横送りねじブーツ交換(NSU55)
クボタ田植機NSU55で、送りねじブーツの交換です。
左写真で分かるようにゴムのブーツが破れていますが、これは苗載せ台を横移動させる送りねじに泥土などが入り込まないように保護している大事な部品なので、破れたら早めに交換しないといけません。
左右に引っ張っているスプリングをそれぞれ外します。
苗載せ台を端まで移動して片方のスプリングの張りを弱くさせておいて、その張りが弱くなったスプリングから外します。
スプリングは、フック部に紐や針金を引っ掛けて引っ張れば比較的簡単に外せます。
機体が停止したまま苗載せ台を動かす方法は、エンジンを始動し苗載せ台を上げたら、油圧を停止してから植付クラッチを入れ、副変速を中立にし、主変速レバーを前進に入れるだけです。
苗載せ台を左端に移動させたところで、ブレーキを踏みエンジンを停止させます。
植付爪が摺動板を通過する直前の位置ですが、少し分かり難いので縦送りベルトが作動するタイミングで止めます。
植付クラッチは入ったままです。
縦送りベルトが作動するタイミングを狂わせないために、左右どちらでも良いので予め端に寄せておくという事です。
連結ステーを外し易い、左端がベストです。
コマ受けブラケットと連結ステーを外します。
コマ受けブラケットは頭部10㎜のボルト3本で、連結ステーは頭部12㎜のボルト2本で固定されています。
コマを外すと、コマホルダから送りねじが見えます。
苗載せ台が最端なので、コマが嵌っていた位置も送りねじ(溝)の最端になります。
頭部10㎜の締め付けボルトを緩めて、パイプ・バンドを緩めます。
コマホルダと送りねじホルダは再利用するので、送りねじブーツから外します。
古いグリースを取り除き、きれいに掃除してから状態を確認します。
特に問題ありません。
コマもきれいにし、摩耗具合を確認します。
これも特に問題ありません。
送りねじブーツが破れた状態で使用していた事から、泥土などゴミの付着が考えられるので、送りねじをきれいに掃除し、溝が欠けていたり問題になるような傷が入っていないか状態を確認します。
問題なかったので、今回交換する部品は送りねじブーツのみです。
送りねじブーツとコマホルダを取り付ける前に、予め送りねじ全体とコマホルダ内、そして送りねじホルダの軸が入る穴にもグリースを塗付しておきます。
ここで使っているグリースは、2硫化モリブデン入りグリースです。
様々な箇所で使えるグリースで重宝していますが、黒いのが汚く見えて残念なところです。
送りねじブーツとコマホルダを嵌め込んだら、軸受けである送りねじホルダを取り付けます。
そして、送りねじブーツが外れないように、パイプ・バンドを締め付けます。
コマホルダを送りねじホルダ側に引いて、送りねじ(溝)の最端を確認します。
コマ全体にグリースを塗付してから、送りねじ(溝)の最端に合わせてコマを入れます。
コマ受けブラケットと連結ステーを取り付けます。
固定ボルトは必ず手である程度回しておいてから、ボックス・レンチなどの工具で確実に締め付けます。
コマを入れる位置が正しくないと、苗載せ台と連結ステーのボルト取り付け穴の位置が合わなくなります。
引張りスプリングを取り付け、苗載せ台の振り分け確認をするので畦際クラッチを切っておきます。
左右の引張りスプリングをそれぞれ取り付けます。
左側のスプリングを取り付けるには、左写真のように苗載せ台を右に寄せてから行います。
逆に右側のスプリングを取り付けるには、苗載せ台を左に寄せます。
横送り回数が26回である事を確認し、エンジンを始動し苗載せ台を左右に移動させ、最終端にきた時の苗載せ台の中間材の位置をそれぞれ確認します。
横送りの左右最終端の位置、つまり移動方向が切り替わる位置が左右対称ではないので、振り分け調整をします。
振り分け調整ボルトのロックナットを緩めます。
左写真のように、コマホルダが動かないようにコマ受けブラケットをモンキ・レンチなどで固定しておくと、ロックナットにトルクをしっかりかけて緩める事ができます。
横送りステーと振り分け調整ボルトの間には適正な遊びを設けてあるので、間違ってダブルナット側を緩めて遊び分を変えてはいけません。
この遊び分によって横送り装置にかかる機械的負担を減らし、後述にある「出代」を適正な調整範囲で調整する事が出来ます。
今回は、苗載せ台が左に移動した時の最終端の位置をもう少し左にしたいので、少しだけ振り分け調整ボルトを左に回します。
とりあえず、軽くロックナットを締めておきます。
エンジンを始動し苗載せ台を横移動させ、左右どちらからでもいいので縦送りベルトが作動するタイミング(最終端)で止めます。
調整としては、苗取り出し口ガイドから苗載せ台の中間材がはみ出る量を1.2㎜以下にし、なるべく左右対称にします。
左写真は左側の最終端ですが、中間材の出代は悪くはないです。
今度は反対に移動させ、右側も確認します。
左側の出代を増やしたので、右側の出代はその分だけ減りますが、左右とも同じくらいになったので良しとします。
仮に片方が出過ぎた状態になると、出過ぎた側で中間材に植付爪が突き刺さる恐れがあります。
振り分け調整ボルトのロックナットを締め付けたら、畦際クラッチを入れて動作確認をします。
植付爪が中間材を突き刺さない事をしっかり確認出来たので、この修理は完了です。