今回は、クボタ・トラクタKL30のラジエータ冷却水の交換と、冷却経路の洗浄について記載します。
冷却水の役割と交換の必要性→冷却水について
必要工具と道具: 12mmボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、バケツ、LLC(ロング・ライフ・クーラント)2ℓ、じょうご(又は水道ホース)、ラジエータ洗浄剤、水道水
です。
交換後は整備工場やガソリン・スタンドなどで、廃棄委託(有料!?)して処分してください。
◎冷却水の交換とラジエータの洗浄…交換時期:2~3年毎、6ℓ(LLCとの混合水)
ラジエータ・キャップを左に回して外します。
冷却水は熱いと危険なので、エンジン停止後は30分以上経ってから開けます。
また、ラジエータ・キャップの取り付け面(吸水口)が汚れていたら、ウエスなどで拭き取ります。
固定ボルト(頭部12㎜)を4本外し、エンジン部の左右のカバーを外しておきます。
ラジエータ・コア右側の真下にあるドレン・ボルト(正ネジ)を外し、冷却水を抜きます。
パッキンを無くさないように気を付けます。
ちなみに、ラジエータ・キャップを外してないと勢いよく排水できません。
ラジエータ・キャップの簡易点検をします。
…正確な点検にはテスタが必要です。
手でパッキン(ゴム部分)を触ってみて、亀裂、又は硬化していたら交換したほうがいいと思います。
また、このラジエータ・キャップはスプリングが見えないので、スプリングの錆付きと破損の点検は出来ません。
したがって、加圧弁(中間のパッキン部)を指で押し込んだ後、素早く元に戻ればよしとします。
…撮影上、片手しか使えなかったので、負圧弁(中心部)を押し込んでいます。
押し込む時は抵抗(バネ圧)を感じます。
そして、負圧弁(中心部分)のパッキンが傷んでないか点検します。
通常、負圧弁は引っ張ると元に戻るタイプのものが多いですが、このラジエータ・キャップの負圧弁は、スプリングがないので引いても元に戻りませんが、役割は同じで、高温時で加圧された時に押されて密閉され、冷却水が冷えた時に開いてサージ(リザーブ、サブ)・タンクの冷却水を吸い込みます。
冷却水を抜いたら、ラジエータとエンジンの冷却経路を洗浄します。
キャビン使用なら、エアコンの温度調節レバーを最暖位置にします。
暖房は冷却水の熱を利用する仕組みになっているので、ヒータ・コア内の冷却水を循環させる必要があります。
排水時、錆や水アカが混じった汚水がでてきた場合…洗浄剤でラジエータを洗浄する
排水時、LLC色がそこそこきれいに残った冷却水がでてきた場合…水道水のみでラジエータを洗浄する
ラジエータの洗浄が終えたら、パッキンを忘れずにドレン・ボルトを取り付けます。
樹脂製のドレン・ボルトなので、締め過ぎると破損するので気を付けます。
また、ドレン・ボルトのパッキンはヒビ割れしていたら交換すべきですが、実際には交換しなくても余程漏れることはありません。
サージ(サブ)・タンクに入ってる冷却水も交換するので、タンクを外して冷却水を抜きます。
サージ・タンクは平板状の固定金具に差し込んであるだけなので、上に持ち上げれば取り外せますが、少々硬いかもしれません。
ホース(エア抜き)付きの蓋は、つばを手で起こせば外せます。
この口はサージ・タンクの吸水口で、排水口にもなります。
下部ホースはラジエータの吸水口元に繋がっていますが、外さなくていいので、その状態のままサージ・タンクを逆さむけて排水します。
もちろん、外して行う事もよしです。
タンク内が汚れていれば、歯ブラシなどで掃除します。
排水と掃除が終わったら、サージ・タンクを取り付けます。
ラジエータに冷却水を入れます。
まず、LLCを1.8ℓ程入れます。
適当で構いません。
その後、水道水を吸水口から水面が見える程度まで入れます。
冷却経路で水道水と混ざるので問題ありません。
LLCは冷却水の30%は占めるように入れます。
容量が6ℓなので、LLCを2ℓ程入れるということです。
適当に30%くらい入っていればOKです。
しかし北海道など寒い地方では、40~50%くらいにしたほうがいいと思います。
下側の循環ホースを手で数回揉みます。
これは効率よくエア抜きするための準備で、エアの停滞を防ぎます。
勿論エンジンを始動すれば、ウォータ・ポンプが回るのでエアは必然的に上に上がります。
この時、上側の循環ホースはサーモスタットが閉じているので、揉んでも意味がありません。
サージ・タンクに残りのLLCを0.2ℓ入れ、水道水を上限レベルまで入れます。
少々上限レベルを越えてもいいし、適当で構いません。
エンジンが冷めたら、ラジエータ側に冷却水が多少は戻るからです。
蓋は上から押さえて、「カチッ」と嵌る感触を確認しながら取り付けます。
→サージ・タンクとラジエータ・キャップの役割
エンジンを始動して完全なエア抜きをします。
ラジエータ・キャップを閉めずにエンジンを始動します。
アイドリングやや高めで(1300~1500回転)運転します。
始動後、ポコポコと小さな泡がでてきます。
6~8分くらいでサーモスタットが開き循環し始めるので、水面があぶつきながら下がります。
この時、多少こぼれるかもしれませんが、気にせず1分くらい放置します。
(この1分間でエアが抜けます。)
その後エンジンを停止し、減った分の冷却水を口元一杯まで追加します。
※地域の気温と湿度によって、冷却水の温度上昇時間は異なります。
ラジエータ・キャップを閉めます。
右に回して1段2段といった感じの手応えがあり、確実に閉めたキャップは、取っ手の部分が横一列に並ぶ状態になります。
この後、直ぐにエンジンを始動し、アイドリングやや高めで(1300~1500回転)15分くらい運転します。
エンジン停止後1時間くらい経過したら、サージ・タンクの水量を点検します。
上限レベル近くあればOKですが、減っていたら上限レベル近く入れます。
但し、上限レベルを超えないことです。
大凡で構いません。