ロータリが全く昇降しない(GL220)
クボタ・トラクタGL220で、何をしても無反応でロータリが昇降しない症状です。
ポンパ・レバーを操作しても、油圧レバーを操作しても、またモンロ手動スイッチで姿勢を操作しても油圧が働く気配すらなく、ロータリは上がりも下がりもしません。
左写真はキー・スイッチをONにした状態ですが、操作ボックス(コントローラ)のモンロ/3P切換スイッチ、オート切換スイッチを入り切りしても何も点灯しない状態です。
そのままエンジンを始動しても、メータ・パネルには何も点灯しません。
ADランプだけが点灯していますが、これは前輪駆動と倍速ターンを入れていない2駆状態で、ADレバーだけが入っているだけなので無視です。
ロータリが下がったままでは移動も出来ないので裏技を使います。
操作ボックス(コントローラ)を外し、左写真のようにモンロ手動スイッチの配線を引き出します。
モンロ手動スイッチに繋がるコネクタを外し、左写真のように緊急用のコネクタに差し換えます。
これでモンロ手動スイッチを使ってロータリを上げ下げできるようになります。
トラクタを邪魔にならない場所に移動させたので、モンロ手動スイッチのコネクタを元に戻し、ここから今回の症状の診断をします。
マイコン・ユニットの作動電源であるDC12Vが来ているか確認するため、マイコン・ユニットの下側にはめ込んである10ピンのコネクタ(カプラ)を外します。
キー・スイッチをONにし、サーキット・テスタのテスタ棒を電源ピンに当ててみるとDC12Vは来ているようです。
左写真で分かるように、テスタ棒をあてているピンが電源ピンです。
アースとして黒い方のテスタ棒を機体の金属部にあてても同じです。
常時電源のない回路で、キー・スイッチON時に出力される入力電源が来ているのに何ら反応がないという事から、マイコン・ユニットが故障していると判断出来ます。
ちなみにセンサ系電源のDC5Vはマイコン・ユニットから出力されますが、今回の症状からしたら考えなくていいと思います。
上側の24ピンのコネクタ(カプラ)も外し、マイコン・ユニットを外します。
マイコン・ユニットは、頭部10㎜のボルト2本で固定されています。
左写真で分かるように割と狭いですが、マイコン・ユニットの交換は何とか出来ます。
新しいマイコン・ユニットです。
届いたマイコン・ユニットのラベルにはGL280とありますが、互換性があるので大丈夫です。
新しいマイコン・ユニットを取り付けます。
まあまあやり難いです。
操作ボックス(コントローラ)をはめ込みます。
マイコン・ユニットを交換したので、各センサとマイコン・ユニットとの間で微調整が必要になります。
微調整する前にタイヤの空気圧を適正にし、トラクタを平坦な場所に移動させます。
微調整(マイコン・ユニットの書き換え)にあたって以下の所定の条件にします。
トラクタ(水平)、ロータリ(水平)、モンロ切換スイッチ(切り)、オート切換スイッチ(切り)、モンロ角度調整ダイヤル(水平)、リフトアーム上限ダイヤル(高)、油圧レバー(上端)にします。
エンジンを始動してからリフトアーム上限ダイヤルを「油圧取出」にし、モンロ手動スイッチを油圧がリリーフするまで上げ続けます。
この設定にするとロータリが最上げ位置まで上がるので、その後リフトアーム上限ダイヤルを「油圧取出」から「高」に戻し、モンロ手動スイッチを使い、トラクタに対してロータリを平行に合わせエンジンを切ります。
これでマイコン・ユニットの書き換え準備は終わりです。
モンロ手動スイッチを上側に倒しながらキー・スイッチをONにします。
この時一度だけメータ・パネルの「モンローマチック」が点滅します(通常は「オート耕うん」も同時点滅するはずだったが!?)が、その後何かの異常を示す点滅はなく消灯が続いたので、モンロ手動スイッチを再び上側に3秒以上倒します。
メータ・パネルの「モンローマチック」が、正常書き込みを示す連続点灯になったのでキー・スイッチをOFFにします。
後でエンジンを始動して動作確認し、メータ・パネルの表示も含め正常な動きを確認出来たので良しとしておきます。