今回は、オーレック・ハンマナイフ・モアHR661Aの点検整備について記載します。
搭載エンジンは三菱GM291Pです。
点検整備を定期的に行うことによって、調子良く使うことが出来るし機械は長持ちするものです。
点検整備内容は燃料コック(フィルタ)の掃除、エア・クリーナの掃除、シリンダ・フィンの掃除、ベルトの点検、タイヤ空気圧の点検、各ワイヤの油注し、オイル交換、ナイフ交換などです。
主に必要な工具、道具: 10㎜、12㎜、14㎜、17㎜ボックス・レンチ又はメガネ・レンチ、 10㎜、17㎜スパナ、ハンマ、潤滑剤、キャブレータ・クリーナ、ウエス、コンプレッサ、エア・ガン、タイヤ・ゲージ
低床廃油箱、エンジン・オイル1.5ℓ(ワイヤ等の注油分を含む)、ミッション・オイル(#80~90)1.6ℓ、グリース・ガン、歯ブラシ、灯油少々
◎燃料コックのストレーナ掃除
ストレーナ・カップ(正ネジ)を取り外します。
10㎜のスパナで下部を緩めます。
多かれ少なかれ、このように汚れが溜まっています。
キャブレータ・クリーナを吹き付けておきます。
燃料コックを下から覗くと、パッキンとフィルタ(網)が付いています。
キャブレータ・クリーナを吹き付けておきます。
フィルタをきれいにしてから、ストレーナ・カップを取り付けます。
パッキンとフィルタは、汚れが酷くない限り無理に外す必要はありません。
◎エア・クリーナの掃除
エア・クリーナ(湿式)の掃除です。
固定ナット(頭部10㎜)2本を外します。
エア・クリーナを取り外します。
チョーク・レバーは横へずらして外し、ブリーザ・ホースも外します。
オイルパンを取り外します。
左写真は、酷いゴミつまり状態です。
これだけ酷いと、エンジンはかなり調子悪いです。
分解掃除をしてきれいにします。
灯油に浸けて歯ブラシで磨き、最後はコンプレッサを使いエア吹きします。
エンジン・オイルを、オイル・パンに規定量入れて取り付けます。
OIL-LEVEL線まで入れます。
◎シリンダ・フィン回りの掃除
フライホイール回り(ファン・カバー内)をエア吹き掃除します。
頭部10㎜のボルト4本を外して、リコイル・スタータを取り外す必要があります。
リコイル・スタータの防塵網部分も、エア吹きしてきれいにします。
シリンダ・フィン回りをエア吹き掃除します。
とにかくエンジン回りをきれいにします。
ゴミ詰まりが酷い場合は、カバーを外して掃除する必要があります。
◎エンジン・オイルの交換…交換時期:50時間毎
ドレン・ボルト(頭部12㎜)を取り外します。
オイル・エレメントはありません。
ドレン・ボルトです。
パッキン(ガスケット)を無くさないようにします。
オイル排出口が下を向くようにして、完全にオイルを抜きます。
刈り高さ調整ボルトを「高」方向に回します。
ドレン・ボルトを取り付けたら、エンジンを水平にします。
刈り高さ調整ボルトを「低」方向に回します。
エンジン・オイルを規定量入れます。
約1ℓ入りますが、オイル・キャップ(ゲージ)で検油して、上限レベル線「F」に油が付着するまで入れます。
検油はキャップを締めず、差すだけで構いません。
◎ミッション・オイルの交換…交換時期:オイル100時間毎
ミッション・オイルを交換するには、右側のタイヤを外す必要があります。
タイヤを取り外します。
固定ボルト(ナット共締め)を4本緩めたら、ジャッキ・アップして完全に機体を浮かせます。
その後ボルトを外し、タイヤを取り外します。
オイル栓を外します。
オイル栓を外さないとエアが抜けず、オイルは勢いよく抜け落ちません。
廃油箱を置いてドレン・ボルト(頭部14㎜)を外し、ミッション・オイルを抜きます。
オイル・エレメントはありません。
オイルが全て抜けたら、パッキンを入れてドレン・ボルトを締めます。
