農業機械で使われるフロート式キャブレータは、主にここで説明するタイプのものが使われます。
各部品の形状が多少違っても、大まかには同じ構造になっています。
キャブレータの各部名称と分解手順、また症状に対しての掃除ポイントを説明します。
1.チョーク・バルブ / 2.チョーク・レバー / 3.スロットル・レバー / 4.スロー・アジャスト・スクリュ / 5.アイドル・アジャスト・スクリュ / 6.パイロット・ジェット / 7.燃料吸入口 / 8.フロート・チャンバ燃料排出ネジ
左写真は、エンジンから外してキャブレータ単体にした状態で、単発の4サイクル・ガソリン・エンジンに使われる一般的なフロート式キャブレータです。
キャブレータの分解掃除は部分的に行うものではなく、分解したら全て掃除するのが基本です。
キャブレータの分解掃除には泡タイプのキャブレータ・クリーナを使いますが、吹き付けておいて汚れを含んだクリーナ液は、コンプレッサでエア吹きしてきれいに飛ばします。
コンプレッサが無ければ潤滑剤を使います。
尚、泡タイプのキャブレータ・クリーナを使うのは、液体タイプに比べてクリーナ液をより部品全体に行き渡らせる事が出来るためです。
また、キャブレータ・クリーナは汚れを落とす反面、ゴム材にはよくありません。
したがって、13のゴム・パッキンには出来るだけ付着させないようにします。
これは製品にもよりますが、強力タイプのキャブレータ・クリーナを使う場合は要注意です。
最悪の場合、ゴムが伸びてしまいます。
フロート式キャブレータにおいて、症状に対して関係する部品(箇所)は大まかに以下の通りです。
※厳密には、いろんな箇所が関係して正常な動作をします。
他、チョークを開いた途端にエンジンが停止する症状は、燃料が悪い(古い)場合があります。
また、すぐにエンジンが停止する場合は、各ジェット等のゴミ詰まり以外に水が混入している場合があります。
8.フロート・チャンバ燃料排出ネジ / 9.フロート・チャンバ・ケース / 11.固定ボルト
9のフロート・チャンバ・ケースは、燃料と空気の混合ガスをシリンダに切らさず送るために、一定量の燃料を溜めておく容器です。
通常、キャブレータ詰まりが起きる原因の殆どは、フロート・チャンバ・ケース内に燃料を長期間残した事によるものです。
9.フロート・チャンバ・ケース / 11.固定ボルト / 12.パッキン / 13ゴム・パッキン
11の固定ボルト(正ネジ)を外して9のフロート・チャンバ・ケースを外します。
9のフロート・チャンバ・ケースはこべり付いて外れない事が多いので、無理に力を入れて一気に外そうとせず、樹脂ハンマなどで9のフロート・チャンバ・ケース側面を軽く叩いてこべり付きを取ります。
ウォータ・ポンプ・プライヤで掴んで、慎重に外すのも良いと思います。
13のゴム・パッキンは中途半端につられて外れてくる事があるので、9のフロート・チャンバ・ケースを少しずつ浮かすようにして外します。
それと同時にマイナス・ドライバを使って、13のゴム・パッキンを少しずつ捲るようにして外していきます。
ちなみに13のゴム・パッキンはOリングではなく角のあるパッキンです。
これは、他のキャブレータも同じです。
8.フロート・チャンバ燃料排出ネジ / 9.フロート・チャンバ・ケース / 10.スプリング
9のフロート・チャンバ・ケースから8の燃料排出ネジ(正ネジ)を外します。
9のフロート・チャンバ・ケースと8の燃料排出ネジの先端をきれいに掃除します。
これらは、汚れていても直ぐにエンジンの調子が悪くなる訳ではありませんが、ゴミが浮遊して詰まりの原因になる可能性はあります。
9のフロート・チャンバ・ケース(フロート・カップ)の内側が汚れていたら、汚れを落としてきれいにします。
当然、燃料排出穴もきれいにしておきます。
穴が塞がっていると、長期保管時に行う燃料の排出が出来なくなります。
8の燃料排出ネジの先端もきれいにします。
変形すると燃料漏れを起こす恐れがあります。
キャブレータはアルミなので、どの部分も締め過ぎるとネジ山が駄目になるので注意します。
この燃料排出ネジはスプリングが付いているタイプですが、スプリングが無く代わりにパッキンやOリングが付いたものがあります。
