後車軸のオイル漏れ(GL240)
クボタ・トラクタGL240で、右の後車軸からのオイル漏れです。
後車軸ケースを外す必要があるので、きれいに洗車します。
このトラクタはキャビン付きなので、後車軸ケースの上部ハウジング回りもきれいにしておきます。
ヒッチやロア・リンクなどは邪魔になるので外し、ジャッキ・アップして後輪を外します。
後輪の固定ボルトとナットは、ジャッキ・アップする前に少し緩めておく必要があります
オイル・シールは左右両方を交換するので、両輪とも外します。
また、オイル・シールを交換し後車軸ケースを取り付ける時に、上から土や埃がボロボロ落ちてくるようでは駄目なので、この状態で後車軸ケースの上の方をコンプレッサでしっかりエア吹き掃除して、付着している土を除去しておきます。
ミッション・ケースから、ミッション・オイルを抜きます。
ドレン・ボルトは計4本ありますが、とりあえず一番低いところにある頭部24㎜のボルトを1本外すだけです。
キャビンを受けているブラケットを左右両方とも外します。
キャビンを馬ジャッキで少し持ち上げておきます。
後車軸ケースを外すので、固定ボルト(ナット)を全て外します。
脱落防止のため後車軸ケースの下にリフト台車を入れておき、この状態で、ケース内の抜け切れていないミッション・オイルを抜きます。
したがって、後車軸ケースのドレン・ボルトは外さなくて良いのです。
ミッション・オイルが抜けたら、後車軸ケースを外します。
24馬力のトラクタという事でそんなに重たくはないので、リフト台車を使わず手で持つ事はできますが、台車を使ったほうが安心安全です。
左写真のように、後車軸ケースをフォーク・リフトのフォークに上に移し変えます。
ギヤ・プーラを使い、ベアリングを外します。
後車軸は、頭部55㎜の固定ナットで抜けないようになっています。
緩み止めの潰し部分を起こします。
ハンマで叩いてマイナス・ドライバの先端を隙間に打ち込み、潰してある部分を上手く起こします。
いい感じに起こせたので、再利用出来そうです。
外した後輪の上に、後車軸ケースを移動させます。
左写真のように、ハブのスタッド・ボルトを後輪ホイールのボルト穴に入れ、動かないように安定させます。
固定ナットを外します。
55㎜のボックス・レンチを使い外します。
固定ナットを外したら、大きなヘリカル・ギヤを外せるようになります。
ヘリカル・ギヤを外したら、カラー(パイプ)とシムも外します。
再び、フォーク・リフトで後車軸ケースを持ち上げ、後車軸(ハブ)を少し浮かした状態で下に木の角材を置きます。
後車軸を外します。
軸頭に木の角材を置いて、その上から大ハンマで叩けば外れます。
角材の上に後車軸が落ちるので、ハブのスタッド・ボルトは傷みません。
フォーク・リフトで後車軸ケースを持ち上げ、完全に分離します。
オイル・シールを外します。
オイル・シールの嵌めあい部に、ハンマを使ってマイナス・ドライバの先端を打ち込みます。
内側に向かって斜めに打ち込みますが、深く打ち込み過ぎてベアリングを壊さないように気を付けます。
後車軸に残ったオイル・シールのスリーブを外します。
ハンマで直接叩けば外れます。
ここまで外した部品です。
後車軸を含めオイル・シール以外の部品は再利用するので、パーツ・クリーナなどで洗浄しておきます。
ベアリングだけは潤滑剤を吹き付け、コンプレッサでエア吹き洗浄しておきます。
後車軸ケースからガスケットの残りカスをきれいに剥がし、カップ・ブラシ・グラインダできれいに磨いておきます。
ケース内に付着したゴミなどもウエスで拭き取り、コンプレッサでエア吹きしてきれいに落としておきます。
また、ケース合わせ面に油分があるといけないので、パーツ・クリーナで洗浄し、ウエスできれいに拭き上げておきます。
オイル・シールが取り付く面を潤滑剤を吹き付けた#1000の耐水ペーパで磨き、きれいに下処理したら、ベアリングに付着したゴミなどの粉塵もきれいに落としておきます。
