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整列播種機



整列播種機は、田植機で植え付けするマット苗を作るために育苗箱に床土を入れ、水を撒き、種籾を播き、土を被せるの一連の作業を連続で行うものである。

育苗箱はVベルトなどを使った搬送ベルトで次々と送られていくので、一連の作業が途切れることなく連続で出来るようになっている。

整列播種機は100V電源で作動するものが主流で、搬送ベルトと各装置への動力伝達は、モータ駆動ギヤからチェーン、ギヤを介して行われる。

作業能率は毎時200枚~500枚くらいのものが多く使われているが、3相200V電源を使用して毎時1000枚くらい処理出来る高能率なものもある。


主スイッチを入れると搬送ベルトは作動し続けるが、育苗箱に床土を入れる床土入れ機、種籾を播く播種機、土を被せる覆土入れ機はそれぞれ独立でクラッチを設けていて、手動(レバー)、または電動(SW)でクラッチの入り切りが出来るようになっている。



◎整列播種機の各部構造、役割

整列播種機の流れ左図は、一般的な整列播種機の基本的な作業の流れである。

※左図は、作業の流れを分かり易くするために簡略化している。


床土入れ → 均し → 鎮圧 → 灌水 → 播種 → 覆土


苗箱を次々とセットして、苗箱と苗箱の間に隙間を作らない事が無駄なく行うコツではあるが、苗箱が端まで搬送されるとストップ(スイッチ)・センサが働き、灌水装置とモータが自動停止する仕組みになっているので、慌てず安心して作業が出来る。


ちなみに、床土入れ機が無い播種機でも、床土を入れる事は出来る。

覆土入れ機を床土入れ機として使用し、先に必要枚数だけ床土を入れておけば良い。
この場合、均し板を使い床土表面を均す必要がある。



床土入れ機



床土入れ機の流れ床土入れ機は、苗箱に土を入れ播種出来る状態にする機械である。

搬送ベルトで送られてくる苗箱に土を入れ、苗箱の縁際まで平らに鎮圧する事で、田植機に適した安定した床土が出来るようになっている。


一般に床土に使用する土は、市販の粒状の育苗土が望ましい。

使用する床土で良くないのは、粘度質の土と砂質の土である。
これは、田植機で植付ける時、床土崩れ、植付けの乱れ、浮苗などの原因になる。

また、水分の多い土や硬い土を使用すると、床土ホッパから均一に落ちなかったり、波のような表面になる。


床土の高さは苗箱の種類にもよるが、箱面から10~15mmくらい下がったくらいの高さで合わせるのが一般的である。

床土の高さは、土量調整レバーと均平装置の高さ調整ダイヤルで調整するが、入れ過ぎると田植え時にはマット(床土)が崩れにくく良いが、播種、覆土してから箱を重ねて積み上げる時に箱下に土が付着し易くなる。

また、土量調整レバーを開き過ぎるとその分床土の量が増えるが、均平装置が土を掃い落としてしまい無駄になる恐れもあるので、最初にバランス良く調整する必要がある。

床土入れ機の流れ

  1. 床土ホッパに入れた土は、ゆっくり回転するコンベア・ベルトによって落下して、荒い土は底に、細かい土は表面に形成層を作る。
  2. 回転ブラシは、表面の土を平らにするほかに箱の縁にのった土をきれいに掃う。
  3. 自在鎮圧ローラにより鎮圧が始まると同時に鎮圧板によって苗箱の始端(縁際)をプレスする。
  4. 自在鎮圧ローラにより鎮圧が終わると同時に鎮圧板によって苗箱の終端(縁際)をプレスする。
    プレスが終わると同時に次の苗箱の鎮圧が始まるので、苗箱と苗箱の間を開けない事が重要である。