また、レバーを引いて燃料排出するものや、田植機などではフロートと燃料コックがチューブで繋がっていたりします。
11の固定ボルトもきれいに掃除します。
固定ボルトは頭部10㎜、12㎜、13㎜、14㎜、17㎜などが使われます。
当然ですが、固定ボルトにはパッキンが付きます。
パッキンはアルミや銅を使ったもの、またOリングを使ったものなどがあります。
13.ゴム・パッキン / 14.メイン・ジェット / 17. フロート
14のメイン・ジェットは主噴口で、9のフロート・チャンバ・ケースに溜まっている燃料が最初に通る燃料規制口です。
そのため、14のメイン・ジェットが詰まり穴が完全に塞がると、燃料が吸い上げられなくなるため、エンジンは全くかからなくなります。
14.メイン・ジェット
マイナス・ドライバを使い14のメイン・ジェット(正ネジ)を外します。
もちろん、17のフロートを先に外しても問題ありません。
通常、14のメイン・ジェットはマイナス・ドライバで外せますが、稀に固くて緩まない場合があります。
無理に回すとマイナス溝が折れてしまいます。
そんな時は、プライヤで掴んで回します。
14のメイン・ジェットは、小さな部品なので無くさないように気を付けます。
17のフロートより先に14のメイン・ジェットを外す理由を挙げるなら、メイン・ジェットが無い分だけフロートを少しだけ外し易くなる事です。
このように穴が開いています。
マイナス溝が折れているメイン・ジェットを見かける事がありますが、折れていても穴さえ通っていれば問題ありません。
15.メイン・ノズル / 23.スロー・ジェット
15(16)のメイン・ノズルは主噴射口で、14のメイン・ジェットから吸い出された燃料は、中~高回転時に25のメイン・エア・ジェット(後項で説明)から吸い込まれてくる空気と15(16)のメイン・ノズルで混ざり、混合ガスとして吸い出されエンジン燃焼室に送られます。
そのため、15(16)のメイン・ノズルが詰まると調子よく吹け上がらなくなり、中~高回転で安定しなくなります。
15のメイン・ノズルの直ぐ上にある穴がスロー・ジェットです。
23のスロー・ジェットについては後項で説明します。
15.メイン・ノズル1 / 16.メイン・ノズル2
マイナス・ドライバを使い15のメイン・ノズル(正ネジ)を外します。
15(16)のメイン・ノズルの取り外しは、5~6㎜平行刃のマイナス・ドライバが必要です。
15(16)のメイン・ノズルは固くて緩まない場合がありますが、無理に回すとマイナス溝が折れる恐れがあるので、その場合は諦めてその状態で掃除します。
このキャブレータにはメイン・ノズルが2つ付いています。
奥側の16のメイン・ノズル内側にネジ山(雌ネジ)が切ってあり、そこに手前側の15のメイン・ジェットが付いています。
つまり、順番に外せば良いということです。
1つでも塞がっていると、中~高速回転が安定しません。
このキャブレータのメイン・ノズルは2つありますが、キャブレータによっては1つしかありません。
メイン・ノズルが1つしかないキャブレータのほうが多いかもしれません。
他には、メイン・ノズルが埋め込みタイプで外せないものや、メイン・ノズル内側にネジ山(雌ネジ)が切ってあり、そこにメイン・ジェットが付いたキャブレータなどがあります。
メイン・ノズル中心穴(内側)が詰まる事は滅多にありませんが、見た目で汚れていなくてもしっかり掃除しておきます。
このキャブレータのメイン・ジェットやメイン・ノズルは真鍮ですが、キャブレータによってはアルミのものがあります。
7.燃料吸入口 / 17.フロート / 18.ニードル・バルブ / 19.フロート・ピン / 20.スロットル・バルブ
17のフロートは浮子で、9のフロート・チャンバ・ケース内の燃料の上で、19のフロート・ピンで支持されながら常に浮いています。
7の燃料吸入口から入ってくる燃料が9のフロート・チャンバ・ケース内で一定量になると、17のフロートは浮き上がると同時に連動した18のニードル・バルブが燃料入口を閉じるので、燃料の供給が止まります。