ベアリングに付着したゴミなどの粉塵は、潤滑剤を吹き付け、コンプレッサでエア吹き掃除して落とします。
トラクタ側もきれいにします。
上の方はやり難いので、マイナス・ドライバの先端を使ったりして、ガスケットの残りカスをきれいに剥がします。
内部に粉塵が入らないように、パーツ・クリーナで油分を落としてガム・テープを貼っておきます。
軸付きオイル・シールは、対象物や取り付け条件によっては分離して別々に取り付けますが、今回は分離せずに一緒に取り付けます。
実際に見てみると、スリーブのパイプ形状の部分だけでシールされている構造のオイル・シールですね。
ある程度手で押し込んだら金属板をあてがい、その上をハンマで叩いて打ち込みます。
オイル・シールの嵌め合い部を均等に入れていきます。
均等に打ち込んで、奥までしっかり入れます。
奥まで入ったのでOKですが、オイル・シールの取り付き具合が何となく気になります。
それは、スリーブだけがベアリングの内輪にあたってそれ以上入らないのに対して、オイル・シールだけが奥に入っているからです。
この軸付きオイル・シールはスリーブの長さに余裕があるので、オイル・シールの摺動面から脱線する心配がなく、前述の通りパイプ形状のところだけでシールされているので、機能的に何か問題がある訳ではありません。
したがって、このままでも全く問題ありません。
しかし、気分的にすっきりしないので、効果的ではありませんが少し修正をかけます。
左写真は外したオイル・シールを縦に切断にしたものですが、スリーブが奥まで入った状態で取り付いていた事が分かります。
もう1つある(左車軸の分)新品のオイル・シールでも測定し、実際どの程度スリーブが奥に入っているのか測定してみると、大まかですが、オイル・シールの嵌め合い部の先端(大気側)から3~3.5㎜くらい、スリーブ大気側が奥に入っている事が分かります。
スリーブ側はベアリングの内輪に当たっているので、オイル・シールだけを外側に押し出します。
穴用スナップ・リングとベアリング、そしてもう1つ穴用スナップ・リングを外したら、オイル・シールの外径より僅かに小径の鉄パイプをあてがって、その上をハンマで少しずつ叩きます。
ちなみに、この状態でベアリングを外すのには内輪を叩くしかありませんが、適当な金属棒をあてがって、その上をハンマで軽く叩けば簡単に外せます。
仮に強く叩かないと抜けない場合は、ベアリングを傷める恐れがあるので諦めます。
オイル・シールの嵌め合い部の先端が、スリーブ大気側から均等に約3㎜押し出たところで止めておきます。
ベアリングにスリーブが当たっているので、後車軸の奥方向への遊びをあまり考慮する必要がありません。
外したベアリング等を元に戻したら、車軸を取り付けます。
真上から手で車軸を入れます。
ハブの上に角材を置いて、その上を大ハンマで叩きます。
打撃音が甲高くなったら、奥まで入ったという事です。
固定ナットを締める必要があるので、再び後車軸ケースを移動させ、ハブのスタッド・ボルトを後輪ホイールのボルト穴に入れて安定させます。
後車軸ケースをリフト台車に載せて、トラクタまで近づけます。
改めて見落としがないか確認してドッキングです。
ガスケットを入れて後車軸ケースを取り付け、固定ボルト(ナット)をしっかり締めて固定します。
元々ガスケットに液体ガスケットが塗ってあったので、同じように液体ガスケットを塗付してあります。
オイル・シールの嵌め込みが割と緩かったので、念のため、少し出ている嵌め合い部に液体ガスケットを塗り込んでおきます。
雑に塗り込んでありますが、後で塗装するので大丈夫です。
外した部品を元に戻し液体ガスケットが乾いたら、似たような色で塗装しておきます。
今度は反対側(左車軸)のオイル・シール交換です。
左側は、ブレーキと倍速が作動するレバーが後車軸ケースの横にあるので、多少やり難いです。