース(フロント・アクスル・ケース)側に取り付けます。

左写真のように、油圧ジャッキを使いギヤ・ケースを入れます。

最初に手で持ち上げてある程度入れ、ベアリングの内輪が収まったところでジャッキの力を使う感じです。

ギヤ・ケースが少し入ったら、上からベベル・ギヤ・ケースをハンマで叩く、これを繰り返します。

もちろん銅ハンマをあてがって叩きます。

ギヤ・ケースが落ちないように、シムを入れて軸用スナップ・リングを取り付けます。

スナップ・リングを少し広げた状態で左右に回し、楽に取り付いている事を確認します。

ぎちぎちでなく、僅かに遊びがあるという事です。

ピニオン軸を入れたら、シムを入れ穴用スナップ・リングで抜け止めをします。

プラグを取り付けます。

嵌め合い部にリチウム・グリースを塗付します。

外す時に割りと抜け難かったので、打ち込む時にゴムを傷めるくらいなら、グリースを塗っておいた方が良いという判断です。

ツバの部分を対角線上にずらしながら均等に打ち込みます。

奥までしっかり打ち込むために、適当な当て物をあてがって、ハンマで叩いて打ち込みます。

下から叩くので、それなりにやり難さはあります。





車軸(ハブ軸)のオイル・シールも同時に交換しておくと安心です。

左写真は、車軸のオイル・シールを交換し終えたところです。

Oリングにリチウム・グリースを塗付し、ギヤ・ケース・カバーを取り付けます。

ギヤ・ケース・カバーを取り付けたら、次は左側のオイル・シール交換です。





その他の修理関連