また、9のフロート・チャンバ・ケース内の燃料が消費されると、17のフロートは下がると同時に連動した18のニードル・バルブが燃料入口を開くので、燃料が供給されます。
このように燃料消費に応じて、常に9のフロート・チャンバ・ケース内の燃料を一定量に保持する仕組みになっています。
そのため、18のニードル・バルブ回りにゴミが付着すると、動きが悪くなって燃料の供給を止める事が出来なくなり、キャブレータから燃料が溢れ出してくるオーバ・フローの症状になります。
エンジンによってはクランクケースに燃料が入ってしまい、オイル交換が必要になる場合もあります。
また、18のニードル・バルブが燃料入口を閉じたまま膠着すると、燃料が供給されなくなるの当然エンジンはかかりません。
17.フロート / 18.ニードル・バルブ / 19.フロート・ピン
ラジオ・ペンチを使い19のフロート・ピンを外し、17のフロートと18のニードル・バルブを外します。
このキャブレータの19のフロート・ピンは片方が潰してあるので、潰してある方をラジオ・ペンチで掴んで引き抜きます。
間違えて反対側から無理やり引き抜くと、取付部が破損する恐れがあります。
これらは、キャブレータによって多少なり形状や材質が違います。
このキャブレータのフロート・ピンは片側に潰しが入っていますが、キャブレータによっては潰しが入っていないもの(どちらから外しても良い)があります。
また、はっきり向きが分かるように片側にツバが付いたものがあります。
このキャブレータのフロートはフロート・ピン取付部回りが金属ですが、キャブレータによっては全て樹脂のものがあります。
このキャブレータのニードル・バルブは金属とゴムで構成されていますが、全て金属のものがあります。
他には、フロートとニードル・バルブ共に樹脂のものがありますが、これらはフロートとニードル・バルブに小さなスプリングを挟み込んであります。
18のニードル・バルブの先端は円錐形になっていて、この部分が燃料入口のバルブ・シートに密着します。
この事からニードル・バルブの先端は重要ですが、ニードル・バルブ全体をきれいにします。
このキャブレータのニードル・バルブはクリップ(引掛け部)があるので、組み付ける時はフロート・リップに引っ掛けて組み付けます。
ニードル・バルブの先端は使用時間過多のエンジンでは、摩耗して段が付いてきます。
段が付くとバルブ・シートとの密着が悪くなるでの、どうしてもオーバ・フローし易くなります。
その場合は、ニードル・バルブの交換になります。
また、本来ならバルブ・シート面も同様に摩耗しているので、バルブ・シートを交換したいところですが、外す事が出来ないのでキャブレータASSYでの交換になります。
このキャブレータに使われるニードル・バルブは違いますが、左図例(実物はスプリングが見えません)のようなプッシュ・ピンがスプリング力で上下するタイプのニードル・バルブは多く使われています。
プッシュ・ピンがスプリング力で上下するので、悪路走行などでフロートが上下に振動しても、スプリングが振動を吸収し安定した燃料供給が出来るようになっています。
プッシュ・ピンは指で軽く押して入り込み、指を離すと素早く元に戻らないといけません。
動きが遅いようでは駄目です。
膠着が酷い場合は、プッシュ・ピンをラジオ・ペンチで軽く掴んで、ニードル・バルブ・ボディを回します。
4.スロー・アジャスト・スクリュ / 5.アイドル・アジャスト・スクリュ / 6.パイロット・ジェット
6のパイロット・ジェットは、低~中回転時に23のスロー・ジェットから吸い込まれてくる燃料と、24のスロー・エア・ジェットから吸い込まれてくる空気を混ぜて、混合ガスを作る役割があります。
この混合ガスは27のスロー・ポート、28のアイドリング・ポートから吸い出され、エンジン燃焼室に送られます。
そのため、6のパイロット・ジェットが詰まるとハンチングの症状が出て、低~中回転が安定しなくなります。
また、穴が完全に塞がると低回転でエンジンは停止します。
5のアイドル・アジャスト・スクリュは、アイドリング時の噴出口(28のアイドリング・ポート)に設けられた混合ガスの噴霧量を調整するものです。
5.アイドル・アジャスト・スクリュ / 6.パイロット・ジェット
