ファン・ベルトは水冷式エンジンに使われ、発電機と冷却ファン(ウォータ・ポンプ含む)を回転させている。
一般にファン・ベルトはクランクシャフト・プーリ、冷却ファン・プーリ、発電機プーリにかけられていて、クランクシャフトからの動力で回転している。
トラクターやコンバインに使われるファン・ベルトは主にVベルトで、一般のVベルト(断面が台形)とコグ・ベルト(歯付き)がある。
また、自動車ではリブ・ベルトがよく使われるが、農業機械のファン・ベルトとしてはあまり使われない。
ファン・ベルトは、以下の2つの装置を働かせる役割がある。
→冷却ファン
→発電機(オルタネータ、ACジェネレータ)
◎よく使われるファン・ベルトの一例(バンドー表記)
◎ファン・ベルトの調整手順
ファン・ベルトに亀裂がないか、弛みがないかを確認します。
プーリ間ベルトの中間辺りを指で軽く押して、適正なたわみ量であるか確認します。
左写真は、見るからに弛みがあるので調整に入ります。
適正なたわみ量:10㎜程度
オルタネータ(写真はACジェネレータ)の上部を固定しているボルトを少し緩めます。
通常、頭部12㎜の正ネジボルトが使われています。
ちなみに、左写真のファン・ベルトはパワー・フレックスRPFです。
オルタネータの下部を固定しているボルトとナットを少し緩めます。
通常、頭部12~14㎜の正ネジボルト、ナットが使われています。
バールや金属棒、又は適当な工具の先をウォータ・ポンプ・ケースの辺りに差し込み、てこの法則を使ってオルネータを外側にずらします。
しかし、この方法は破損に繋がる恐れがあるため、十分に気を付けて行う必要があります。
心配なら更にボルトを緩めて、手でオルタネータを外側にずらすのもいいと思います。
ファン・ベルトが張れている状態を維持し、オルタネータ上部の固定ボルトを軽く締めます。
ファン・ベルトの張り具合を再確認します。
問題なければ、オルタネータ上部の固定ボルトをある程度本締めします。
一度エンジンを始動して十数秒後に停止し、再度張りを確認します。
問題なければオルタネータ上部の固定ボルト、そして下部の固定ボルトとナットも本締めします。
◎ファン・ベルトの取り外し
ファン・ベルトを交換する場合は、オルタネータを固定しているボルトを緩め、オルタネータを内側に当たるところまでずらします。
ファン・ベルトをオルタネータ・プーリから脱線させたら、手で冷却ファンを回しながらベルトをくぐらせて外します。
稀ですが機械によっては、オルタネータを外さないとオルタネータ・プーリにファン・ベルトを脱着できないものもあります。
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また、エアコン付きの機械ではエアコン・ベルトが取り付くので、先にエアコン・ベルトを取り外す必要があります。
新品のファン・ベルトに交換したら、張り具合の確認は、取り付け後とエンジンを始動停止させた後と必ず2回行います。
これは、新品ファン・ベルトの側面とプーリ溝との摩擦力がとても強く、ベルト取り付け後のほぼ止まった状態のプーリでは食い込みが甘くなるからです。