その後タイヤを取り付けておきます。
固定ボルトの本締めはジャッキを外してから行います。
ミッション・オイル(#80~90)を入れます。
1.6ℓ程入れてオイル栓をします。
入れ過ぎると、すぐに溢れ出してきます。
大体ですが、溢れ出す寸前で規定量です。
◎ワイヤとベルトの点検
サイド・クラッチ・ワイヤの点検です。
左右のレバーとも握ってクラッチが切れ、離して繋がる事を確認します。
正常なら停車時で繋がらなくても、車体を少し前進させれば繋がります。
レバー元から左右それぞれのワイヤに、潤滑剤(エンジン・オイル可)を注しておきます。
この時、走行レバーを「入」「切」しながら注します。
固定ボルト(頭部12㎜)3本を外し、走行ベルトのカバーを外します。
ベルトが摩耗、又は亀裂していないか確認します。
また、走行ワイヤとナイフ・ワイヤが楽に作動するか、レバーをそれぞれ「入」「切」して確認します。
手前にナイフ・ベルト、奥に走行ベルトですが、共にクラッチ「入」状態でベルトがしっかり張るか、そしてエンジン高回転時のクラッチ「切」状態で、ベルトがつられて回らないことを確認します。
つられて回る場合はベルト押さえを調整します。
次いでブレーキ・ワイヤの点検です。
走行レバーを「入」にした時に、楽にワイヤが作動(出る)しブレーキが解除されるか確認します。
その逆も確認します。
レバー元から、それぞれのワイヤに潤滑剤を注しておきます。
固定ボルト(頭部12㎜)2本を外し、ロータリ側のベルト・カバーを外します。
ベルトが摩耗、又は亀裂していないか確認します。
プーリ間のベルト上側中央部を、指で軽く押して3~5㎜のたわみになっているか確認しますが、ピンと張っていれば良しとします。
張りが弱い場合はアジャスト・ボルトを調整して張ります。
◎ナイフの交換とナイフ軸の点検
ナイフ交換です。
軽トラックの上で、左写真のように後向きにしてからロータリを浮かし(エンジンは荷台床に付く)、ハンドルをロープで固定します。
第18回のウイング・モアのナイフ交換と同じで、軽トラックの上で行う方法がやり易いかと思います。
ロータリのフロント・カバーを持ち上げて固定します。
ナイフ・ドラムとカバー内側に付着した土を落とします。
フロント・カバーは、下がってこないようにします。
サイド・カバーにフロント・カバー落下防止の固定穴があるので、そこに適当なボルトとナットを入れておきます。
これで作業に十分なスペースができます。
ナイフを取り外します。
ナイフの取り付けは、頭部17㎜のボルトとロック・ナットで固定してあるだけです。
ロック・ナットなので、スプリングは必要ありません。
新品ナイフとの比較です。
ボルトは軸部が大きく凸凹に磨り減っていたら、交換したほうがいいと思います。
ナイフを取り付けます。
ボルトとナットは程よく締める程度で良いので、2つのナイフが自由に動く事を確認します。
ロック・ナットなので緩みません。
次いでにナイフ回転軸の点検をしておきます。
手で軸を回転させて重くないか、ガタツキがないか確認します。
◎その他…タイヤ空気圧の点検、プラグの点検、グリース・アップ
タイヤの空気圧を点検します。
キャップ(正ネジ)を外し、エア・ゲージを使い130kPa(1.3㎏/㎝2)程にします。
大体で構いません。
プラグを点検します。
中心電極の角が丸くなっていたら新品に交換します。
電極回りにカーボンが付着していたら、キャブレータ・クリーナを吹き付け、歯ブラシで磨いてきれいにします。
詳しくは…プラグ点検、掃除の注意
前輪フォークにグリースを注入します。
グリース・ガンを使い、真上にあるニップルからグリースを注入します。
使うグリースは何でもいいので、隙間から溢れ出るまで注入します。