マイナス・ドライバを使い、6のパイロット・ジェット(正ネジ)と5のアイドル・アジャスト・スクリュ(正ネジ)を外します
6のパイロット・ジェットは、4のスロー・アジャスト・スクリュが干渉して外せない場合があります。
その場合は、4のスロー・アジャスト・スクリュを外すか締め込みます。
4のスロー・アジャスト・スクリュと5のアイドル・アジャスト・スクリュは、キャブレータを組み付けた後に、エンジンを始動してアイドリング回転を調整する必要があります。
調整については最後に説明します。
→スロー調整の仕方
6のパイロット・ジェットには、燃料が吸い込まれてくる下穴と空気を吸排する横穴があるので、それらの穴をきれに掃除します。
マイナス溝の中心にある穴は、加工上の穴なので関係ありません。
このキャブレータのパイロットジェットは真鍮ですが、アルミや樹脂(埋め込み型)のものがあります。
パイロット・ジェットは、キャブレータによっては外す事が出来ないものがあります。
また、穴奥にジェットを取り付け、その穴に栓(ネジ等)をする事でパイロット・ジェットの役割を果たすものがあります。
6のパイロット・ジェットの下穴はとても小さな穴なので、掃除には細い針金を使います。
このキャブレータのアイドル・アジャスト・スクリュはスプリングが付いていますが、スプリングがなくOリングが付いたものがあります。
また、アイドル・アジャスト・スクリュは、キャブレータによっては付いていないものがあります。
21.エア・ベント / 23.スロー・ジェット
ここからは、キャブレータ・ボディ側の説明です。
23のスロー・ジェットは低~中回転時の燃料規制口で、この穴から吸い込まれた燃料は、24のスロー・エア・ジェットから吸い込まれてくる空気と6のパイロット・ジェットで混ざって、混合ガスとして28のアイドリング・ポート、27のスロー・ポートから吸い出され、エンジン燃焼室に送られます。
そのため、23のスロー・ジェットが詰まるとハンチングの症状が出て、低~中回転が安定しなくなります。
また、穴が完全に塞がると低回転でエンジンは停止します。
21のエア・ベントは、フロート・チャンバ内の圧力と1のチョーク・バルブ上方(大気側)の圧力とを等しくするための空気穴で、キャブレータ・ボディの外(22のエア・ベント大気側)に穴が繋がっています。
これは、エア・クリーナが詰まったときなどチョーク・バルブ上方の圧力が下がっても、その同等の圧力がフロート・チャンバ内に加わり、混合気が濃くなるのを防いでいます。
そのため、21、22のエア・ベントが詰まったままになると、フロート・チャンバ内の圧力が不安定になりオーバ・フローの原因になります。
1.チョーク・バルブ / 24.スロー・エア・ジェット / 25.メイン・エア・ジェット / 26.ベンチュリ
1のチョーク・バルブは空気吸入口の開閉弁で、エンジン始動時は始動を良くするためバルブを閉じて燃料を濃くし、エンジン始動後は効率良く燃焼させるためバルブを開いて空気を吸わせます。
25のメイン・エア・ジェットは空気を取り込む穴で、この穴から吸い込まれた空気は、中~高回転時に14のメイン・ジェットから吸い出されてくる燃料と15(16)のメイン・ノズルで混ざり、混合ガスとして吸い出されエンジン燃焼室に送られます。
そのため、25のメイン・エア・ジェットが詰まると中~高回転が安定しなくなります。
また、穴が完全に塞がると吹け上がらなくなったり、高回転でエンジンは停止します。
ちなみに、メイン・ノズル取付穴から25のメイン・エア・ジェットから繋がる穴は殆ど見えません。
24のスロー・エア・ジェットは空気を取り込む穴で、この穴から吸い込まれた空気は、低~中回転時に23のスロー・ジェットから吸い込まれてくる燃料と6のパイロット・ジェットで混ざり、混合ガスとして27のスロー・ポート、28のアイドリング・ポートから吸い出され、エンジン燃焼室に送られます。
そのため、24のスロー・エア・ジェットが詰まるとハンチングの症状が出て、低~中回転が安定しなくなります。
また、穴が完全に塞がると低回転でエンジンは停止します。
