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第13回:田植機のオイル交換について - MPR505



今回は、三菱田植機MPR505のオイル交換について記載します。

まだまだ現役で使われている田植機なので、オイル交換もしっかり行います。


本機:  クランク・ケース(エンジン)1.2ℓ/トランスミッション・ケース(フロント・アクスル・ケースを含む)10.5ℓ/リヤ・アクスル・ケース5.3ℓ
植付部:  ドライブ・ケース0.4ℓ/プランタ・ケース0.2ℓ(3ヵ所、計0.6ℓ)/プランタ・アーム注油補充

必要工具と道具:  12、14mmボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、オイル・ジョッキ、じょうご(注入口が細いため)、廃油箱×2~5、ウエス、液体ガスケット、スクレーパ、自作用ガスケット・シート(厚さ0.8~1㎜くらい)、ベルト・ポンチ8mm、角材(木)、カッタ、歯ブラシ、灯油少々(フィルタ洗浄)、パーツ・クリーナ


※全てのドレン・ボルトは、赤い塗料でペイントしてあるので見付け易いと思います。


◎クランク・ケース・オイルの交換…交換時期:1シーズン毎(始動前に油量点検、補充)

MPR505 エンジン・クランク・ケース 排油口クランク・ケース(エンジン)のドレン・ボルト(頭部12㎜)は、マフラ吐出し口と走行ベルト(コグ・ベルト)の間くらいにあります。

交換前に5分程エンジンをかけておくとオイルが軟らかくなるので、より効率よく抜けます。

MPR505 エンジン・クランク・ケース 給油口注入口は前面左側にあります。

オイル・キャップが検油棒になっています。

エンジン・オイルを1.2ℓ程入れたら、オイル・キャップを差込んだ状態で検油します。

検油棒の上限レベルにオイルが付着するくらいが適量です。
大凡で構いません。

※エンジン・オイル・フィルタはありません。



◎ミッション・ケース・オイルの交換とオイル・フィルタ掃除…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎

MPR505 トランスミッション・ケース 排油口油圧シリンダのオイルも抜き取るため、苗乗せ台を地面まで下げておきます。

トランスミッション・ケース本体のドレン・ボルト(頭部14㎜)は、シートに座って右足の下くらいにあります。

MPR505 フロント・アクスル・ケース 排油口トランスミッション・ケースとフロント・アクスル・ケースは一体になっているので、フロント・アクスル・ケースのドレン・ボルトも外す必要があります。

