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電磁接触器とサーマル・リレーを使った回路



電磁接触器は電磁コイル、主接点部、補助接点部を設けたもので、電動機などの大きな負荷を外部制御で作動させる継電器である。

電磁接触器を使った回路は、農業機械では交流電源主体の乾燥機や籾摺機などのモータを使った電気機器に使われ、シーケンス制御で作動する。

また、モータは、過負荷などで電流が流れすぎると焼き付く恐れがあるので、サーマル・リレーを設けてモータに電流が流れ過ぎないようにしてモータを保護している。

サーマル・リレーは、ヒータとバイメタルの熱動素子と接点部で構成され、調整電流以下で働く接点を持った継電器で、電源入力側から電磁開閉器、サーマル・リレーの順に設けられ、これらは普通セットで一つの電気接触器として構成されている。

シーケンス制御の開閉接点

メーク接点…a接点(arbeit contact)
電磁コイルに電流を流すと接点が閉路し、電流を切るとバネなどの力で元に戻り開路する接点である。
通電されていない状態では接点が開いているので、回路図ではNO(ノーマル・オープン)となる。
ブレーク接点…b接点(break contact)
電磁コイルに電流を流すと接点が開路し、電流を切るとバネなどの力で元に戻り閉路する接点する。
通電されていない状態では接点が閉じているので、回路図ではNC(ノーマル・クローズ)となる。
切替接点…c接点(change-over contact)
電磁コイルに電流を流すとa接点は閉路し、b接点は開路する。
そして電流を切るとバネなどの力で元に戻り、a接点は開路し、b接点は閉路する。


シーケンス制御図(JIS C 0617)の一例とその役割
電磁接触器、サーマル・リレーを使った回路例…電動機の寸動運転シーケンス制御



◎シーケンス制御図(JIS C 0617)の一例とその役割



電磁接触器(MC)とサーマル・リレー(THR)



電磁接触器(MC)電磁接触器は、本体内部の上部に主接点部、下部に電磁コイル、中央横辺りに補助接点部を設けたもので、メカニカル・リレーを大きくしたようなものである。

主接点とは、左図での3つのスイッチにあたる主回路の接点で大電流を入り切りする。

補助接点とは、左図記号では通常記載されない接点で、小さな電流を入り切りする。
主接点はMC、補助接点はメーク接点一つの場合MC-aと表記する。

電磁コイルに電流が流れると、電磁コイルに隣合う固定鉄心が電磁石となるので、可動鉄心がコンタクト・バネの力に打ち勝ち吸引される。

主接点と補助接点の可動接点は、可動鉄心に連動して動くので、それぞれの接点の開閉を行うことができる。

サーマル・リレー(THR)サーマル・リレーは、ヒータとその隣合わせ設けたバイメタルの熱動素子と、負荷側に流れる電流を入り切りできる接点部で構成され、その接点の作動は電流値調整ツマミによって制御できる。

電動機に過負荷などで異常電流が流れると、バイメタルが一定以上湾曲し、これに連結した押し板が接点部を押し込むので、接点は開路する。

接点が開路すると、電動機に流れる電流が遮断されるが、電流調整値ツマミの横にある復帰ボタンを押せば元に戻る構造になっている。

作動する接点部は、通常3相200V(動力)では2接点(2E)のものがよく使われる。


サーマル・リレーが作動する電流値の調整は、使用するモータの定格電流より少しだけ大きめに調整しておけば問題ないが、サーマル・リレー自体が機械式の構造なので、正確かつ確実に調整電流値で作動するとは限らない。



その他



配線用遮断器(MCCB) 配線用遮断器(MCCB)


ノー・ヒューズ・ブレーカで分岐回路の負荷電流の開閉をし、過負荷や短絡などの事故の場合、自動的に遮断する。

この配線用遮断器は過電流に対しての保護だが、さらに漏電に対しての保護が付いたものが漏電遮断器である。

電磁リレー(R) 電磁リレー(R)


電磁コイルに電流が流れると、スイッチの入り切りが出来る機械式の継電器(メカニカル・リレー)である。

接点は電磁接触器と同様、メーク、ブレーク、切替などがある。

例えばシーケンス制御では、制御基板にはんだ付けされた電磁リレーから、電磁接触器の電磁コイルに通電させて、3相モータなどの大きな電流の負荷をスイッチングさせる。

押しボタン・スイッチ(PBS)押しボタン・スイッチ(PBS)


ボタンを押している間だけ接点が、開路もしくは閉路になるスイッチである。

リミット・スイッチ(LS)リミット・スイッチ(LS)


機器の機械的運動行程での動作検出スイッチである。

リミット・スイッチの用途は様々で、単に信号線の検出で使われたり、AC100Vを直接スイッチングする役割でも使われる。



◎電動機の寸動運転シーケンス制御の回路例



寸動運転とは、ボタンを押している間だけ電動機が作動しボタンを離すと停止するもので、例えば旋盤の芯出しなど機械の微小運転を得るときに使う。

寸動運転制御回路連続運転の場合


始動ボタン・スイッチ(PBS)を押す。

始動ボタン・スイッチ(PBS)の接点(PBS)が閉じ、コイル(MC)□に電流が流れるので、電磁接触器(MC)が作動し、主接点(MC)が閉じる。

電動機(M)に電流が流れ、回転し始める。また、運転表示ランプ緑色(GL)も点灯する。

電磁接触器(MC)が作動すると、補助接点(MC-a)も閉じるので自己保持し、電動機(M)は回転し続ける。

始動ボタン・スイッチ(PBS)を離しても、自己保持回路が作動してるので、電動機(M)は回転し続け、運転表示ランプ緑色(GL)も点灯したままになる。

連続運転の停止


停止ボタン・スイッチ(PBS)を押す。

停止ボタン・スイッチ(PBS)はブレーク接点なので、接点(PBS)が開きコイル(MC)□に電流が流れなくなり、電磁接触器(MC)が復帰し、主接点(MC)は開く。

電動機(M)に電流が流れず停止する。また、運転表示ランプ緑色(GL)も消灯する。

自己保持回路の補助接点(MC-a)も開くので、自己保持されなくなる。

停止ボタン・スイッチ(PBS)を離しても、自己保持回路が作動していないので、電動機(M)は回転せず、運転表示ランプ緑色(GL)も点灯しない。

寸動運転の動作
※寸動ボタン・スイッチのメーク接点(PBS-1)とブレーク接点(PBS-2)は連動機構になっている。


寸動ボタン・スイッチ(PBS-1、PBS-2)を押すと、寸動運転回路の接点(PBS-1)は閉じ、自己保持回路の接点(PBS-2)は開く。

接点(PBS-1)が閉じると、コイル(MC)□に電流が流れ、電磁接触器(MC)が作動し、主接点(MC)が閉じる。

電動機(M)に電流が流れ、回転し始める。また、運転表示ランプ緑色(GL)も点灯する。

電磁接触器(MC)が作動すると、補助接点(MC-a)も閉じるが、接点(PBS-2)は開いているので自己保持されない。

寸動ボタン・スイッチ(PBS-1、PBS-2)を押している間は、自己保持回路が作動しない状態で、電動機(M)は回転し続け、運転表示ランプ緑色(GL)も点灯したままになる。



作成日:2007/6