今回は、三菱田植機MPR505のオイル交換について記載します。
まだまだ現役で使われている田植機なので、オイル交換もしっかり行います。
本機: クランク・ケース(エンジン)1.2ℓ/トランスミッション・ケース(フロント・アクスル・ケースを含む)10.5ℓ/リヤ・アクスル・ケース5.3ℓ
植付部: ドライブ・ケース0.4ℓ/プランタ・ケース0.2ℓ(3ヵ所、計0.6ℓ)/プランタ・アーム注油補充
必要工具と道具: 12、14mmボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、オイル・ジョッキ、じょうご(注入口が細いため)、廃油箱×2~5、ウエス、液体ガスケット、スクレーパ、自作用ガスケット・シート(厚さ0.8~1㎜くらい)、ベルト・ポンチ8mm、角材(木)、カッタ、歯ブラシ、灯油少々(フィルタ洗浄)、パーツ・クリーナ
※全てのドレン・ボルトは、赤い塗料でペイントしてあるので見付け易いと思います。
◎クランク・ケース・オイルの交換…交換時期:1シーズン毎(始動前に油量点検、補充)
クランク・ケース(エンジン)のドレン・ボルト(頭部12㎜)は、マフラ吐出し口と走行ベルト(コグ・ベルト)の間くらいにあります。
交換前に5分程エンジンをかけておくとオイルが軟らかくなるので、より効率よく抜けます。
注入口は前面左側にあります。
オイル・キャップが検油棒になっています。
エンジン・オイルを1.2ℓ程入れたら、オイル・キャップを差込んだ状態で検油します。
検油棒の上限レベルにオイルが付着するくらいが適量です。
大凡で構いません。
※エンジン・オイル・フィルタはありません。
◎ミッション・ケース・オイルの交換とオイル・フィルタ掃除…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎
油圧シリンダのオイルも抜き取るため、苗乗せ台を地面まで下げておきます。
トランスミッション・ケース本体のドレン・ボルト(頭部14㎜)は、シートに座って右足の下くらいにあります。
トランスミッション・ケースとフロント・アクスル・ケースは一体になっているので、フロント・アクスル・ケースのドレン・ボルトも外す必要があります。
本体と左右両方のドレン・ボルト(頭部14㎜)を外します。
トランスミッションにはオイル・フィルタが付いています。
オイル・フィルタを洗浄するには取り外す必要があるので、固定ボルト(頭部12㎜)2本を外して蓋を外します。
シートに座って左足の下くらいにあります。
蓋はマイナス・ドライバなどで起こして外します。
ガスケットが破れますが気にしません。
ゴム・シールとともにフィルタを抜き出します。
手で簡単に抜き出せます。
大概はゴム・シールがへばり付いてきますので、敢えて外さずそのまま一緒に抜き取ります。
オイル・フィルタを外すとトランスミッション・ケースの中が少し見えます。
奥の丸い部分にはゴム・シールが付きます。
カップ・ブラシ・グラインダやスクレーパなどで、蓋とケース接着面をきれいにしておきます。
この時ケース内にゴミが入ったら、後で取り除いておきます。
オイル・フィルタの両端にはゴム・シールがへばり付いていますが、外す必要はないので付いたまま掃除します。
掃除は、灯油などに浸して歯ブラシなどで磨けばきれいになります。
ゴム・シールが取れた場合は、液体ガスケットで接着し乾くまで待ちます。
接着させておくことで、取り付ける時にトランスミッション・ケース内で落とす心配がなくなります。
ガスケットは、汎用のガスケット・シート0.8㎜で作成します。
左写真は、トンボ製の厚さ1㎜のものです。
はさみやカッタなどで全体を切り抜き、ボルト穴はベルト・ポンチでくり抜きます。
ベルト・ポンチは角材の年輪側を上にして、その上で叩くときれいに抜き取れます。
ボルト2本の固定ということもあり、オイル漏れしたら堪らないので、液体ガスケットを両面に塗付してから組付けます。