本体と左右両方のドレン・ボルト(頭部14㎜)を外します。

MPR505 トランスミッション・ケース オイル・フィルタ 取り外し前トランスミッションにはオイル・フィルタが付いています。

オイル・フィルタを洗浄するには取り外す必要があるので、固定ボルト(頭部12㎜)2本を外して蓋を外します。

シートに座って左足の下くらいにあります。

MPR505 トランスミッション・ケース オイル・フィルタ 取り外し蓋はマイナス・ドライバなどで起こして外します。

ガスケットが破れますが気にしません。

ゴム・シールとともにフィルタを抜き出します。

手で簡単に抜き出せます。

大概はゴム・シールがへばり付いてきますので、敢えて外さずそのまま一緒に抜き取ります。

MPR505 トランスミッション・ケース オイル・フィルタ 取り付け部オイル・フィルタを外すとトランスミッション・ケースの中が少し見えます。

奥の丸い部分にはゴム・シールが付きます。

カップ・ブラシ・グラインダやスクレーパなどで、蓋とケース接着面をきれいにしておきます。

この時ケース内にゴミが入ったら、後で取り除いておきます。

MPR505 トランスミッション・ケース オイル・フィルタオイル・フィルタの両端にはゴム・シールがへばり付いていますが、外す必要はないので付いたまま掃除します。

掃除は、灯油などに浸して歯ブラシなどで磨けばきれいになります。

ゴム・シールが取れた場合は、液体ガスケットで接着し乾くまで待ちます。

接着させておくことで、取り付ける時にトランスミッション・ケース内で落とす心配がなくなります。

MPR505 トランスミッション・ケース オイル・フィルタ ガスケット作成ガスケットは、汎用のガスケット・シート0.8㎜で作成します。

左写真は、トンボ製の厚さ1㎜のものです。

はさみやカッタなどで全体を切り抜き、ボルト穴はベルト・ポンチでくり抜きます。

ベルト・ポンチは角材の年輪側を上にして、その上で叩くときれいに抜き取れます。

ボルト2本の固定ということもあり、オイル漏れしたら堪らないので、液体ガスケットを両面に塗付してから組付けます。

液体ガスケットがある程度乾くまで3~4時間(夏季)待ってから、オイル注入作業に移ります。

出来るなら、1日以上経ってからオイルを注入するのがベストです。



MPR505 トランスミッション・ケース 検油口検油口は、燃料コックの左下にあります。

オイルを入れる前に、赤い塗料の付いたボルト(頭部14㎜)をボルトを外します。

MPR505 トランスミッション・ケース 給油口注入口は副変速レバーの左辺りにあります。

カバーを外すとよく見えます。

ゴム栓なので手で外せます。

ミッション・オイルを入れて、検油口からオイルが溢れてきたら適量(10.5ℓ)のサインなので、すぐに検油口ボルトを取り付けます。

◎リヤ・アクスル・ケース・オイルの交換…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎

MPR505 リヤ・アクスル・ケース 排油口(下側) 検油口(上側)リヤ・アクスル・ケースの下側にあるほうがオイル排出口で、上側にあるほうが検油口です。

左右両方のドレン・ボルト(頭部14㎜)を外します。

MPR505 リヤ・アクスル・ケース 給油口注入口は、リヤ・アクスル・ケースの中央にあります。

オイル・キャップ(正ネジ)は、ポンプ・プライヤなどを使って緩めます。

リヤ・アクスル・ケース左右の検油口ボルトを外しておきます。

ギヤ(ミッション)・オイルを入れます。

両方の検油口からオイルが溢れてきたら適量(5.3ℓ)のサインなので、順次ボルトを取り付けます。



◎ドライブ・ケース・オイルの交換…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎

MPR505 ドライブ・ケース 排油口ドライブ・ケースのドレン・ボルト(頭部12㎜)は、真後ろから見て中央部で苗載せ台の下側にあります。

MPR505 ドライブ・ケース 給油口ドライブ・ケースは苗載せ台の前側中央にありますが、注入口はケースの左面にあります。(左写真の黒いゴム栓)

オイル・キャップは手で外せますが、狭いのでやり難いです。

狭くて給油し難いので、ジョッキの口にホースを付けて延長するなど工夫して注入します。
じょうごを使ってもいいと思います。

0.4ℓで適量なので、入れ過ぎるとすぐに注入口から溢れ出してきます。


◎プランタ・ケース・オイルの交換…交換時期:150時間毎、又は3シーズン毎

MPR505 プランタ・ケース 排油口(下側) 給油口(上側)プランタ・ケースのドレン・ボルトは、ケース側面のロータリ・ケース回転軸の下辺りにあります。

5条なので3つのプランタ・ケースが付いています。

それぞれが独立なのでドレン・ボルト(頭部12㎜)もそれぞれ外します。

注入口はケース側面の上辺りに付いています。(左写真の黒いゴム栓)

オイルは3ケースそれぞれに0.2ℓ(計0.6ℓ)入れます。

0.2ℓで適量なので、入れ過ぎるとすぐに注入口から溢れ出してきます。

ロータリ・ケースは、注入口も排出口も無いので分解しないと何も出来ません。

分解する時(壊れた時!?)がきたら、グリースを注入し直します。



◎プランタ・アーム・オイルの点検、補充…交換時期:1シーズン毎

MPR505 プランタ・アーム オイル注入口プランタ・アームにオイル排出口はありません。

悪く言えば、田植作業中には植付フォークとダスト・シール(オイル・シール)の摺動部から、微量ですがオイル漏れします。

また、少なからず同時に水分も混入します。

これは、使用時間に比例して悪化していきます。

また、どのメーカの田植機も基本的には同じで、どうしようもありません。

したがって、オイルまたはグリースを補充する必要があります。

補充するには、プランタ・アームを出来るだけ水平にしてから行います。

水平にするには、植付アームを手で回転させる必要があります。

しかし、通常は手で回す事が出来ません。

手で植付アームを回転させる方法→「■各条個別の苗取り量の調整方法」の1、3,4


注入口は、植付アームに黒いゴム栓がしてあるところです。

ゴム栓は小さいので、プライヤなどで摘まむと楽に外せます。

5条のロータリ方式なので10個の植付アームを点検、補充します。

容量は各30㏄ですけど、そんなものは分からないので溢れる寸前まで注入します。

エンジン・オイルで良いですが、グリースを注入するならリチウム系のちょう度0号(軟らかめ)や、若干高価ですけど長寿命のウレア系がお勧めです。


注意事項
必ず水平な場所でで行います。

各ドレン・ボルトやフィルタを外してオイルを抜いたあとは、当たり面双方をウエスなどを使いきれいに拭き取ります。

また、ブレーキ・クリーナ(パーツ・クリーナ)や潤滑剤などで洗い流すのもいいと思います。
取り付ける際はパッキンの付け忘れに注意します。
オイル交換の必要性
きっと多くの人が田植機のオイル交換を疎かにしているのでは…!?

例えば、「リヤ・アクスル・ケース!?」なんて思っている人は少なくないと思います。

オイルを長い間交換しないと、オイルは酸化して劣化し、水分などの混入で汚れます。
これはオイル・シールなどの磨耗を早めます。

また、湿式クラッチが膠着するなど故障の原因にも繋がります。



作成日:2010/5/21