エンジン油圧異常の警告が出る(KL500H)
クボタ・トラクタKL500Hで、キー・スイッチをONにするとメータ・パネルに「エンジン油圧異常」の表示とチェック・ランプが点灯します。
そのままエンジンを始動すると警告が消える症状です。
基本的に確認する箇所は、オイル・プレッシャ・スイッチとそれに繋がる1本の配線だけです。
このトラクタは、キー・スイッチON時(エンジンが始動していない状態)にオイル・プレッシャ・スイッチ内部の接点を介して機体にアースされる状態が正常判定です。
そして、エンジンが始動してエンジン・オイルが循環し、オイル・プレッシャ・スイッチに一定以上のオイル圧力がかかると、オイル・プレッシャ・スイッチ内部の接点が離れて機体にアースされなくなり、エンジン・オイルがちゃんと循環していると電子メータ・パネルで判定する仕組みになっています。
コネクタに適当なリード線を差し込みアースさせたら(エンジン金属部に短絡させる)警告が消えたので、信号のやりとりを含めた電子メータ・パネルは正常だと判断できます。
このトラクタは昭和時代のトラクタと違って、短絡を止めると再び警告が出る訳ではなく、キー・スイッチON時に1度警告を消したら、キー・スイッチをOFFにして再びキー・スイッチをONにしない限り、再び警告が出る事はありません。
コネクタが繋がっていない状態でエンジンを始動すると、前述した通りの仕組みなので何の警告も出ません。
また、キー・スイッチON時に警告が出ていても、エンジンを始動すれば当然警告は消えます。
エンジンが始動していない状態で、左写真のようにサーキット・テスタを使い導通テストをしてみると、やはり導通がない状態です。
正常なオイル・プレッシャ・スイッチなら、導通していなければいけないのです。
という事で、原因はオイル・プレッシャ・スイッチの不良ですね。
オイル・プレッシャ・スイッチを外すと、取付穴からエンジン・オイルの循環経路が見えます。
実は診断して部品を発注する前に、念のためにエンジン・オイルが循環しているか確認しておこうと思い、事前にオイル・プレッシャ・スイッチを外し、一瞬だけエンジンをかけ、取付穴からエンジン・オイルが噴き出す事を確認しています。
エンジン・オイルが噴き出せば、一応オイルが循環していると判定できるからです。
取付穴まわりをきれいに掃除します。
穴の中はエンジン・オイルの循環経路なので、穴の中にゴミを入れないように掃除機で吸い取ります。
新しいオイル・プレッシャ・スイッチのネジ山にシール・テープを巻きます。
スイッチ・ボディとシリンダ・ブロック間で通電不良があってはならないので、左写真のように、シール・テープを先端から巻いていません。
オイル・プレッシャ・スイッチを取り付けます。
締め付け具合としては、フル・パワーで締まるところまで締め付けるものではなく、7~8割の力で締まるところまで締め付ける感じです。
配線を取り付けて動作確認し、直った事を確認できたのでOKです。
ちなみに、シール・テープでなく、液体ガスケットを使った場合は乾くまで放置します。