25のメイン・エア・ジェットと24のスロー・エア・ジェットは、マイナス・ドライバ(精密タイプ)を使い取り外せるようになっているものがありますが、余程の事がない限り殆どの場合において、これらのエア・ジェットを外さなくても上記の方法で掃除が出来きます。
26のベンチュリは吸気通路の絞り部で、吸気通路を途中で狭くする事で吸気速度を上げ、混合ガスを安定してエンジン燃焼室に送り役割があります。
これまでの説明で分かると思いますが、パイロット・ジェット取付穴は23のスロー・ジェットと穴が繋がっています。
そして、このパイロット・ジェット取付穴は、24のスロー・エア・ジェット、27のスロー・ポート、28のアイドリング・ポートとも穴が繋がっています。
そのため、これら穴の1つでも通りが悪いとハンチングの症状が出て、低~中回転が安定しなくなります。
24のスロー・エア・ジェットにキャブレータ・クリーナを吹き付ける時は、パイロット・ジェット取付穴から無駄にクリーナ液が溢れ出てくるので、一旦6のパイロット・ジェットを取り付けてから行うといいかもしれません。
22.エア・ベント(大気側) / 28.アイドリング・ポート
28のアイドリング・ポートは、5のアイドル・アジャスト・スクリュの先端(尖った部分)が収まる噴出口で、アイドリング時に6のパイロット・ジェットで作られた混合ガスがこの穴から吸い出され、、エンジン燃焼室へ送られます。
大気側の22のエア・ベントは、多くのものが、このキャブレータと同じような位置にあります。
また、キャブレータによっては、インシュレータ接合面を経由するものや、管が付いているものなどがあります。
20.スロットル・バルブ / 27.スロー・ポート / 28.アイドリング・ポート
20のスロットル・バルブ は吸入抵抗弁で、この弁の開度を変える事で、シリンダ燃焼室への混合ガスの流入量が変わりエンジン回転が変化します。
27のスロー・ポートは、混合ガスの噴出が28のアイドリング・ポートから15(16) のメイン・ノズルに移り変わる時に、その繋がりを良くするためのものです。
つまり、低回転から高回転へスムーズに上げるための噴出口です。
左写真では27のスロー・ポートは1つしか確認出来ませんが、実物はすぐ隣(ベンチュリ側)にもう1つあります。
また、キャブレータによっては27のスロー・ポートが3~5つあります。
アイドリング時は、上写真のように20のスロットル・バルブが閉じた状態なので、 15(16) のメイン・ノズルにエンジン燃焼室からの吸入負圧は殆どかからず、代わりに28のアイドリング・ポート、27のスロー・ポート(エンジン側)に吸入負圧がかかる事により、これらの噴出口から混合ガスが吸い出される仕組みになっています。
◎掃除しても調子が悪い場合
キャブレータ掃除はしっかり行えば、殆どの場合1回でエンジンの調子は良くなりますが、中にはそうではない場合があります。
これは、クリーナ液が出て来て穴が通っている事を確認出来たとしても、まだ穴の中の見えない汚れが取りきれていないからです。
その場合は、分解したキャブレータを軽油か灯油に一晩二晩浸けておいてから、全ての穴をコンプレッサでしっかりエア吹きします。
また、浸け置き用のキャブレータ・クリーナがあるので、それを使います。
◎スロー調整の仕方
5のアイドル・アジャスト・スクリュを一杯(軽く締まるまで)締めてから、1回転半~2回転戻します。
3のスロットル・レバー(20のスロットル・バルブ)を一番閉じた位置にしてから、4のスロー・アジャスト・スクリュを締めて3のスロットル・レバーの当たり止めをします。
とりあえず、軽く接触する程度で構いません。
エンジンを始動します。
スロットル・レバーを最低位置にしてアイドリング状態にします。
ここでエンジンが停止するようなら、4のスロー・アジャスト・スクリュを締めてエンジンが停止しない程度に回転を上げます。
そして、5のアイドル・アジャスト・スクリュをどちらかに回して、エンジン回転が一番高くなる位置に微調整します。
ここでエンジン回転が高くなり過ぎた場合は、4のスロー・アジャスト・スクリュを緩めてエンジン回転を下げます。
回転計を使って合わせるのは確実ですが、エンジン音を聞いて任意の調整で十分です。