Vベルトは、断面がV形状に似ている事からVベルトと呼ばれ、主に合成ゴムにポリエステルやアラミドなどの繊維を織り交ぜ、外被布で覆われた構造になっている。
多くの農業機械では、動力を伝達する方法の1つとして、機械的な構造が比較的簡単で低コストである、そしてメンテナンスのし易さからVベルトが多く用いられている。
また、Vベルトを用いた機構は摩擦伝動のため、特に回り始めにVベルトがスリップする事で、ギヤなどその他の部品にかかる機械的な負担を減らすメリットもある。
通常、Vベルトは、常に強い摩擦を受けて回転しているので消耗も激しく、摩耗してくると十分に動力伝達が出来なくなる。
したがって、Vベルトは最も代表的な消耗部品である。
農業機械に使われるVベルトは、ラップドVベルトとローエッジVベルトに分けられ、主に「M」、「A」、「B」、「C」の4つサイズが使われる。
◎農業機械用Vベルトの種類
ラップドVベルト
スタンダード型
スタンダード型は、最も安価でなVベルトで、ベルトの背面をテンション・プーリで張らない、主に2軸間の伝動で使用出来る。
スタンダード型のベルト寸法は以下の通りである。
種類 / a(㎜) / b(㎜) / c(度)
M / 10.0 / 5.5 / 40
A / 12.5 / 9.0 / 40
B / 16.5 / 11.0 / 40
C / 22.0 / 14.0 / 40
Mは外周の長さ、A~Cは有効周長をインチ単位で表わす。
1インチ=25.4㎜ (例)A42の場合 42×25.4=1066.8
薄型
薄型は、スタンダード型よりやや高価なVベルトで、主に背面をテンション・プーリで張る、複数軸間の伝動で使用出来る。
薄型は、スタンダード型より「b」幅は狭いが、耐熱性、耐屈曲性はスタンダード型より優れているので、最も広範囲な用途で使われているVベルトである。
バンドーならレッド・ラベルで頭に「S」、三ツ星ならオレンジ・ラベルで頭に「L」が付く。
SA>A LA>A SA=LA
薄型の上級グレードで、ラベルの後ろに、バンドーはW表記が追加されているもの(W800など)、三ツ星はスーパーAG-Xと表記されているものがある。
これらは上記の薄型よりも耐熱性、耐屈曲性、耐亀裂性を備えていて、とても強い負荷がかかる箇所、例えばコンバインの脱穀入力やミッション・ベルトで使われる。
ローエッジVベルト
コグ型
コグ型は、薄型より高価なVベルトで、背面をテンション・プーリで張る伝動はもちろん、内側が段付きになっている事から、プーリ径が小さい箇所での使用に向いている。
コグ型は、耐熱性、耐屈曲性、耐亀裂性も優れているので、例えばコンバインなどのミッション・ベルトによく使われる。
薄型にも上級グレードがあるように、コグ型にも上級グレードがあり、これらは、耐熱性、耐屈曲性、耐亀裂性に加え、耐久性、耐摩耗性もあるので、主に大型の農業機械で使われる。
農業機械で使われるその他のベルト(一部)
◎Vベルト伝動の速度比
速度比 i
プーリーA直径D1、回転数N1
プーリーB直径D2、回転数N2