今回は、オーレック・ウィング・モアWM716のナイフを固定しているボルトが折れてしまった、また、袋ナットの角が摩耗してしまったため、外すことが出来なくなったナイフの交換方法を説明します。
必要工具と道具: 12㎜ボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、19㎜メガネ・レンチ、潤滑剤、鉄パイプ(ナイフ固定用)
アーク溶接機セット(溶接棒~2.6㎜、面など)、酸素アセチレン溶接セット、タップ(8㎜、ピッチ1.25㎜)
適当なナット(頭部12~13㎜、頭部22~24㎜)、12~13㎜メガネ・レンチ、22~24㎜メガネ・レンチ、ディスク・グラインダ
※今回は、「ナットが摩耗して取れない」「ボルトが折れている」といった状態でしたが、アーク溶接と酸素アセチレン溶接を使い対処しました。
…他の方法→第1回:ボルトが折れた場合、第2回:ボルトがなめた場合
作業できる状態にします。
最初に「刈高調整レバー」を最上げ位置にして、車体を安定させます。
作業できる状態として幾つか方法はありますが、例えば軽トラックの荷台で作業する方法を説明します。
これは、荷台の後側にウィング・モアの刈り払い部を向けて、その刈り払い部を持ち上げて行う方法です。
地面からの地上高があり、荷台の後側のあおりを下すので作業し易いと思います。
まず1本の角材を、荷台の両側のあおりにロープで固定します。
そしてハンドルを下げた上体で、ハンドルを角材にロープで固定します。
これで、刈り払い部は持ち上がったままになります。
ここでは、フォーク・リフトと吊りバンドを使い、機体ごと吊り上げて作業しました。
これは、左側のナイフ取付部です。
何故ナイフ取付ボルトが折れたのかは解りません。
初めてです。
まずは、ナイフ・ネックガードを取り外します。
中心部の袋ナット(頭部19㎜正ネジ)は、角が擦れてメガネ・レンチをかけても滑ってしまいます。
今回はこれより大きめのナットを、丸くなったナットに溶接して取り外します。
ちなみに右側のナイフ・ネックガードは、左ねじの袋ナットで固定しています。
頭部22~24㎜くらいの適当なナットでいいので、左写真のように溶接します。
溶接する前には安全を考慮して、燃料タンクのガソリンを抜いておきます。
繋ぎ目を溶接しますが、メガネ・レンチをかけることを考慮して、やりすぎないようにします。
全面溶接する必要はなく、対角線上に3~4箇所の溶接で十分だと思います。
回転軸にはオイル・シールが取り付いているので、連続で溶接せず、熱を冷ましながら休み休み行います。
しかしながら、そんなに気にする必要はありません。
また、溶接で工具をかけられなくなってしまったら、ディスク・グラインダで削ります。
ここでは、頭部24㎜のナットを溶接しました。
ナットは大きいほうが溶接し易く、緩め易いです。
左上からナイフ・ネックガード、ナイフ・ブラケットです。
そして溶接したナット、スプリング、平ワッシャです。
ナイフ回転軸です。
ナイフ・ブラケットが取り付く軸はスプラインになっています。
また、当然ながらオイル・シールが取り付いています。
ナイフ・ブラケットです。
折れたナイフ取付ボルトは、幸い軸部が少し見えているので、ここに頭部12㎜又は13㎜のナットを溶接して外すことにします。
頭部12~13㎜のナットは通常、穴径8㎜でピッチ1.25㎜です。
溶接してしまうのでネジピッチは関係ありませんが…。
ここでも、工具をかけることを考慮しますので、ナットの穴部に溶接します。
錆などで膠着してボルトが緩まない場合は、酸素アセチレン溶接で熱して膠着を取ります。
まず、ナイフ・ブラケットを万力で浮かして固定します。
ナイフ・ブラケットのナット(ボルト軸部)を熱します。
この時、ボルト軸部にはなるべく熱をかけないようにします。
ナイフ・ブラケットのナットは普通のナットではなく、長さのあるカップリング・ナットなので全体を万遍なく熱します。
程よく赤くなるまで熱したら火を止め、色が戻る間に緩めます。
感覚的な事で難しいかもしれませんが、ボルトを捻り切らないように注意して緩めます。
ナットよりボルトのほうが高温(赤い)だと、膠着具合によっては緩める時に捻じ切れる可能性があります。
取り付いていたボルトは長さからして、専用ボルトではありませんでした。
締め付け不十分で折れたのかも知れませんが、やはり強度が足りません。
ナイフ・ブラケットのネジ穴は、タップをたてて(軸径8㎜、ネジピッチ1.25㎜)修正しておきます。
取り付ける時は、回転軸のスプラインにグリースを塗付します。
専用のナイフ取付ボルトです。
最初から緩み止めのシール剤が付いています。
袋ナットは左側用の正ネジナットと、右側用の左ネジナットです。
当然ですが、取り付ける時はスプリング・ワッシャを入れますが、正ネジナット用のスプリングと左ネジナット用のスプリングがあるので、間違えないように気を付けます。
ナイフは左写真のように、左右の刃の位相が90度角になるように取り付けます。
互いにぶつからないようにします。
遊び分があるので大体で構いません。
共回りしないように鉄パイプをナイフに挿して、確実に締め付けます
今回は、せっかくなので左右のナイフを入れ替えました。