ガソリン・エンジンは、田植機、管理機、エンジン・ポンプなど多くの農機具に使われていますが、使用する時期は限られていて、いざ使用しようとしても古いガソリンが残っていると、キャブレータが詰まるなどエンジン不調のトラブルを引き起こします。
ガソリンも食物と同じように酸化し劣化するので、長期間(4~6ヶ月以上)使用しない場合は、完全に抜きとりましょう。
燃料を抜く箇所は、燃料コック、キャブレータ(フロート式)の形状から大きく分けて以下の5つのタイプに分かれます。
タイプA…キャブレータに燃料抜きドレンがないタイプ
ストレーナ・カップを外し、燃料コックのレバーを「開」にして燃料を全部抜く。
キャブレータのフロート・チャンバ・ケース固定ボルトを外し、キャブレータ内の燃料を完全に抜く。
この時、フロート・チャンバ・ケースは外す必要がないので、落ちないように手で押さえておく。
※ボルトを外しても燃料が落ちない場合は、フロート・チャンバ・ケースを外す必要がある。
タイプB…キャブレータに燃料抜きドレンがあるタイプ(ネジ式)
ストレーナ・カップを外し、燃料コックのレバーを「開」にして燃料を全部抜く。
キャブレータのフロート・チャンバ・ケース下部にある燃料抜きネジを緩めて、キャブレータ内の燃料を完全に抜く。
タイプC…キャブレータに燃料抜きドレンがあるタイプ(レバー式)
ストレーナ・カップを外し、燃料コックのレバーを「開」にして燃料を全部抜く。
キャブレータのフロート・チャンバ・ケース下部にある燃料抜きレバーを引いて、キャブレータ内の燃料を完全に抜く。
タイプD…キャブレータ外で燃料抜きドレンを設けているタイプ(レバー式)
ストレーナ・カップを外し、燃料コックのレバーを「開」にして燃料を全部抜く。
キャブレータ外部に設けられた燃料抜きレバーを引いて、キャブレータ内の燃料を完全に抜く。
レバーを回すものもある。
タイプE…燃料コック一つに燃料抜きドレンをまとめたタイプ
ストレーナ・カップを外し、燃料コックのレバーを「開」にして燃料を全部抜く。
燃料コックのレバーを「排出」にして、キャブレータ内の燃料を完全に抜く。
その他のタイプ
他、キャブレータには、燃料コックを横付けしたタイプや、メイン・ジェットへの燃料供給をカットするフューエル・カット・ソレノイド付き(左図例)タイプなどありますが、基本的に上記5つのタイプに当てはまります。
フューエル・カット・ソレノイド
上記の燃料カット電磁弁付きタイプのキャブレータに使われるもので、キー・スイッチをONにすると芯弁が中に入り、キャブレータに燃料が供給されます。
古いガソリンが残っていると、芯弁部が膠着する事があります。
膠着するとキャブレータに燃料が供給されなくり、エンジンがかからなくなります。
燃料を抜いた後
燃料を抜き終わったら、燃料コックのストレーナ・カップを取り付け、レバーを「閉」にし、キャブレータの燃料抜きネジを閉めるなど元に戻す。
出来るのなら→→→
外気の浸入を出来るだけ防ぐため、エンジンを圧縮上死点位置(吸気、排気バルブが閉じた状態)にしてから保管しましょう。
つまり、クランキングで一番重くなる位置(圧縮のある位置)です。
リコイル・スタータ式なら紐をゆっくり引けば解りますが、セル・モータ式なら、手でPTOプーリ(ベルトが掛けられているところ)をゆっくり回すとよく解ります。
これは、湿気が原因でピストン・リングなどが錆びて膠着するのを防ぐための行為ですが、解らなければスパーク・プラグを外し、その取り付け穴からエンジン・オイルを2~3滴注油し、2~3回クランキングした後、再度スパーク・プラグを取り付けて保管してください。
これで圧縮のある位置で保管出来ればさらに良いですが…。