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第31回:ロータリの着脱について



今回は、クボタの特殊3P式ロータリの着脱方法について説明します。

特殊3P式とありますが、所謂、小型~中型のトラクターに使われるオート・ヒッチ・フレームの方式です。
(クボタのオート・ヒッチ・フレームは、特殊3P式とW3P式があります。)


特殊3P式の主な特徴については「3点リンク」内にて確認してください。

また、ロータリの着脱方法は「普通ロータリ」内でも説明をしています。

主な着脱条件と注意事項

①平坦な場所である。
平坦な場所でないと、ロータリのトップ・マスト上部ピンを持ち上げたとき、ロータリの重心が変わるので上手くドッキングできません。
モンロを手動で操作し、水平(姿勢)を微調整すれば対応できますが…。
②「トップ・リンクの長さ」、「ロア・リンクの穴位置」、「リフト・ロッドの穴位置」が指定の位置にある。
通常の使い方をしていれば変更することがない箇所です。
指定位置は、トップ・リンク・サポートにシールが貼ってあるので、そこで確認できます。
③PTOは中立にする。
回ってしまったら危険です。
④バック・アップ付きのトラクターは、バック・アップ・スイッチを切る。
切らないと後進時にロータリが上がってしまうので、思わぬ事故に繋がりかねません。
⑤自動耕深装置を切る。自動耕深レバー(ダイヤル)を最深位置でも良い。
自動耕深装置が入っていて「浅」位置になっていると、ロータリが下がらない可能性があります。
⑥ロータリの落下速度が適正でない。
落下速度が極端に遅すぎると取り外しし難くなるし、極端に早すぎると「ドスン」と落ちるので、スタンドが変形する可能性があります。
ロータリの落下速度は,上昇位置から接地するまで1~2秒が適当です。
適正でない場合は、座席下にある落下速度調整グリップをほんの少しづつ回して調整します。

上記の条件を満たしていないと、上手く着脱出来ない可能性があります。



◎オート仕様、スタンド仕様、スーパー・ジョイント仕様(ユニバーサル・ジョイントを手で外す必要がないタイプ)

RL155T リヤ・スタンドエンジンを始動して油圧レバーを操作し、ロータリを少し上げた状態にしたら、リヤ・スタンドを立てセット・ピンで固定します。

引き出し量は整地板(フラップ・カバー)に接触しない程度で、適当で構いません。

フラップ・カバーは取り外した状態でも構いませんが、取り付けるなら左写真のように、一般耕運作業位置(上穴)にします。

RL155T フロント・スタンドフロント・スタンドも立て、セット・ピンで固定します。

このスタンドは、ロータリの転倒防止のためのものですが、立てなくても着脱は出来ます。

これは、後述の後2輪ハンドルを「着脱位置」より回し続けると、必要以上に前傾、前重心になるため、ロータリはバランスを失い倒れてしまうので、必要以上に前傾にしなければフロント・スタンドは必要ないとも言えます。

RL155T オート・ハンガ 解除均平板(ロータリ・カバー)を最下げ位置にします。

このロータリはオート・ハンガ式なので、オート・ハンガが左写真のように解除位置にあれば、最下げ位置になります。


均平板が最下げ位置になっていない状態でロータリを外すと、オート金具が引っ掛かり曲がってしまいます。

RL155T 後2輪ハンドル 着脱位置後2輪ハンドルを回して、左写真のように外管の先端を「着脱位置」に合わせます。

着脱位置にすると、ロータリは前に傾きます。

つまり、ロータリとオート・ヒッチ・フレームが着脱可能な位置になります。

RL155T オート・ヒッチ・フレーム ロック・レバー 解除オート・ヒッチ・フレームのロック・レバーを、左写真のように解除します。

RL155T オート・ヒッチ・フレーム ロック 解除このようにロックは外れます。

左右軸のロックが同時に外れます。

RL155T ロータリ 下げ 取り外し油圧レバーを操作し、ロータリを下げます。

ロータリは自然に外れます。

自然に外れない場合は、再度ロータリを上げてから、最下げにします。

また、最下げ位置で少し低速前進します。

RL155T ロータリ 取り外し後このように完全に分離できます。

折角なので、ユニバーサル・ジョイントのグリース・アップをしておきます。

また、ロック・レバーが軽く動くように、ロック部回りに潤滑材を吹き付けておきます。



RL155T オート・ヒッチ・フレーム取付時は、ロック・レバーを左写真のようにロックしたままで構いません。

ロック位置でドッキングしても、自動でロックするようになっています。

RL155T オート金具オート金具のセンサ・アームを指で下から持ち上げておきます。

また、可動軸回りに潤滑材を吹き付けておきます。

これは取説には載っていないかもしれませんが、オート(カバー・センサ)・ワイヤが異常ないのに、年数が経過したり泥の影響などで、センサ・アームの動きが悪くなり、アームが少し下がってしまう場合があるからです。

センサ・アームが下がった状態でロータリを取り付けると、センサ・アームがガイド・アームに正しくセットされない場合があります。

RL155T ロータリ 取り付けロータリを取り付けます。

ロータリの状態は、ロータリを取り付ける時も取り外す時も同じ状態です。

トラクターに乗車し、油圧レバーを操作してオート・ヒッチ・フレームを下げ、ゆっくり後進します。

ロータリに接近し、油圧レバーを操作してトップ・マスト上部ピンの下にオート・ヒッチ・フレームのフックを潜らせます。

オート・ヒッチ・フレームのフックでゆっくりとトップ・マスト上部ピンを持上げます。

RL155T オート・ヒッチ・フレーム ロック油圧レバーを操作し、ゆっくりとロータリを吊り上げます。

ロータリは自動的に取り付いて、オート・ヒッチ・フレームでロックされます。

左右の軸が確実にロックされているか、必ず確認します。

再度言いますが、必ず確認します。

RL155T オート金具 セット状態オート金具のセンサ・アームが、ロータリ側のガイド・アームに確実にセットされているか確認します。

ドックングは、これで完了です。

後は、フロント・スタンドとリヤ・スタンドを格納します。

このように現在では、ロータリの着脱はとても簡単に出来るようになっています。
(随分前からですが…)

また、ヤンマーやイセキではどうかというと、オート・ヒッチ・フレームの型やクボタで言う「オート金具」に該当する部分などは違いますが、着脱の要領は殆ど同じです。



作成日:2013/7/24