ロータリが昇降を繰り返しハンチングする(GT3)
クボタ・トラクタGT3で、ロータリが昇降を繰り返しハンチングする症状です。
自動耕深装置を切った状態でロータリを上げてもハンチングします。
落下速度調整ダイヤルを完全に閉めると、ロータリのハンチングは収まり落下する事はないので、ピストンのOリングとバック・アップ・リングは異常なさそうです。
また、モンロは正常に作動する状況です。
ミッション・オイルとミッション・オイル・フィルタを交換してからの使用時間は30時間で、オイルの量と質も問題ない状態です。
これらの症状から考察するとコントロール・バルブの交換になるので、早速シートを外し、カバー類を外しにかかります。
ヒッチを外してジャッキ・アップし、後輪を外してからカバー類を外します。
左写真のように、安全フレームを含む支柱ブラケットを外さないとカバーは外せません。
モンロ・ソレノイドの上にある低圧側の油圧ホースを外します。
コントロール・バルブはシリンダ・ケース内にあるので、シリンダ・ケースを外すのに邪魔になるものは全て外していきます。
モンロ・ソレノイドを外した後は、油路にゴミが入らないように気を付けて作業します。
油圧レバー側を一体で外します。
割ピンを外してロッド類を外し、横から頭部14㎜の固定ボルト3本を外せば一体でごっそり外れます。
また、左写真では見えませんが、デフ・ロック・ペダルのスプリングも外しておきます。
強いスプリングなので外すのにそれなりに力が要りますが、紐で引けば何とか外せます。
同じように主変速レバー側も一体で外します。
主変速レバー側は、各ロッドとの連結部の割ピンが外し難いです。
左写真のように油圧配管と油圧ホースを外したら、シリンダ・ケースを固定しているボルト(頭部14㎜)を全て外します。
トップ・リンクのブラケットを外さないと見えないところにも、固定ボルトが付いています。
シリンダ・ヘッドを外します。
ついでにリフト・アームを手で一気に下げて、ピストンを押し出して外しておきます。
左写真は、ピストンを外した後のシリンダ内です。
ピストンが押し上げられる(後方に動く)事で、シリンダ内に見える頭部が丸い金属棒が下がり、それに梃子の原理で連結されたリフト・アームが上がる構造です。
取り外したピストンです。
今回の直接的な原因ではありませんが、ついでなのでOリングとバック・アップ・リングを交換します。
取り外したシリンダ・ヘッドです。
そこそこの重さがあり、リフト・アームもくたくたと動くので、若干扱い難いです。
左写真で分かるように、トラクタ側はデフ・ギヤなどが丸見え状態になります。
ミッション・オイルを抜いていないので、ギヤ類がオイルに浸かったままです。
シリンダ・ケースとの接合面のゴミと油分を除去し、 きれいにしておきます。
この時、中にゴミを落とさないように気を付けて洗浄します。
スプール作動アーム軸のOリングも交換するのですが、少し動きが重いので、動きを良くするために外して摺動面を磨きます。
潤滑剤を吹き付けて、#1000の耐水ペーパで摺動面を磨き、パーツ・クリーナで汚れを洗い落としたら、グリースを塗布して新しいOリングを入れてアームを組み付けます。
ケース接合面も、ゴミや油分を除去してきれいにしておきます。
新しいコントロール・バルブは、古いものに比べて形状が違いますが、後継品に変わっただけで問題なく取り付きます。
Oリングを2個入れますが、当然新品に交換です。
新しいコントロール・バルブを取り付けます。
スプール作動レバーもセットで交換になります。
ピストン下部アームの上限規制板を忘れずに入れたら、接合面全体に液体ガスケットをしっかり塗布し、シリンダ・ケースを取り付けます。
シリンダ・ヘッドとの接合面の下処理を忘れていたので、左写真のように燃料ホースなどを使い、中にゴミが入らないように工夫して接合面をきれいします。
シリンダ・ヘッド側も同様にきれいにします。
きれいに洗浄したピストンに、新品部品のOリングとバック・アップ・リングを取り付けます。
薄く油圧オイル(ミッション・オイル)を塗布してから、シリンダ内に落とし込みます。
シリンダ・ヘッド側のOリングとガスケットも、全て新品部品を取り付けます。
Oリング回りに薄くオイルを塗布してから、シリンダ・ヘッドをシリンダ・ケースに取り付けます。
この後、外した部品を全て元に戻し、動作確認して正常な状態を確認できたので良しとします。
最後に、フィード・バック・ロッドの調整を忘れずにしておきます。
エンジン回転を1300~1500回転にして、油圧(ポジション)レバーを最上げ位置に動かし、ナットを回して油圧がリリーフする位置から3回転戻して固定し、修理完了です。