ウイング・ハローの耕運軸オイル漏れ(WGS3101B)
ニプロ・ウイング・ハローWGS3101Bで、耕運軸のオイル漏れ修理です。
耕運軸を外し、オイル・シールを交換します。
ゴム・カバー(プラグ)を取り外し、耕運軸を固定しているナットを外します。
耕運軸を取り外すので、左右の爪の位置関係が分かるように印を付けておきます。
また、チェーン・ケースの下に廃油箱を置いておきます。
左写真のように、耕運軸の駆動爪の下あたりを大ハンマでガツンと叩きます。
通常、数回叩けば抜けてきます。
銅ハンマをあてがって叩くのがいいですが、叩く箇所は肉厚なので変形はしないと思います。
耕運軸締付ボルトの軸頭(ネジ山)を潰さないように工夫して、ギヤ・プーラを使っても外してもいいです。
その場合は、大きなギヤ・プーラが必要です。
デメリットとして、長い締付ボルトが曲がるかもしれません。
ドレン・ボルトをまだ外していなかったので、耕運軸を外すと同時にギヤ・オイルが抜けてきます。
オイル漏れするだけあってギヤ・オイルは汚れています。
耕運軸締付ボルトを外さないで、オイル・シールの交換をします。
外したほうが作業はし易いですが、単に面倒だっただけです。
お馴染みの軸付きオイル・シールが使われているので、耕運軸側にはスリーブが付いています。
軸付きの軸に当たる部分がこのスリーブです。
オイル漏れするだけあって、スリーブの表面に多くの傷が入っています。
スリーブを外します。
マイナス・ドライバで起こして外します。
オイル・シールを取り外します。
オイル・シールの取り外しは、マイナス・ドライバを打ち込んで起こすしか方法がありません。
注意することは、オイル・シールの嵌め合い部にマイナス・ドライバを打ち込む時、嵌め合い部との接合(金属)面に傷が入らないように、マイナス・ドライバの刃先を内(オイル・シール側)に向ける事です。
オイル・シールの嵌め合い部にマイナス・ドライバの刃先を打ち込んで起こしたら、マイナス・ドライバの刃先が折れてしまいました。
マイナス・ドライバの刃先が折れて埋まったままですが、バッタものの小さめのマイナス・ドライバを使ったのでそういうこともあります。
オイル・シールの取り外し作業は、マイナス・ドライバが曲がる折れるといった事はよくあるので、気分的に高価な工具を使いづらい現状があるのです。
刃先のしっかりした大きいマイナス・ドライバを使ったほうが、オイル・シールを楽に外せる事は分かっていますが…。
Oリングが一緒に外れてきますが、これは耕運軸とスプライン軸との間からのオイル漏れを防ぐためのものです。
当たり前ですが、Oリングも同時に交換します。
反対(右)側のオイル・シールも交換するので、反対(右)側の耕運軸も外して同様にオイル・シールを外します。
パーツ・クリーナで一旦きれいにします。
ベアリングの状態は問題なさそうなので、ベアリングは交換せずそのまま使います。
しかし、オイル・シールの嵌め合い部が収まる面の手前が腐食しています。
この状態では、オイル・シールの打ち込み時に抵抗になってしまいます。
耐水ペーパを使い、腐食面を磨いていきます。
潤滑剤を吹き付けてから磨きます。
最初は#400で磨き、次に#1000で磨きます。
オイル・シール嵌め合い部が接合する金属面も磨きますが、この面は重要で#1000の耐水ペーパでしっかり磨いておきます。
磨き時間は左右両方で30分くらいのものです。
スジ傷が深く凸凹面を完全に消すことは不可能なので、ある程度は適当です。
適当と言えど、この下処理が悪いと打ち込みに苦労します。
左写真は、下処理を終えた状態です。
潤滑剤を吹き付け、コンプレッサでエア吹き洗浄します。
シャフトを手で回したりして、ベアリングもしっかりエア吹き洗浄します。
再び潤滑剤を吹き付け滑りをよくして、オイル・シールを打ち込み易くしておきます。
新品オイル・シールを打ち込むための治具を自作します。
新品オイル・シールを傷めず打ち込むには、リップの外側だけを叩く必要があります。
リップの外側だけを打ち込むのに適した鉄パイプがなかったので、塩ビのパイプ(VU)を左写真のようにカットします。
カットしたパイプをオイル・シールにあてがいます。
必要な外径がある程度分かったら、とりあえず左写真のようにテープで固定します。
そして、外径を微調整して全体をテープで固定します。
自作の打ち込み工具をあてがい、その上をハンマで叩いてオイル・シールを打ち込みます。
左写真で分かるように、オイル・シールの打ち込み面は内(リップ側)と外(ケース側)の隙間が狭いのです。
スリーブ側を打ち込みます。
当たり前ですが、打ち込み前に下処理をしています。
スリーブは、リップとの摺動面をきれいにした後、リチウム・グリースを塗付しておきます。
また、Oリングは耕運軸に取り付けてからスプライン軸に組み込みますが、Oリング全体にリチウム・グリースを塗付します。
耕運軸を取り付けて、ナットを締めてプラグを取り付けます。
ゴム・カバーは液体ガスケットを塗付して再利用です。
反対(右)側の耕運軸を同様に取り付けます。
左右の耕運軸の位置を、取り外し前と同じにするため白ペンで印を付けていたので、それを合わせて取り付けました。