液体ガスケットがある程度乾くまで3~4時間(夏季)待ってから、オイル注入作業に移ります。
出来るなら、1日以上経ってからオイルを注入するのがベストです。
検油口は、燃料コックの左下にあります。
オイルを入れる前に、赤い塗料の付いたボルト(頭部14㎜)をボルトを外します。
注入口は副変速レバーの左辺りにあります。
カバーを外すとよく見えます。
ゴム栓なので手で外せます。
ミッション・オイルを入れて、検油口からオイルが溢れてきたら適量(10.5ℓ)のサインなので、すぐに検油口ボルトを取り付けます。
◎リヤ・アクスル・ケース・オイルの交換…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎
リヤ・アクスル・ケースの下側にあるほうがオイル排出口で、上側にあるほうが検油口です。
左右両方のドレン・ボルト(頭部14㎜)を外します。
注入口は、リヤ・アクスル・ケースの中央にあります。
オイル・キャップ(正ネジ)は、ポンプ・プライヤなどを使って緩めます。
リヤ・アクスル・ケース左右の検油口ボルトを外しておきます。
ギヤ(ミッション)・オイルを入れます。
両方の検油口からオイルが溢れてきたら適量(5.3ℓ)のサインなので、順次ボルトを取り付けます。
◎ドライブ・ケース・オイルの交換…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎
ドライブ・ケースのドレン・ボルト(頭部12㎜)は、真後ろから見て中央部で苗載せ台の下側にあります。
ドライブ・ケースは苗載せ台の前側中央にありますが、注入口はケースの左面にあります。(左写真の黒いゴム栓)
オイル・キャップは手で外せますが、狭いのでやり難いです。
狭くて給油し難いので、ジョッキの口にホースを付けて延長するなど工夫して注入します。
じょうごを使ってもいいと思います。
0.4ℓで適量なので、入れ過ぎるとすぐに注入口から溢れ出してきます。
◎プランタ・ケース・オイルの交換…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎
プランタ・ケースのドレン・ボルトは、ケース側面のロータリ・ケース回転軸の下辺りにあります。
5条なので3つのプランタ・ケースが付いています。
それぞれが独立なのでドレン・ボルト(頭部12㎜)もそれぞれ外します。
注入口はケース側面の上辺りに付いています。(左写真の黒いゴム栓)
オイルは3ケースそれぞれに0.2ℓ(計0.6ℓ)入れます。
0.2ℓで適量なので、入れ過ぎるとすぐに注入口から溢れ出してきます。
ロータリ・ケースは、注入口も排出口も無いので分解しないと何も出来ません。
分解する時(壊れた時!?)がきたら、グリースを注入し直します。
◎プランタ・アーム・オイルの点検、補充…交換時期:1シーズン毎
プランタ・アームにオイル排出口はありません。
悪く言えば、田植作業中には植付フォークとダスト・シール(オイル・シール)の摺動部から、微量ですがオイル漏れします。
また、少なからず同時に水分も混入します。
これは、使用時間に比例して悪化していきます。
また、どのメーカの田植機も基本的には同じで、どうしようもありません。
したがって、オイルまたはグリースを補充する必要があります。
補充するには、プランタ・アームを出来るだけ水平にしてから行います。
水平にするには、植付アームを手で回転させる必要があります。
しかし、通常は手で回す事が出来ません。
手で植付アームを回転させる方法→「■各条個別の苗取り量の調整方法」の1、3,4
注入口は、植付アームに黒いゴム栓がしてあるところです。
ゴム栓は小さいので、プライヤなどで摘まむと楽に外せます。
5条のロータリ方式なので10個の植付アームを点検、補充します。
容量は各30㏄ですけど、そんなものは分からないので溢れる寸前まで注入します。
エンジン・オイルで良いですが、グリースを注入するならリチウム系のちょう度0号(軟らかめ)や、若干高価ですけど長寿命のウレア系がお勧めです。