灌水装置



灌水装置の流れ灌水装置は、播種する直前に床土に水を撒く装置である。


スイッチを入れると電磁弁が開き、吸水口から送られてくる水(水道水など)は噴管へ流れ噴口から水が吐出される。

また、スイッチを切ると電磁弁は閉じるので、吸水口から送られてくる水(水道水など)は戻し口から無駄に排水し続ける。


吐出する水量(灌水量)を増やすには、蛇口の開度と水量調整つまみの開度を大きくすれば良いが、水量を増やし過ぎると、噴口から吐出しきれない水が戻し口から余水として無駄に排水されてしまうので、戻し口から余水が出ないように、蛇口と水量調整つまみの開度を調整する。

適切な灌水量は、1~2ℓ/箱なので水量ゲージを見て合わせる。


スイッチを入れ、水量調整つまみを開いても水量ゲージが変化せず、噴口から吐出される水量が少ないままの場合は、フィルタが詰まっている可能性があるので外して掃除する。

また、スイッチを入れたにもかかわらず、戻し口からしか水が出てこない場合は、電磁弁の入力電圧を確認し問題がないのなら、電磁弁が膠着して閉じたままになっている可能性があるので外して分解掃除する。

さらに戻し口からも水が出てこない場合は、余水弁も膠着している可能性があるので、戻し口を外し余水弁とスプリングを外して掃除する。

スイッチを切っているのに戻し口から水が出てこない場合も、同じく余水弁が膠着している可能性がある。


播種機



播種機の流れ播種機は、床土が入った苗箱に種籾を適正に播くものである。

播種ホッパに入っている種籾は、攪拌ロールでスムーズに落とされ、播種ロールに設けてある多数のカップ(穴)に入る。

そして、播種ロールは種籾を保持したまま回転し、種籾を下方まで送る事で播種が出来るようになっている。


構造的に、種籾はある程度乾いていないと落ちが悪くなり、きれいに播種する事が出来ない。

種籾を片手でごっそり掴んで少しずつゆっくり落とし、種籾同士や指にくっ付かず、パラパラと落ちる程度まで乾かす必要がある。


種籾が十分乾いているのに播種が歯抜けになる場合は、種籾が播種ロールのカップに上手く落ちていない、もしくは種籾が下方まで上手く運ばれてこないという事なので、攪拌ロール、ロール・ガイドの破れを確認する。

確認し破損があれば交換する。

播種機の流れ

  1. 回転する攪拌ロールによって播種ホッパ落とし口にある種籾は、スムーズに引っ掛かることなく回転する播種ロールのカップに次々と落ちる。
  2. 回転するロール・ブラシは、播種ロールのカップに入った種籾以外の余分な種籾が、播種ロールとロール・ガイドの隙間に入らないように掃う。
  3. 播種ロールはカップに種籾を保持したまま下方に回転し、搬送ベルトで送られてくる苗箱の上に種籾を次々と落とす。
  4. 籾掃けブラシは、搬送ベルトで送られてくる苗箱の縁にのった種籾を掃い落とす。

播種量を変えるには、播種ロールの回転数を変えて行うようになっている。

これは、ギヤを組み換えて回転数を変える方式と、電動で回転数を変化させる方式がある。

電動で回転数を変化させる方式では、マイコン制御で播種量1gから調整して播けるようになっている。


左図は、ギヤを組み換えて行う方式である。

歯数の違うギヤを組み換えることで回転数を変える事が出来る。

ギヤは抜け止めであるRピンを外すと取り外せるので、とても簡単に行えるようになっている。

ギヤの組み合わせによる播種量の目安は、カバー等にラベルが貼ってあり分かるようになっている。



催芽籾の播種量について

覆土入れ機



覆土入れ機の流れ覆土入れ機は、播種した後に土を被せるものである。

搬送ベルトで送られてくる苗箱に土を被せ、苗箱の縁にのった余分は土を掃うようになっている。

被せる土の調整は、単純に土量調整レバーのみで行うが、種籾が隠れる程度でOKである。

実際には、種籾が少々見えていても後の発育状況からすると問題なかったりする。


使用する土は、必ず粒状のものを使う。

粉状の土では途切れ途切れになるなど上手くいかない。


きれいに土が落ちない場合は、コンベア・ベルトの破れ(亀裂)を確認する。

確認し破れがあれば交換する。



作成日:2006/10
更新日:2016/12