3点リンクとは、トラクタ後部の昇降装置に作業機を取り付けるための主な機構である。
これは、左右一本ずつのリフト・アーム、リフト・ロッドで吊られるロワ・リンクと、真ん中上部に位置する1本のトップ・リンクの合計3本のリンクで作業機を支持し、油圧装置を使い昇降できるようになっている。
3点リンクと作業機の連結は、直接、もしくはヒッチ(カプラ)を介して連結されるが、通常は殆どが後者の連結である。
3点リンクの寸法は日本工業規格(JIS)、または日農工規格で定められている。
以前は、各社で様々なヒッチが使われていて作業機との互換性があまりなかったが、現在は日農工規格で定められたヒッチが使用されていて、作業機側も規格に準拠したものになっている。
3点リンクの規格
標準3点リンク (JIS規格) |
標準オート・ヒッチ | 日農工0・Ⅰ形兼用、 日農工Ⅰ・Ⅱ形兼用 |
およそ50馬力を境に0・Ⅰ形兼用(Sヒッチ)とⅠ・Ⅱ形兼用(Lヒッチ)に分かれる。※1 白色、または黒色フレームである。 |
標準3点リンク直装 | JIS 0形、1形、2形、3形 ※2 | 0形と1形には日農工0・Ⅰ形兼用、1形と2形には日農工Ⅰ・Ⅱ形兼用のオート・ヒッチが取り付く。 1形は両方取り付く。 |
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特殊3点リンク (日農工規格) |
特殊オート・ヒッチ | A-Ⅰ形(イセキ)、 A-Ⅱ形(ヤンマー)、 B形(クボタ) |
主に小型、中型トラクタ専用であり、各メーカ独自の構造になっている。 B形には他にW3P式があり、B形ヒッチだけでなく、標準3点リンクのSヒッチも兼ねている。※3 |
特殊3点リンク直装 | JIS 0形、1形 | 主に小型、中型トラクタに使われるが、殆どが上記オート・ヒッチとセットで使われる。 |
※1 標準ヒッチ(日農工規格)のロア・リンク取り付け軸(2点)間の寸法
Sヒッチ 内側 565㎜(JIS 0形) 外側 683㎜(JIS 1形)
Lヒッチ 内側 683㎜(JIS 1形) 外側 825㎜(JIS 2形)
※2 JIS規格(0~3形)はトラクタの馬力で分けられ、主にロア・リンクの大きさと可動範囲、そして3点の取り付けピンの太さが違う。
※3 Sヒッチ用作業機を取り付ける場合は、作業機側の40㎜のカラー(ロール・ピンやCリングなどで固定)を外す必要がある。
3点リンクの特徴
標準3点リンクの特徴
特殊3点リンクの特徴
ユニバーサル・ジョイントの取り付け規格について
特殊3点リンク(ヒッチ)用作業機の各部寸法
クボタ、イセキ、ヤンマーの主な標準ヒッチに取り付く作業機側の寸法である。
※太文字はヒッチ寸法
クボタ・ロータリ(日農工B)
a = 約560㎜(565)
b = 340㎜
c = 100㎜
イセキ・ロータリ(日農工A-1)
a = 約460㎜(465)
b = 340㎜
c = 100㎜
ヤンマー・ロータリ(日農工A-2)
a = 約460㎜(465)
b = 340㎜
c = 50㎜
使用する作業機によっては、リフト・ロッドとロア・リンクの穴位置や、トップ・リンクの穴位置を変えたほうがいい場合がある。
例えば左図で言うなら、
また、
作業機の昇降 | リフト・ロッド | ロア・リンク |
---|---|---|
より上がる (あまり下がらない) |
上穴 | 後穴 |
より下がる (あまり上がらない) |
下穴 | 前穴 |
標準3点リンクの場合は、PTO-PIC間の距離が広く、さらに広角のユニバーサル・ジョイントを使用する事が多いので、これらの穴位置を変更しても故障に繋がる事は少ない。
特殊3Pリンクの場合は、PTO-PIC間の距離が狭く、さらにユニバーサル・ジョイントの角度に制限があるので、基本的にはリフト・ロッドとロア・リンクの穴位置しか変更できない。
標準3点リンクで作業機を取り付けた場合は、トップ・リンクの長さを調整する必要がある。
これは、作業機を正しい姿勢で使用するため、そして機械的な負担を減らすのが目的である。
トップ・リンクを短くすればする程、作業機のPIC軸は下を向き、作業機は尻上がりになる。
また、トップ・リンクを長くすればする程、作業機のPIC軸は上を向き、作業機は尻下がりになる。
ロータリやハローなどの一般的な作業機では、作業機を地面まで下げた状態(地面に爪が接触した状態)で、左上図のようにPIC軸が僅かに下を向く、若しくは水平になるようにトップ・リンクの長さを調整する。
ロータリやハローで言うなら、ちょうどチェーン・ケースがやや前傾姿勢になるくらいが理想である。